98.春蚕用蚕品種「日137号×支146号」(1989)

農産園芸局(1989)蚕の新品種−春蚕用「日137号×支146号」.技術資料 第118号:5-6

1.日137号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において育成した二化性白繭系日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は青系に淡赤系を混じ、斑紋は形である。蚕児の経過は日134号とほぼ同じである。虫質は強健であるが、眠起の取扱いを適切にし、稚蚕期は特に充実した桑を飽食させることが肝要である。繭は白色の豊大な浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と支146号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しい時は、本種の催青着手を約3日早くすればよい。蚕種の人工孵化は、即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

2.支146号
  化性:二化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において育成した二化性白繭系中中固定種である。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青系で、斑紋は眠性形質を有し、雌は形、雄は姫であって、4齢起蚕より熟蚕まで斑紋による雌雄鑑別が容易である。蚕児の経過は支135号とほぼ同じである。虫質は強健で、稚蚕期、壮蚕期ともに食桑活発で、蚕体はよく肥大する。眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易であるが、経過が早いので拡座を早めに行い、桑不足にならないように注意することが大切である。また、雌蛹の長期冷蔵はつぶれ卵が発生しやすいので、避けたほうがよい。繭は白色の楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は帯緑藤鼠である。
  本種と日137号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を約3日遅くすればよい。蚕種の人工孵化は、即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

3.日137号×146号
  化性:二化性。系統:日中交雑種。適用蚕期:春蚕期および夏秋蚕期
  本種は日中一代交雑二化性の白繭種で、稚蚕人工飼料育用および桑葉育用の品種である。
  蚕児の体色は青系であるが淡赤茶を混ずることがあり、斑紋は形である。蚕児の経過は日134×支135号とほぼ同じである。稚蚕人工飼料育、桑葉育ともに眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易である。虫質は強健であり、食桑は活発で発育が早いので、桑不足にならないようにすることが大切である。繭は白色の楕円形で、ちぢらは普通である。
  本種は虫質強健で繭重、繭層重ともに重く、収繭量が多い。繭糸量が長く、解舒良好で、生糸量歩合、小節点も優れている。繭糸繊度は春蚕期3.0デニール内外、夏秋蚕期2.8デニール内外である。


 研究成果の目次に戻る