90.フィブロイン産生に関与するtRNAtRNA遺伝子の解析(1988)

松崎慶子(1988)フィブロイン産生量の異なる蚕のtRNAtRNA遺伝子のクローニング.蚕糸試験場報告 30(5)739-751

1.正常蚕の後部絹糸腺はフィブロインを生成するが、NdNd-s蚕ではフィブロイン生成能が極度に低下している。後部絹糸腺のtRNAの電気泳動像に関して、Nd蚕の場合もNd-s蚕と同じく、正常蚕、三眠蚕、大鷲の場合に見いだされたグリシンtRNAとアラニンtRNAの後部絹糸腺のみに存在するアイソアクセプターは認められなかった。

2.高速薄層クロマトスキャンナーの使用によりtRNAのアイソアクセプターの定量が可能になったので、突然変異蚕と繭層重の異なる蚕の間で後部絹糸腺に特異的なtRNAと組織に共通なtRNAの比が繭層重に比例することを明らかにした。

3.フィブロイン産生能を欠いている突然変異蚕(Nd-s)の場合、正常蚕の後部絹糸腺に特異的に存在するアラニンtRNAやグリシンtRNAのアイソアクセプターの生成が制御されている理由を遺伝子レペルから解明するため、Nd-s蚕のアラニンtRNA遺伝子のクローニングを試みた。

4.既報の2.4KbのアラニンtRNA遺伝子は5'末端を欠いているため、特に26Kb5'末端を含む長いアラニンtRNA遺伝子をクローニングし、Southernの方法によりアラニンtRNA遺伝子であることを同定した。


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