Z 繰糸 −糸を繰る−

 繰糸はにまゆから生糸を作る工程で、できた生糸の品質と歩留り、繰糸の能率などの結果は工場の操業成績に直接的な影響を及ぼす最も重要な工程である。そのため、乾燥、選繭、合併、煮繭等の処理はすべて繰糸工程で良い結果を得るための前処理であり、揚返し・仕上げ工程は製品としての形を整えるための後処理であるとみなすことができ、工場の中では繰糸のために極めて高額の設備を施すとともに最も多数の従業員を配置している。したがって、繰糸作業にあたっては基本技術を忠実に守り、時間や繭糸の無駄を少なくして良質の生糸を能率良く生産できるように心掛けるとともに常に技術の向上に努力していくことが望まれる。
 なお、繭から生糸を作る繰糸の方法には古くから行われてきた座繰り(ざぐり)法のほか、座繰(ざそう)法、多条繰糸法、自動繰糸法などがあり、現在でも座繰り法が行われているところもあるが、器械製糸工場ではすべて自動繰糸法によって生糸生産が行われているので、ここでは自動繰糸機とそれを使う場合の繰糸法について説明することとする。

1.自動繰糸機
 自動繰糸機とは、にまゆから正緒を求め、正緒の出た繭を適量ずつ給繭機に移して繰糸部に運び、繰られている生糸が細くなっているところに繭を1粒ずつ接緒して目的どおりの繊度の生糸を作って枠に巻き取る作業を自動的に行う装置である。
 繭がカイコという昆虫の作ったものであるために個体によって形や性質が異なっており、繰糸に不適当な繭や正緒が出ていないものが繰糸槽に送られたり、繰糸中に大きな節が出たりして糸故障を起こすことがある。また、給繭器のなかに糸口のない繭ばかりが残ってしまったりして繭の新陳代謝が乱れてしまうことも多く、糸故障の修理や繰糸中の粒付管理、給繭機内の繭数の調整などのためにかなり多くの人手を要しているが、落緒した繭を集めて繰り終わった繭とまだ糸が繰れる繭とを分類して繰れる繭を索緒部に戻す操作も含めて、生糸を作るための基本的な作業はすべて自動化されている。
 このような自動繰糸機の全体の機構は図・14に示すとおりであるが、その中でとくに重要な部分は索緒・抄緒装置と糸道機構、繊度感知と給繭・接緒機構の4つであるので、以下にそれら機構と働きについて述べる。ここで糸道機構とは繭から引き出した繭糸を生糸にして枠に巻き取る装置のことで、生糸が作られている糸道の1つ1つを(ちょ)と呼んでおり、自動繰糸機には1セットあたり400〜480緒分の糸道機構が装置されている。なお、現在わが国で使われている自動繰糸機には目産自動車叶サ(図・14)と恵南産機叶サの2種で、索緒・抄緒や給繭の方式で異なる部分があるので、とくに必要な場合は区別して述べることにする。

 (1) 索緒・抄緒
 煮繭機から出たにまゆは配繭器により索緒部(図・15)に移されて新繭補充器に蓄えられたあと少量ずつ索緒槽に送り込まれ、落繭分離機から分離されて戻ってきた落繭と一緒に索緒される。索緒槽の湯の温度はほぼ80〜85℃に保たれており、左右に反転運勤しながらゆっくり時計方向に回転している索緒体のほうき(箒)に接触すると繭の最外層から緒糸が引き出される。この索緒部で出た緒糸は抄緒粋に移され、緒糸の出た繭は抄緒粋の回転によって引かれるとともに索緒繭バスケットによって抄緒槽に移されるが、緒糸が出なかった繭は緒糸が出るまで索緒体とともに何回も索緒部を巡回することになる。
 抄緒槽の温度は40〜45℃に保たれており、索緒槽で軟らかくなっていたセリシンがある程度固められるとともに抄緒粋の回転によって緒糸がすぐられて1本の正しい糸口が求められる。このような処理によって糸口が出た繭は正緒繭待機部に蓄えられ、補充要求のあった給繭機(器)に順次移される。なお、この過程で緒糸が切れてしまった繭は落繭バスケットによって索緒槽に戻されて索緒が繰り返される。

