104.カイコ核多角体病ウイルスベクター系の構築と外来遺伝子の発現(1990)

小林 淳(1991)バキュロウイルスベクター蚕昆研1号の開発.蚕糸昆虫研ニュース No.122

1.昆虫ウイルスを利用した有用物質生産体系の確立に資するため、外来遺伝子の導入に効率的な培養細胞株と核多角体病ウイルスの系を開発し、その系および幼虫体における外来遺伝子の 導入・発現を図った。

2.その結果、カイコ培養細胞株SES-BoMo-15Aから、付着性が強く、カイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)に高感受性のNISES-BoMo-15AUc株がクローニングされ、次に外来遺伝子発現ベクターを作出するためにBmNPVのクローンBmNPV P6E株を得た。

3.このP6E株からポリヘドリン遺伝子を含むフラグメントが合成オリゴヌクレオチドをプローブとして検出され、塩基配列が決定された。さらに、この遺伝子の5’上流と3’下流の領域を用いて、外来遺伝子発現のためのフュージョン型(pBm13)およびノンフュージョン型 (pBm4)トランスファーベクターが作出された。

4.pBm 4ベクターに外来遺伝子としてα-アミド化酵素(α-AE)遺伝子を組み込み、この遺伝子の発現をみたところカイコ幼虫体液中にα-AEの生産されていることが確認され、昆虫培養細胞株−核多角体病ウイルスベクター系からなる有用物質生産技術の確立が実証された。

5.α-アミド化酵素(α-AE)遺伝子を組み込んだ組換え体ウイルスをカイコ幼虫に感染させて4日後に、比活性0.93×105 u/mgα-AEが体液1ml当たり約40μg生産された。


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