206.強力な異性体分離能を持つキラルカルボン酸(2000)

Harada, N., M. Watanabe, S.Kuwahara, A. Sugio, Y. Kasai and A. Ichikawa (2000) 2-Methox-2-(1-naphthyl) propionic acid, a powerful chiral auxiliary for enantioresolution of alcohols and determination of their absolute configurations by the 1H NMR anisotropy method. Tetrahedron: Asymmetry 11: 1249-1253
Ichikawa, A., S. Hiradate, A. Sugio, S. Kuwahara, M. Watanabe and N. Harada (2000) Absolute configuration of 2-methoxy-2-(2-naphthyl) propionic acid as determined by the 1H-NMR anisotropy method. Tetrahedron: Asymmetry 11: 2669-2675

1.農薬として使用される多くの化合物はラセミ体(2個の鏡像体の混合物)として生産、使用されている。ここでは、天然有機化合物の3次元の立体構造の解析と、光学分割に役立つ強力な異性体分離能を持つキラルカルボン酸を開発し、光学活性体農薬の合成を効率化することをねらいとする。

2.2-メトキシ-2-1-ナフチル)プロピオン酸(MαNP酸)と2-メトキシ-2-2-ナフチル)プロピオン酸(MβNP酸)は4級炭素原子の不斉中心を持つため、酸とアルカリに対して化学的に安定であり、高純度の光学活性体を作ることができる。

3.Prelogの立体選択的合成方法と核磁気共鳴(NMR)スペクトルの解析によりキラルカルボン酸MαNP酸とMβNP酸の絶対立体配置がそれぞれ (S)-(+)であることを明らかにした。

4.今回開発した新規キラルカルボン酸は1級および2級アルコールについて強力な異性体分離能を持っている。これまで既存の光学分割剤では不可能だったシトロネロールの光学分割が可能になった。

5.MαNP酸誘導体がMβNP酸誘導体より高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析について優れた分離を示すことが多い。

6.MαNP酸誘導体は順相系シリカゲルカラムで良好な分離を示す。順相系カラムは逆相系ODSカラムより大量に分離精製を行うことが可能なため、実用上都合が良い。


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