77.春蚕用蚕品種「大鷲」(1987)

農蚕園芸局(1987)蚕の新品種−春蚕用「日150号×中150号」.技術資料 第113号:1-3

1.日150号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸試験場において育成した二化性白繭系日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は淡赤系で斑紋は姫である。蚕児の経過は稚蚕期、壮蚕期ともに日134号と同程度である。稚蚕期から食桑行動は活発で、眠起は斉一、蚕体はよく肥大するが、5齢期は過度の飽食育や高温および低温冷湿では蔟中、繭中斃蚕を多くするので、しめ飼いと適温育に心掛ける必要がある。繭は白色の浅縊俵形で、ちぢらはやや粗である。
  本種は産卵後の卵色の変化が特に遅い特徴があり、固有の卵色になるまでに一般の品種が3日程度であるのにくらべ5日程度である。したがって冷蔵浸酸種の採種に際しては卵色にこだわらず、産卵後は所定の保護時間とし、冷蔵時期を逸しないよう留意することが肝要である。
  越年卵の卵色は淡藤鼠である。
  本種と中150号とを交配する場合、両種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を同時にすればよい。蚕種の人工孵化は即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

2.中150号
  化性:二化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸試験場において育成した中02号から、長糸長・細繊度用に系統分離した二化性白繭系中中固定種である。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青系で斑紋は姫(淡いい型斑紋を有する)である。蚕児の経過は支135号に比べ稚蚕期は大差ないが、壮蚕期が約1日長めである。虫質は強健で飼育取扱いは容易であるが、5齢期がやや長いので、冷湿を避け、若上げをしないよう良桑を与えることが望ましい。繭は白色の楕円形で、ちぢらは粗である。
  割愛後の産卵が早いので注意を要する。越年卵の卵色は生壁色である。
  本種と日150号とを交配する場合、両種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を同時にすればよい。
  蚕種の人工孵化は即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

3.日150号×中150号(愛称:大鷲)
  化性:二化性。系統:日中交雑種。適用蚕期:春蚕期
  本種は日中一代交雑二化性の白繭種で、桑葉育用の品種である。
  蚕児の経過は日134号×支135号に比べて、1〜4齢期はほぼ同じであるが、5齢期は約0.5日長い。眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易である。虫質は強健で、稚蚕、壮蚕ともに桑付け当初から食桑行動は極めて活発であるから、桑不足にならないよう注意することが大切である。特に5齢期は桑不足になると葉脈、葉柄も食下する程食欲旺盛なので、努めて薄飼いにし、良桑を飽食させることが大切である。
  本種は虫質強健で飼育し易く、繭重・繭層重が重く収繭量が多く繭糸量多く生糸量歩合高く、繭糸長、解舒糸長が抜群に長い特徴を有する。繭糸繊度は2.8デニール内外で、現行の指定春蚕用普通品種では最も細い特徴を持っている。

※江口良橘、嶋崎 旭、一場もとえ、渋川明郎(1995)多収性蚕品種「翔萌」(日02号×中02号)及び「大鷲」(日150号×中150号)の育成.蚕糸・昆虫農業技術研究所研究報告 第12号:47-93


 研究成果の目次に戻る