159.カイコ腸内での植物葉面細菌の定着と細菌間の遺伝子伝達(1996)

Watanabe, K. and M. Sato (1998) Plasmid-mediated gene transfer between insect-resident bacteria, Enterobacter cloacae, and plant-epiphytic bacteria, Erwinia herbicola, in guts of silkworm larvae. Current Microbiology 37: 352-355
Watanabe, K., W. Hara and M. Sato (1998) Evidence for growth of strains of the plant epiphytic bacterium Erwinia herbicola and transconjugation among the bacterial strains in guts of the silkworm Bombyx mori. J. Invertebrate Pathology 72: 104-111

1.春から夏までの間、蚕糸・昆虫農業技術研究所圃場のクワ葉面から多数の細菌が得られたが、E.herbicola群細菌、Pseudomonas syringaeが優勢フローラであった。また、全齢桑葉育した5齢カイコからは4種の細菌が分離され、E.herbicola群細菌、Staphylococcus sp. が優勢フローラであった。

2.植物葉面細菌を含む人工飼料をカイコに与え、中腸及びフン中の細菌数を調べたところ、カイコ、クワ由来のE.herbicola群細菌は定着、増殖していたが、P.syringaeは定着しなかった。これらの結果から、植物葉面細菌の一部は昆虫腸内で定着、増殖し、再び植物上に拡散していることが示唆された。

3.昆虫腸内に定着するE.herbicola群細菌間のカイコ腸内でのプラスミド伝達について検討したところ、分離細菌からは高頻度に伝達プラスミドpBPW1::Tn7RSF1010を保持する受容菌(接合菌)が検出された。また、E.herbicola群細菌からE.cloacaeへの伝達でも、接合菌が分離された。さらにRSF1010の移行はサザン法によっても確認された。これらの結果から、E.herbicola群細菌、E.cloacae等の植物・昆虫定着細菌は昆虫腸内で接合伝達することによって、自然界において遺伝子拡散していることが示唆された。


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