 (2) 糸道機構
 繭から出た糸口を何粒分か合わせて1本の生糸にするには繭を湯の中につけて糸を繰るのが合理的であり、その湯のことを繰糸湯と呼んでいる。自動繰糸機の繰糸湯の温度はセリシンが溶け出したり、逆に固まったりすることがないようなぬるま湯の程度(40℃前後)としている工場が多い。このように湯をはって糸を繰る部分を繰解部または繰糸槽といい、そこでできた生糸は糸道機構を経て小粋に巻かれる。
 普通の自動繰糸機の糸道機構は図・16の中央の概略図に示すとおりで、まず、正緒繭から引き出された繭糸は何粒分か一緒に回転接緒器(機能はあとで述べる)を経て集緒器を通り1本の生糸にまとめられる。集緒器にはボタン式とスリット式とがあり、そこには小さな孔または狭い間隙があって通過する生糸に大きな節があるとそこに詰まって通れなくなり、糸道の上部に設けられた小粋停止装置が働いて生糸の巻き取りを止める仕組みになっている。集結器を通過した生糸は図・16の左側の図に書かれているように@〜Eの順に走り、AとDの重なった部分で撚(よ)り合わされる。ここで撚り合わせる回数を100回とすると撚り合わされる部分の糸の長さはほぼ8cmとなり、繰糸中に生糸はその部分では高速回転(糸が走る速度を1分間あたり150mとするとここの部分で糸が回転する速度は19万回/分の割合となる)して生糸は締め付けられ、繭糸がお互いに良く接着して断面の形が丸くなるとともに生糸に付いている水分を飛散(遠心脱水)させる。このようにして繭糸が良く接着してしまって離れなくなっている状態を抱合(ほうごう)という。
 この撚り合わせの部分は単に撚り、またはケンネル式撚り掛け機構と呼ばれており、仮よりであるためにそこを通過したのちに撚りは完全に戻ってしまい、できた生糸に撚りは掛かっていない。

 撚りを通過した生糸は繊度感知器と小粋停止装置のストップレバー、絡交(らっこうと読む。あやふり、トラバースなどとも呼ばれる)とを通って小枠に巻き取られる。繊度感知器はあとでも詳しく述べるように繰られている生糸の繊度が目的より細くなっているかどうかを検知するもので、ここで細くなったことが感知されたときは繰解部に新しい繭を補給する動作を指示する。またストップレバーは先に述べたように集緒器に節が詰まったり、何らかの理由で糸道にトラブルが生じたりして生糸を巻き取る力が異常に高くなった場合に上昇して小粋の回転を停止させる仕組みになっており、絡交では小粋に巻かれる生糸が同じところばかりに重ならないように左右に振り分けている。小粋の周囲(図では小粋の右側と下部)には何本かの蒸気管が設けられておりその熱によって巻き取った生糸を乾燥させている。
 なお、糸道内の5か所に鼓車(こしゃと読む。走る糸にさわって廻る小さな車輪)が設けられており、そこを通して生糸の進行方向を変えたり、生糸を繊度感知器や小粋停止装置のストップレバーに導いたりする役目を果たしている。
 (3) 繊度感知
 繰糸の目的は煮繭から引き出した繭糸を何本か合わせて目標とする繊度の生糸にすることであり、自動繰糸機では繊度感知器を用いて製造する繊度の管理を行っている。現在一般に使われている繊度感知器は図・17に示すようなスリットゲージ型と呼ばれるもので、繰られている生糸がだんだんに細くなり、あるいは落緒が生じたりして一定の繊度より細くなったときにそれを感知して接緒の指示を出すものである。 このように接緒指示を出す繊度を細限接緒繊度といい、新しい繭が接緒されるとその繭糸の繊度だけ生糸の繊度は太くなる。 したがって、あとで述べる給繭・接緒機構が正常に作動しているとき繰られる生糸の繊度は常に細限接緒繊度とそれに繭糸1本分の繊度を加えた繊度との間に管理されていることになる。
