165.極細繊度蚕品種「改良しんあけぼの」(1996)

山本俊雄、間瀬啓介、岡田英二(1996)蚕の新品種−特徴ある蚕品種「(日511号×512号)×(中511号×中513号)」.技術資料 第131号:13-16

1.日511号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において育成した日505号について糸質の良好な細繊度品種として分離・育成した二化性白繭系の日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、幼虫の体色は淡赤系で、斑紋は形である。幼虫の経過は日137号に比べて稚蚕は大差ないが、壮蚕は約1日長い。また、虫質は強健で眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易であるが、5齢期がやや長いので5齢末期まで良桑を給与することが望ましい。繭は浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と日512号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、催青着手を1日早くすればよい。蚕種の人工孵化は即浸、冷浸ともに6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

2.日512号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において細繊度品種として育成した二化性の日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、幼虫の体色は淡赤系で、斑紋は形である。幼虫の経過は日137号に比べて稚蚕、壮蚕とも大差ない。また、虫質は強健であるが、眠起の取扱いを適切にし、稚蚕期は特に良桑を給与することが望ましい。繭は浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と日511号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、催青着手を1日遅くすればよい。蚕種の人工孵化は即浸、冷浸ともに6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

3.日511号×日512号
  化性:二化性。系統:日日交雑原種
  蟻蚕は暗褐色を呈し、幼虫の体色は淡赤系で、斑紋は形である。幼虫の経過は日137号に比べて稚蚕は大差ないが、壮蚕は約1日長い。また、虫質は強健であり、桑不足にならないように注意すれば春、夏秋ともに飼育は容易である。繭は浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と中511号と中513号との交雑原種を交配する場合、両交雑原種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を4日早くすればよい。蚕種の人工孵化は即浸、冷浸ともに6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

4.中511号
  化性:二化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において細繊度品種として育成した二化性の中中固定種である。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、幼虫の体色は青系で、斑紋は形と姫を混ずる。幼虫の経過は支146号に比べて稚蚕は大差ないが、5齢は約半日短い。また、虫質は強健であるが、眠起の取扱いを適切にし、稚蚕期は特に良桑を給与することが望ましい。繭は楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は帯緑藤鼠である。
  本種と中513号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を同時にすればよい。蚕種の人工孵化は即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

5.中513号
  化性:二化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において細繊度品種として育成した二化性の中中固定種である。また、広食性を有している。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、幼虫の体色は青系で、斑紋は雌は形、雄は姫となる限性形質を有し、雌雄鑑別の容易な品種である。幼虫の経過は支146号に比べて稚蚕は大差ないが、5齢は約半日短い。また、虫質は強健であるが、眠起の取扱いを適切にし、稚蚕期は特に良桑を給与することが望ましい。繭は楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は帯緑藤鼠である。
  本種と中511号とを交配する場合、両品種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を同時にすればよい。蚕種の人工孵化は即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

6.中511号×中513号
  化性:二化性。系統:中中交雑原種
  蟻蚕は黒褐色を呈し、幼虫の体色は青系で、斑紋は形と姫を混ずる。幼虫の経過は支146号に比べて稚蚕は大差ないが、5齢は約半日短い。また虫質は強健であり、桑不足にならないよう注意すれば春、夏秋ともに飼育取扱いは容易である。繭は楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は帯緑藤鼠である。
  本種と日511号と日512号との交雑原種を交配する場合、両交雑原種の取扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を4日遅くすればよい。蚕種の人工孵化は即浸では5分、冷浸では6分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

7.(日511号×日512号)×(中511号×中513号)(愛称:改良しんあけぼの)(この四元交雑種を1・2×1・3と略称する)
  化性:二化性。系統:日中交雑種。適用蚕期:春蚕および夏秋蚕期
  本種は日中四元交雑二化性で、稚蚕人工飼料育および桑葉育に適し、繭糸繊度の細い特徴ある蚕品種として指定された通年品種である。
  幼虫の体色は青系に淡赤系を混じることがあり、斑紋は形である。幼虫の経過は日137号×支146号に比べて稚蚕、壮蚕ともに大差ない。また、稚蚕期の人工飼料育、桑葉育ともに眠起はよく揃い、飼育取扱いは容易であるが、5齢期には盛食期の食桑がやや少ないので、給桑量に注意する必要がある。繭は楕円形に浅縊俵を混じ、ちぢらは普通である。
  本種は虫質強健で経過が早く、極めて飼育し易い品種である。繭重、繭層重、収繭量、生糸量歩合はやや低いが、繭糸繊度は初秋・晩秋蚕期には2.2デニール内外と細く、繭糸長が長い優れた特徴がある。用途としてはハイブリッドシルク用のほか、極細高級生糸用に適する。


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