149.鱗翅目昆虫の人工授精法(1995)

神田俊男、田村俊樹(1996)鱗翅目昆虫の人工授精法の開発.蚕糸昆虫研ニュース No.304

1. 鱗翅目昆虫であるカイコの雄蛾の生殖器官内の精子または交尾後の雌蛾の精包内成熟精子を体外に取り出し、希釈などの操作を行った後精液をマイクロキャピラリーに詰め、窒素ガスを利用した注射装置により未交尾の雌蛾の交尾嚢に注入する方法を確立した。

2.体外に取り出した精液はGraceの培養液等で希釈することができる。

3.そのためDMSOやグリセロール等の凍結保護物質での処理やDNAの導入操作を体外で行うことが可能である。

4.無処理の精液を未交尾の雌蛾に注入し、25℃で産卵させた結果、従来の方法に比較して受精卵を産卵する個体の割合が高くなった。また、1蛾当たりの産卵数や受精卵数は正常に交尾したものとほとんど顕著な差が見られなかった。

5.以上の結果、今回開発された方法を用いることにより、カイコにおいても人工授精を利用した研究を行うことが可能になった。


神田俊男、田村俊樹「鱗翅目昆虫の人工授精法」(特許登録:26880141997年8月22日)

1.鱗翅目昆虫の雌蛾個体の周囲を交尾嚢管が露出する状態で保護部材で被い、次いでその周囲を粘土で被ったものを固定台に固定し、固定された前記鱗翅目昆虫の雌蛾個体の交尾嚢管内に、窒素ガス圧力の調整可能な注入装置を用いて、体外に取り出した鱗翅目昆虫の雄蛾個体の精液を一定の窒素ガス圧力下で注入し、授精させることを特徴とする鱗翅目昆虫の人工授精法。

2.前記鱗翅目昆虫がカイコ蛾であることを特徴とする請求項1記載の鱗翅目昆虫の人工授精法。

3.前記注入装置が窒素ガスボンベと圧力調整器と三方電磁弁とを有し、これらがこの順に連結されてなり、前記三方電磁弁には接続部材を介して精液注入用キャピラリーが装着されており、このキャピラリーから一定の窒素ガス圧力下で精液を雌蛾個体の交尾嚢管内に注入することを特徴とする請求項1又は2に記載の鱗翅目昆虫の人工授精法。

4.前記窒素ガス圧力が0.1〜2.Kg/cm2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鱗翅目昆虫の人工授精法。


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