 繊度感知器は2枚の円形もしくは長方形のガラス板(ガラス板の代わりにセラミックス板を使ったものも使われている)の間に目的とする繊度の生糸の直径に相当する厚さの樹脂のフィルム(マイラー)を挟んだもので、フィルムによってできた隙間(すきま)に生糸を通して走らせたとき、生糸が太いときは生糸とガラス面との摩擦(まさつ)によって糸が走る方向に感知器を回転しようとする力が働くのに対し、細くなったときは摩擦がなく動かないことを利用して細限接緒繊度より太いか細いかを検知している。狭い隙間を濡れている生糸を通すのでセリシンがしごかれて中に詰まって感度が低下したり、また、その際の摩擦によって糸に張力がかかって生糸が伸びてしまい品質を悪くしたりすることがあるので、常時繊度感知器を通すようなことはせず一定の時間間隔で糸を入れたり出したりしている。そのため図・17で断続鼓車がAの位置にあるときは生糸は繊度感知器から外れており、A’に移動すると繊度感知器に入って繊度感知が行われる。
 繊度感知器には調整錘(図のD)が組み込まれており、その重みで図の制限棒はBの位置に止まっているがそれには常に下向きの力Wがかかっている。この状態で生糸が感知器に入ると生糸が細限接緒繊度より太いときは摩擦力がWを上回って制限棒はB’の方向に上がり、一方、細限接緒繊度より細くなったときはBの位置に止まっていて、断続鼓車の動きと連動して作動している探り金具にキ申ッチされて接緒指示が出される。このように、繊度感知器は走っている生糸の直径の変化をミタロン(1,000分の1mm)の精度で計っている精密機器であり、感知器ケースヘの脱着や洗浄などの取り扱いには他のものに当てたり、落としたりして性能を狂わせないよう細心の注意を要する。

 (4) 給繭・接緒
 目的とする繊度の揃った生糸を製造するには、繰られている生糸が細くなった場合に素早く正緒繭を授緒することが必要である。そのため日産式自動繰糸機の場合は正緒繭を入れて繰解部の周囲を巡回している給繭機から、恵南式自動繰糸機の場合は正緒繭待機部から、ともに接緒要求のあった緒に対して速やかに正緒繭が1粒ずつ接緒できるように準備されている。上でも述べたように繊度感知器が生糸の細限接緒繊度を感知して接緒要求が伝達されると接緒桿(せっちょかん)が降りて給繭機の繭取り出しフォークの駆動レバーを押し、正緒繭を取り出して繰糸槽に投入して接緒が行われる(図・5)。回転接緒器は繰解部と集緒器の中間にあってプロペラのような羽根が高速で回転しており、それに接緒された繭の糸口が接触すると繰られているほかの繭糸に巻きつけられ一緒に引き上げられて接緒が行われる。接緒が終わると駆動レバーは元に戻り、つぎの接緒要求に備える。

2.繰糸方法
 自動繰糸機では索緒・抄緒、給繭・接緒、落繭の捕集・分離、生糸の巻き取り、糸故障の感知と小粋の回転停止等の単純な操作はすべて自動化されているが、索・抄緒部や給繭機、繰解部などでの繭の流れの調整、糸道機構等の管理、糸故障の修理等、作業者の判断を必要とするさまざまな操作については熟練した作業者の手作業を必要としている。これらの作業は図・18に人員配置の一例を示すように何人かの繰糸作業者が分担して行っており、以下に自動繰糸機各部において繰糸作業者が担当している主な作業と管理事項とについて述べる。

 (1) 索緒・抄緒の管理・調整
 索緒・抄緒部は繰解部に対する正緒繭の補給源である。 したがってこの装置での正緒繭の生産は繰解部での繭の消費量とバランスが取れていることが大切であり、とくに正緒繭の生産が不足した場合には繰糸速度を低下させたり、極端な場合は繰糸を停止しなければならない事態を招く。また、索緒と抄緒の技術の良否は単に正緒繭の生産能率だけでなく繰糸工程での糸故障や生糸の歩留り等にも大きな影響を及ぼす。そのため、索緒・抄緒装置の運転状態と繭の量や流れには十分注意し、円滑に索緒・抄緒が行われて適量ずつ正緒繭が給繭機に補給されるように管理することが大切である。
