61.伸縮・嵩高性絹糸(1982)

青木 昭、神田千鶴子、高橋 保(1982)伸縮・嵩高性絹糸による紳士服地について.製糸絹研究発表集録 第33集:55-56

1.消費要求の多様化にともなって、シルクスーツヘの期待が高まりつつあるが、従来の生糸では、生地に膨らみや伸縮性をもたせにくく、防しわ性に欠けるなど縫製上・着用上に多くの問題が存在する。筆者らは、先ず、生糸の構造からくる性能の改善が必要と考え、撚糸を利用して、伸縮・嵩高性絹糸(以下試験糸という)を開発し、これにより紳士服地の試作を重ね、開発絹糸の織物効果を検討した。

2.剛軟度および防しわ性:試験糸の配合により、剛軟度を低下させるとともに防しわ性を向上させることができた。特に織物組織との組合せによってその効果が助長される。

3.湿潤収縮性:毛織物は仕上工程における縮充効果が風合の形成に重要な役割を果している。レピアルームを使い、練糸(生糸63×3)と絹紡糸(120/2)を1本交互に配列した同一のたて糸に、試験糸と練糸(生糸42×8)を組合わせて、2/2よこ畝織に織込み、織卸品を湿潤処理して試験糸の収縮効果を観察した。湿潤により試験糸を構成している強撚糸が収縮して、布地の膨らみが増大する。製織時の緊張が湿潤処理で回復し、毛織物の縮充に似た効果を発揮することがわかった。

4.伸縮性とせん断変形特性:試験糸、絹紡糸、生糸、そ毛糸等による4種の服地を試作して、風合試験機(KES)を使い、川端(1980,風合い評価の標準化と解析)の方法によって、織物の伸長特性・せん断変形特性を調査した。

5.仕上げは毛織物産地の整理工場で実施したが、整理条件の違いで織物性能が大きく変化することがわかった。また、試験糸使いによって、伸縮性、せん断変形性を毛織物に近づけることができた。既に、着用試験において、良好な着心地とシワ回復性が報告されている。


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