133.紫外線照射による桑炭そ病潜在感染の早期診断(1993)

白田 昭(1993)紫外線照射によるクワ葉でのクワ炭そ病の病斑誘発.日本植物病理学会報 59(3)259-262

1.Colletotrichum dematium=C. morifolium)による桑炭そ病 は、夏から秋にかけて全国の桑園でみられ、発病条件が揃うと激発する病気であるが、感染経路、侵入・発病過程は不明であった。そこで、桑葉にストレスを付与して熟化と似た現象を起こし、病斑の顕在化を試みた。

2.潜在感染した桑葉の裏面に紫外線(波長230310m)を3〜5分間照射し、25℃の湿室に保つと、照射葉は2〜4日で褐変し、潜在的感染部は病斑として出現した。

3.この病斑を数えることによって、検査葉の潜在的感染程度が判定できた。

4.出現した病斑部には、数日で胞子堆ができ、そこに分生胞子と剛毛を生じた。

5.胞子堆を含む葉片をPSA培地(2%スクロース添加ジャガイモ煎汁寒天)上に置くと炭そ病菌が優位に増殖するため、本菌の分離は容易であった。

6.本法によって分離した菌と胞子は、常法による分離菌と同様の病原性を示した。以上の結果、本法は、菌の分離および早期診断に有効であることが判明した。


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