 なお、この索緒・抄緒工程で正緒が出た繭の割合を索抄緒効率、あるいは単に索緒効率と呼んでおり、正常に運転されているときの索抄緒効率は60%程度とするのが良いといわれている。したがってほぼ40%の繭は索緒部に送り返されて索緒が繰り返されることになる。
@ 索緒・抄緒の機械装置から異常音が出ていないか
  索緒・抄緒部は自動繰糸機の中で最も温度が高く、機械にも大きな負担がかかっている。機械の運動部分に緒糸がからんだりして無理がかかると異常音を発するので、そのような場合には原因を探しだして直ちに修理する。
A 索緒・抄緒部の湯の温度と水位は正しく調節されているか
  湯の温度が高いと糸口は良く出るようになるが、キビソが増えて生糸の歩留りを低下させ、繰糸中のズル節の発生も多くなる。逆に温度が低すぎると緒糸が出にくくなって索緒の効率が低下し、多量の無緒繭が抄緒部に滞留することになる。また、水位が高すぎたり低すぎたりすると正常な索緒・抄緒ができなくなるので湯の温度と水位の変化を少なくするように管理する。
B 機械の運動体は正常に動いているか
  バスケット、新繭フォーク、索緒体、抄緒体、抄緒部の往復板等の動きが異常になると槽内の繭の流れが乱れるので、運動体の動きに注意する。
C 索緒ぼうきは傷んだり軟らかくなり過ぎていないか
  索緒ぼうきは稲の穂の部分(ミゴ)を束ねたもので、長く使っていると先がすり減ったり、折れたりして索緒の効率が低下するので新しいものと交換する。
D 索緒部の繭は適量か
  索緒部の繭量は繭の解じょの良否や繰糸速度、生糸繊度等によって変わってくるが、多すぎても少なすぎても緒糸の量や索緒効率が低下してくるので、ほぼ800〜1,000粒に保たれている状態が良いといわれている。
E 索緒部から出てくる緒糸の太さは適当か
  抄緒粋に巻かれる緒糸の太さは繭の解じょや繰糸速度、生糸繊度等によって異なるが、通常より太いときは煮繭が老煮であったり索緒温度が高過ぎる場合であり、生糸の歩留まりを低下させる。逆に細いときは若煮であったり繭の数が不足している場合であって、索緒・抄緒の効率が低下して正緒繭の生産が不足する。繰糸条件や繭解じょの程度等により抄緒粋に巻かれる緒糸の標準的な太さを覚えておき、常にその太さを維持することが望まれる。
F 正緒繭補充部に正緒繭が適量待機しているか
  正緒繭補充部に待機している繭が多すぎると抄緒が不十分な繭が給繭機に補充されるようになり、一方少なすぎると適量の補充ができなくなるので、通常の繰糸が行われている場合は100粒程度待機しているように管理されているのが望ましい。
G 抄緒部とくに正緒繭補充部に無緒繭が多く滞留していないか
  抄緒中に糸口が切れてしまった繭(無緒繭。くち無し繭ともいう)がある程度正緒繭補充部に滞留することはやむを得ないが、これが多くなると無緒繭が給繭器に多く補給されることになるので手で落繭バスケットの方に移動させるなどの調整を行う。
 (2) 繰解部と糸道機構の管理
 糸道機構は生糸を作るうえで最も大切な部分であり、目的どおり正常に作動しているかどうか、繰糸機の周りを巡回しながら給繭機、繭粒付けから上部の小粋回転まで注意深く観察し、異常を発見した場合には、標準作業表・巡視段取り表(後記)に従ってなるべく早く修理または調整することが必要である。繰解部と糸道の管理について、あとで述べる繊度感知と給繭・接緒、糸故障修理にかかわる作業を除いて主な事柄をあげるとつぎのとおりである。
@ 繰糸粒付けは適正か
