173.細繊度・広食性蚕品種「ほのぼの」(1997)

山本俊雄、間瀬啓介、山田敏子、長坂幸吉、岡田英二、榎島守利、伊坪友子、熊井敏夫、和泉清二、宮島たか子(1998)特徴ある蚕品種:日513×514号(愛称:ほのぼの).技術資料 第134号:1-2

1.日513号
  化性:二化性。系統:日日固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において細繊度・広食性系統として育成した二化性白繭系の日日固定種である。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、幼虫の体色は淡赤系で、斑紋は形である。幼虫の経過は日137号に比べて稚蚕は大差ないが、壮蚕は約1日長いので、注意を要する。飼育中は眠起は良く揃い、春および夏秋蚕期とも飼育取り扱いは容易であるが、5齢期はややしめ飼いとした方が産卵成績が良い。繭は浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と「中514号」とを交配する場合、両品種の取り扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を5日早くすればよい。蚕種の人工孵化は、即浸では5分、冷浸では6分の塩酸浸漬時間が適当である。

2.中514号
  化性:二化性。系統:中中固定種。来歴:本種は農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所において細繊度・広食性系統として育成した二化性白繭系の中中固定種である。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、幼虫の体色は青系で、斑紋は雌が形蚕、雄が姫蚕となる限性形質を有している。幼虫の経過は支146号よりやや早く、全齢で約1日短い。また、強健で飼育取り扱いは容易である。なお、上蔟から発蛾までの期間が短いので、蛹期の取り扱いには注意を要する。繭は楕円形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は帯緑藤鼠である。
  本種と「日513号」とを交配する場合、両品種の取り扱いがほぼ等しいときは、本種の催青着手を5日遅くすればよい。蚕種の人工孵化は、即浸、冷浸ともに5分前後の塩酸浸漬時間が適当である。

3.日513号×中514号(愛称:ほのぼの)
  化性:二化性。系統:日中交雑種
  本種は日中二元交雑の白繭種で、繭糸繊度が細く、しかも広食性を有する特徴ある蚕品種である。幼虫の体色は青系に淡赤系を混じることがあり、斑紋は形である。1〜4齢の低コスト人工飼料育によく適合する。
  幼虫の経過は「しんあけぼの」に比べて稚蚕期及び壮蚕期ともほぼ等しい。幼虫は強健で、稚蚕、壮蚕とも眠起はよく揃い、飼育取り扱いは容易である。5齢期は短めで盛食期の食桑はやや少なめであるので、給桑量に注意する必要がある。4齢まで低コスト人工飼料で飼育すると、解舒率が多少低くなることがあるので、上蔟時には通風・換気を行い、多湿にならないよう注意する必要がある。繭は白繭の楕円形で、ちぢらは普通である。繭糸繊度は2.2デニール内外である。
  本種は低コスト人工飼料育による細繊度繭糸の生産が可能であり、全齢人工飼料育による通年多回育による高品質繭の計画生産ができる。用途としては極細高級生糸用及びハイブリッドシルク用に適する。

※山本俊雄、間瀬啓介、長坂幸吉、岡田英二、宮島たか子、伊坪友子、榎島守利(2000)細繊度・広食性蚕品種「ほのぼの」の育成.日本蚕糸学雑誌 69(1)31-37


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