82.新しい短繊維素材「スパンロウシルク」(1988)

坪井 恒、中屋 昭、羽賀篤信、中村邦子、鮎澤弘子(1988)繰繭によるスパンロウシルクの作出.蚕糸試験場彙報 第134号:243-257

1.これまで絹がほとんど使用されていない外衣用の織物・編物に適用できる新しい絹短繊維素材としてスパンロウシルク(SRS)を作出するため、繭糸を繰取りながら短繊維化し、これをそのまま適当な太さに集束して連続した糸条にする方法と装置及びこれにより繰製されるSRSの糸質等について検討した。

2.巻取り繭糸との接触面が先端に向かって移動する3本の枠手で構成する、断面が三角形の形成枠に、1個1個の繭から繰り出される並列した繭糸を絡交桿により交錯させて巻取りつつ先端へ送り出して筒状の網を形成し、これを1ヵ所で切り開きながら引き伸ばして集束器の細孔を経て巻取るSRS形成装置を開発した。

3.繰製されるSRSの糸条形態が良好になるよう種々改良を加えるとともに、毛羽立ちを少なくし、加工工程での取扱いを容易にするため、加撚巻取り装置あるいはカバーリング装置を開発し、これらを組み合わせた短繊維繰糸機を試作した。

4.短繊維繰糸機により繰製したSRSは、生糸と比べて強力・伸度は劣り、また、ふしや太さむら等改善すべき問題もあるが、ヤング率が小さく、嵩高性に富み、その嵩高度は生糸の1.5倍程度あり、製織試験の結果、27d生糸でs 600T/mのカバーリングを施したのち精練・染色したSRSをよこ糸にして、風合の良いスーツ地、ジャケット地が製織できた。


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