  1本の生糸を作るために付けなければならない繭の数は繊度感知器によって常に適正に管理されているぱずであり、例えば、繭糸の平均繊度が3dの繭を用いて27中の生糸を作る場合は各緒に付いている繭の数は9粒で、繭糸繊度が大い太い厚皮繭が多い場合は8粒、繭糸繊度か細い薄皮繭が多い場合は10粒となるように繭の内容によって1〜2粒程度増減しているのが普通である。 しかし、先に述べたように繊度感知器にセリシンが詰まったり、生糸が正しく繊度感知器を通らなかったりした場合には粒付数は異常に多くなったり少なくなったりする。このような普通の範囲を超えた場合は繊度感知器が異常であったり、あとでも述べるような給繭・接緒が正常に行われていなかったり、その他の様々な原因によって異常を来たしているので、直ちに手で粒数を補正するとともに異常となった原因を見つけだして正常な状態に戻すことが必要である。
A 繰糸湯温度は適正か
  自動繰糸機の繰糸湯の温度は、繭が長く滞留してもセリシンが溶け出したり、逆に固まったりすることがないような温度に調整されていることが望ましく、40℃前後に設定されている場合が多い。
B 落繭が繰解部に浮いていないか
  落繭は繰解部の底に沈み落繭捕集器によって外に運び出されるのが普通であるが、煮繭が不適当であったり何回も索緒を繰り返されたものは湯面に浮いたまま捕集されず、繰解部の湯面に滞留して粒付管理等の支障となるので手で除くとともに、浮き繭を少なくするよう煮繭条件、索緒条件等を点検することが必要である。
C 集緒器は正常なものが使われているか
  集緒器の孔が太過ぎたりスリットの間隙が広過ぎる場合には大きな節がそのまま通過してしまったり、逆に細すぎたり狭すぎたりした場合には繭糸がしごかれてセリシンが詰まるなどして糸故障を多発するので、使っている集緒器の孔やりスリットの形が正常であるかどうかを糸故障の発生状態等との関連で点検し、正しいものを使うことが必要である。
D 鼓車は正常に回転しているか
  鼓車は非常に早い速度で回転しているため軸がすり減ったり、鼓車の止め金具の孔が大きくなったりして外れて回転が止まってしまうことがある。そのような場合は繰糸張力が異常に高くなって小粋停止装置が作動したり、生糸の品質を損なうことが多いので鼓車が正常に回転しているかどうか点検し、不良なものは交換する。
E 撚りの長さと位置は適正か
  撚りは生糸の抱合と脱水に関係する重要な部分であるので、常に長さがほぼ8〜10cmになっているように管理しなければならない。大きな糸故障で撚りがなくなってしまい作り直したときには定められた回数の撚りをかけて長さを揃える。また、撚りの位置が高すぎたり低すぎたりした場合は鼓車外れその他の理由によって繰糸張力が異常になっているためであるので糸道を点検する。
F 絡交は正常に動いているか
  絡交の留め金がゆるんだり、生糸が絡交の溝を正しく通っていない場合は小粋に巻かれた生糸の幅や位置が乱れ、極端な場合は生糸が小粋から外れて小枠シャフトに巻き取られるので絡交の状態を監視することが必要である。
G 小粋は正常に回転しているか
  小枠回転のむらはできた綛の重量むらを作る。小粋心棒に生糸が巻き付いたり、繰糸張力が異常に高くなったとき、あるいは小粋が傷んでいる場合などにはスリップして回転速度が低下することがあるので、そのような小粋が発見された場合には原因を調べてそれを取り除く。
 (3) 繊度感知器の管理
 繊度感知とは繰糸中の生糸繊度があらかじめ設定されている細限接緒繊度より細くなったことを検知して接緒の指示を出すことで、自動繰糸機の中では人間の眼に相当する最も重要な部分である。したがって、繊度感知器は厳密に検査・調整されたものを用い、繰解部の粒付け数や接緒指示の状態などを見ながら正しく作動しているかどうか、注意深く監視することが必要である。繊度感知が正常に行われず、あるいは繊度感知が正しく行われても接緒ができないような状態が続くと繊度の極端に違う生糸が作られることになる。これは飛び繊度と呼ばれ、シルク製品に大きな欠点を作る原因となる。このような異常な緒が発見された場合はしるしをつけておき、あとで繊度を確認するなどの措置が必要である(標準作業表・繊度感知器管理参照)。
@ 繊度感知器は感知器ケースに正しく設置されているか
  大きな糸故障が発生したり、撚りを掛け直したときなどに感知器がケースの正しい位置から外れることがある。そのような場合は正常な繊度感知ができないので早急に正しい位置に戻す。
A 生糸が正しく繊度感知器に出入りしているか
  生糸が断続鼓車から外れたりして生糸が正しく繊度感知器に出入りしていない場合には繊度感知ができないので、断続鼓車が正しく作動するように調整する。
B 繊度感知器は汚れていないか
  繊度感知器を通過するとき生糸がしごかれてセリシンがスリットの壁面に付着したり、まれにカイコの脱皮殼やサナギの破片などが詰まったりすることがあるので、そのような場合は直ちにゲージ清浄板を用いて取り除<。また繊度感知器は1日おきもしくは2日おきに感知器ケースから外して洗浄することが望ましい。
 (4) 給繭・接緒の管理・調整
 繊度感知を人間の眼とすれば給繭・接緒は人間の手足の働きに相当する極めて重要な操作であり、これが素早く、正確に行われない場合には繊度の揃った品質のよい生糸を作ることはできない。
 給繭は、日産式自動繰糸機の場合は移動給繭機が常時操解部の周囲を巡回していて、生糸の繊度が細くなって接緒要求の出ている緒に接緒を行う仕組みになっており、一方、恵南式自動繰糸機の場合は接緒要求が出るとその緒に対して正緒繭待機槽で待機していた正緒繭が接緒され、正緒繭待機槽の繭が少なくなると繰解部の周囲を巡回している給繭器から待機槽に正緒繭を補充する仕組みになっている。したがって日産式、恵南式ともに接緒要求が出たときに素早く1粒ずつ接緒できるように正緒繭が準備されていることが必要である。そのため、まず、給繭機や正緒繭待機槽の繭の量は多過ぎず、少な過ぎない範囲に調整されていることが望ましく、給繭機(器)が繰解部を通過して抄緒部の下に達したとき適量の正緒繭が補充されなければならない。また、給繭機や正緒繭待機槽の中には無緒繭や未正緒繭が入っていないことも大切であり、接緒を行うときには正緒繭取り出しフォークに正緒繭が1粒正しく乗っているように管理されていることが必要である(標準作業表・緒繭機管理参照)。
@ 給繭機、正緒繭待機槽内の繭量は適量に調整されているか
  日産式の場合、給繭機内の繭量が少なすぎると移動中に繭が無くなってしまって接緒要求の出ている緒に接緒できなくなり、恵南式では正緒繭待機槽内の繭量が少なくなると正緒繭取り出しフォークに正緒繭が乗らない緒ができたりして繊度の細むらを作ることになる。一方、繭量が多過ぎると繭が正常に移動できなくなったり、繭が長い時間滞留してその間に糸口が無くなってしまうなどの支障を生じるので、繭量は常に適量に調整されていることが望ましい。この繭量は繭の解じょ、生糸の繊度、繰糸速度等によって異なるが、一般に正緒繭が補充された後の繭数は40 粒程度、繰糸機の左端に達したときに残っている繭数は12粒程度となっているのが最適とされており、恵南式では1緒あたり15粒程度(1釜では約300粒)の正緒繭が待機しているのが望ましいといわれる。
A 給繭機、正緒繭待機槽に無緒繭や未正緒繭が入っていないか
  無緒繭は生糸繊度の細むらを作り、未正緒繭は糸故障を発生する原因となる。給繭機や正緒繭待機槽の緒(お)がらみ軸を指先で回転してみたとき、動かないものは無緒繭であり、1つの繭から何本かの糸が出て持ちあがってくるのは未正緒繭であるので、そのような繭が発見された場合は取り除く。
B 給繭機内のアオリ板(振動底板)は正しく動いているか
  給繭機内のアオリ板の運動が不十分になると繭は取り出しフォークの方に送られなくなるので、給繭機は定期的に洗浄して糸屑やセリシンなどの汚れを除き給繭フォークやアオリ板などが正常に運動するように整備する。
D 正緒繭取り出しフォークに正緒繭が正しく乗っているか
  正緒繭取り出しフォークに正緒繭が乗っていない場合は接緒しても空接緒(からせっちょ、無効接緒ともいう)を行って繊度の細むらを作り、一方、取り出しフォークに2粒乗っていると2粒接緒となって太むらを作ることになるので、巡回中に取り出しフォークに正緒繭が正しく乗るように整理するとともに、繭量が少なくなって取り出しフォークの近くに繭が少なくなっている場合は緒がらみ軸を回転させながら繭を取り出しフォークの側に移動させる。
E 無効接緒は多くないか
  接緒をしたとき接緒が成功したものを有効接緒、接緒動作を行っても繭が取り出せなかったり糸口が無くて接緒が成功しなかったものを無効接緒といい、総接緒回数に対する有効接緒の割合を接緒効率という。接緒効率が低い場合は生糸の細むらの原因となるので接緒効率は高いことが望ましく、糸むらの少ない生糸を作るには接緒効率は80%以上を保つことが必要である。
 (5) 糸故障の防止と修理
 糸故障とは糸道内で発生したトラブルのために繰糸が停止した状態のことをいい、集緒器に節やセリシンが詰まり小粋停止装置が作動して小粋の回転が止まっただけで、節などの原因を取り除くことによって簡単に修理できるものを小故障、糸道内の生糸が切れてしまったり、小粋回転が停止して底に沈んだ繭が落繭捕集器に持ち去られ、粒付けがなくなってしまったりして修理に長い時間が掛かるものを大故障、小故障と大故障の中間のものを中故障と呼んで区別している。糸故障の修理に要する時間は作業者の熟練の程度によって異なるが、小故障にはほぼ8秒、中故障にはほぼ15秒、大故障には30秒近くの時間がかかるのが普通であり、故障中は繰糸が中断しているために繰糸能率が低下するだけでなく、修理のために生糸の一部をむだにしたり、糸をつないだためにつなぎ節ができるなどして生糸の歩留りや品質も低下させることになるので、ストップレバーの動きなど糸道の状態に十分注意し、結繭機内の未正緒繭や不良繭は除去するなどしてなるべく糸故障を起こさないよう管理するとともに、糸故障が発生した場合にはそれが大故障になったり隣の緒に故障を波及させたりしないよう素早く措置することが必要である。
@ ストップレバーは静止しているか
  ストップレバーは集結器に節が詰まったりして繰糸張力が異常に高くなったときに上昇して小粋停止装置を起動させるもので、起動する張力は繰糸する生糸の繊度に応じて設定されている。糸道の繰糸張力が高くなり始めるとわずかに上下を繰り返すなど微動し始めるので、集緒器や鼓車など糸道を点検して素早く原因を取り除く。
A 接緒器はきれいで正常に回転しているか
  接緒器を掃除しないまま使っていると、セリシンが付いたり接緒したときの緒糸の切れ端が巻き付いたりして接緒が正常に行われなくなり、接緒節を作って糸故障を起こしたり、接緒した繭の緒糸が結繭機に引かれていって(これを引き糸という)隣の緒の糸故障を起こすなどトラブルのもとになるので、接緒器は掃除してきれいに保ち、正常に回転するように整備しておく。
B 粒付流失防止装置は正常に作動しているか
  糸故障のため小粋回転が停止した場合には流失防止板(仕切り板、シャッターともいう)が下がって粒付けの流失を防ぐ仕組みになっているが、これが正常に作動しない場合には粒付けが落繭捕集器に持ち去られたり、その際隣の緒の粒付けも引っぱったりして大故障を引き起こすので、ストップレバーの動きに連動して流失防止板が正しく上下するように整備する。
C 糸故障の発生は多すぎないか
  糸故障の発生が多すