192.カイコ体液に反応して形態変化するカイコ胚由来培養細胞株(1999)

今西重雄(2000)体液に反応して形態変異するカイコ培養細胞株の樹立.蚕糸昆虫研ニュース No.482
Imanishi, S. (1997) A role of hemolymph in the development of the neurites of neurons cultured in cell line derived from the embryonic brain of Bombyx mori.
 2nd Intnl. Conf. on "INSECT-Chemical, Physiological and environmental aspects". 81-87

1.カイコ品種「五眠白」の器官形成期の胚の断片化した頭部組織を培養して、グリア細胞状の形態を示すカイコの連続継代性培養細胞株(NISES-BoMo-BEN5)を樹立した。BEN5培養細胞株はEXCELL400培地(血清無添加)+10%牛胎児血清+3%カイコ体液(53日目)の継代用培地で通常培養されている。細胞は付着性であり、培養開始後球型細胞が線維を伸長して緊密な網目構造を形成し、その後活発な増殖がみられる。

2.上記の性状は培地の組成により変化する。即ち、BEN5培養細胞株はEXCELL400培地+10%牛胎児血清で培養すると細胞の線維形成は低下し、形状は、多くの細胞が球形のままで複雑な網目構造を作らない。また、EXCELL400培地+10%体液で培養すると線維の伸長は顕著であるが、細胞の増殖はみられない。本培養細胞株は継代用培地から無血清EXCELL400培地に移しても培養はできる。

3.BEN5培養細胞株は上記のように形態変異を起こすことから、変異を指標に生理活性物質や薬物等の検定系として利用が期待できる。また、線維の網目構造の形状はグリア細胞に酷似しており、今後確認の上、神経系培養細胞株として農薬等の検定系としても利用が望める。

※今西重雄、原 敏夫、西川茂道「カイコ培養細胞系」(特許登録:30356162000年2月25日)


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