204.マルチプライマーPCR法を用いた新しい微粒子病検査法(2000)

畠山吉則、早坂昭二(2001)マルチプライマーPCR法を用いた新規微胞子虫検出方法.日本蚕糸学雑誌 70(3):163-166

1.微胞子虫は絶対寄生性の原生動物で、これまでに約1000系統が分離されている。微粒子病は経卵や経口によって感染するために伝染性が非常に強い。

2.カイコ微粒子病は、これまで母蛾検査法によって未然に防止されてきた。しかし本法は、胞子の検出による判別が主であるため、胞子を形成していない初期感染の病原を検出する事は困難であった。

3.これまで難しかった蚕種検査にも応用できる新しい微粒子病の検査方法を開発する事を目的として研究を行い、マルチプライマーPCR法を開発した。

4.既に解析されている遺伝子配列をもとに各微胞子虫を特異的に検出することができるプライマーを設計し、個々の微胞子虫ゲノムDNAを鋳型にPCRを行った結果、目的の微胞子虫にのみ予定された大きさのDNA産物を生じた。

5.各微胞子虫を特異的に検出するプライマーを複数混合し、マルチプライマーPCRを行った場合でも目的の微胞子虫のみを特異的に検出することができた。

6.蚕種から抽出したDNAを鋳型にマルチプライマーPCRを行った結果、目的の微胞子虫を含むもののみを検出する事ができた。

※畠山吉則、早坂昭二、米村真之「マルチプライマーPCR法による病原生物検出法」(特許登録:34499612003年7月11日)


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