78.細繊度蚕品種「あけぼの」(1987)

農蚕園芸局(1987)蚕の新品種−特殊用途用「日505号・日506号号×505号・中506号」.技術資料 第113号:11-14

1.日505号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸試験場において育成した日145号について、更に繭糸繊度の細い系統を分離・育成した二化性白繭系日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は淡赤系で、斑紋は形である。蚕児の経過は日137号に比べて稚蚕期、壮蚕期とも大差ない。虫質は強健で眠起はよく揃い飼育取扱いは容易であるが、5齢期がやや長いので5齢末まで十分飽食させることが必要である。
  繭は白色の浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と日506号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を1日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化は、即浸では5分前後、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

2.日506号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸試験場において育成した従前の日136号を保存し、更に改良を加えた二化性白繭系日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は赤系で、斑紋は形である。蚕児の経過は日137号に比べて稚蚕期はやや短めであるが、壮蚕期は大差ない。虫質は強健で眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易であるが、良桑を飽食させることが望ましい。なお、秋蚕期における粗硬葉給与は蛹重を軽くし、産卵量にも影響を及ぼすので避けたほうがよい。
  繭は白色の浅縊張形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と日505号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を1日遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化は、即浸では5分前後、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

3.日505号×日506号
  化性:二化性。系統:日日交雑原種
  蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は赤系で、斑紋は形である。蚕児の経過は日137号に比べて大差がない。虫質は強健で、眠起はよく揃い飼育取扱いは容易であり、産卵量も多い。
  繭は白色の浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と中505号と中506号との交雑原種を交配する場合、両交雑原種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を4日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化は、即浸では5分前後、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

4.中505号
  化性:一化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸試験場において育成した従前の支25号を保存し、更に改良を加えた一化性白繭系中中固定種である。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青系で、斑紋は形である。蚕児の経過は支146号に比べて稚蚕期は大差ないが、壮蚕期は約半日短い。なお、上蔟から発蛾までの期間が短いので蛹期の取扱いは注意を要する。虫質は強健で経過が早く、飼育取扱いは容易である。
  繭は白色の短楕円形で、ちぢらはやや粗である。越年卵の卵色は淡藤鼠である。
  本種と中506号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を4日遅くすればよい。蚕種の人工孵化は、即浸、冷浸とも4分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

5.中506号
  化性:二化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸試験場において育成した二化性白繭系中中固定種である。

  蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青系で、斑紋は姫である。蚕児の経過は支146号に比べて稚蚕期、壮蚕期とも大差ない。虫質は強健で眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易である。
  繭は白色の楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は生壁である。
  本種と中505号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは本種の催青着手を4日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化は、即浸では5分前後、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

6.中505号×中506号
  化性:中505号母体は一化性、中506号母体は二化性。系統:中中交雑原種
  蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青系で、斑紋は形であるが姫を少々混じることがある。蚕児の経過は支146号に比べて大差がない。虫質は強健で、眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易であり、産卵量も多い。繭は白色の楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は生壁である。
  本種と日505号と日506号との交雑原種を交配する場合、両交雑原種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を4日遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化は、即浸では5分前後、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

7.日505号・日506号×中505号・中506号(愛称:あけぼの)
  化性:二化性。系統:日中交雑種。適用蚕期:春蚕及び夏秋蚕期
  本種は日中四元交雑二化性の白繭種で、稚蚕人工飼料育および桑葉育に適する特殊用途用の細繊度品種である。蚕児の体色は青系で淡赤系を混じることがあり、斑紋は形である。蚕児の経過は日137号×支146号に比べて稚蚕期は大差なく、5齢期はやや短めである。虫質は極めて強健で、稚蚕人工飼料育、桑葉育ともに眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易である。5齢期は短めで盛食期の食桑はやや少なめであるので、給桑量に注意する必要がある。
  繭は白色で、楕円形に浅縊俵を混じ、ちぢらは普通である。
  本種は虫質強健で経過は早く、極めて飼育し易い品種である。繭重、繭層重、収繭量、生糸量歩合はやや低いが、繭糸繊度は2.2デニール内外で、繭糸長が長い優れた特長を有するので、ハイブリッドシルク等の特殊用途用のほか、極細高級生糸用に適する。


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