70.新染色法「シリカ染」(1985)

加藤 弘、小松計一(1985)絹のシリカ染めについて.製糸絹研究発表集録 第33集:61-62

1.絹染色において、均染性に優れ、その上染色堅牢度も良好な染色方法を開発する目的で、染浴pHにほとんど影響を及ばさない微粒子状シリカゲルを用いた染色について検討した。

2.絹重量に対して、5〜10重量%の微粒子状シリカゲルを添加した染浴中で絹糸布を染色した。染色の操作や条件などは全て通常の絹染色に準じて行った。

3.所定濃度の染料と微粒子状シリカゲルだけを投入した染色系で、精練絹布(平羽二重、21目付)を染めたときの、染色物の表面染色濃度(K/S値)から明らかなように、微粒子状シリカゲルは、カヤクダイレクトスペシャルブラックAXN、カヤノルミリングブラックTLBともに対して顕著な濃染効果を示していることが分かる。

4.これらの染料については、通常の染色助剤(例えば、ぼう硝、酢安、硫安、酢酸など)を何ら使用しなくても、微粒子状シリカゲルのみで極めて高い染着が得られる。しかも、黒色の色合いはシリカゲルを用いない通常の絹染色に比べてはるかに深みのある黒らしい黒に染め上っていることが観察された。このようにシリカ染めは、中性浴中でも良好な濃染効果を示すため、高濃度染浴を必要とする黒、紺などの濃色染めに適用すると、色の濃さや深みの面から、とくに著しい効果が現われる。

5.染料と微粒子状シリカゲルの外に、通常の染色助剤を添加して染色系について絹染めした。この結果、直接染料のぼう硝のように中性浴では促染効果を示すが、酸性浴になると反対に緩染効果を呈するのとは異って、微粒子状シリカゲルは中性浴染めであろうとも、酸性浴染めであろうとも、顕著な濃染効果(色の濃さと深み)を有することが認められた。

※加藤 弘、小松計一「繊維の染色法」(出願:1985年、特許登録:17574851993年5月20日)


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