208.培養細胞を用いたウォルバキアの培養(2000)

Noda, H., T. Miyoshi and Y. Koizumi (2002) In vitro cultivation of Wolbachia in insect and mammalian cell lines. In Vitro Cell. Dev. Biol.-Animal 38: 423-427

1.節足動物に広く感染している細菌の一種ウォルバキアWolbachiaは、宿主生物に細胞質不和合性(卵が発育しなくなる現象)、産雌単為生殖(雄が出現せず雌だけの集団となる現象)、雌性化(雄を雌にしてしまう現象)、雄殺し(雄だけが死んでしまう現象)などの性や生殖に係わる特異な現象を引き起こす。この細菌の機能研究は、基礎的にも応用的にも重要な課題である。しかし、このような細胞内共生微生物は、培養が困難なものが多い。そこで、培養細胞を利用して、ウォルバキアを培養する。

2.蚊から樹立された培養細胞NIAS-AeAl-2RCB0277)を、IPL-41Gibco BRL 11405)培地で培養した。ウォルバキアに感染したヒメトビウンカLaodelphax striatellusの卵巣を解剖して、その一部をこの培養細胞に加えて、28℃で継代維持した。

3.ウォルバキアを接種した細胞では、非接種の細胞と比べて、細胞の外観に変化が認められた。ギムザ染色により細胞内に細菌が観察でき、PCRでもウォルバキアの存在が確かめられた。電子顕微鏡観察でも、多くの微生物が培養細胞の細胞質に認められた。ABI7700塩基配列検出装置を用いて、定量PCRを行うことにより、ウォルバキアが増殖していることを確認した。

4.蛾の培養細胞BCIRL-HZ-AM1でも、ウォルバキアの感染が確認でき、また、哺乳類の細胞L929(マウス由来)でもウォルバキアを維持できた。また、ショウジョウバエDrosophilasimulansのウォルバキアも培養に成功している。


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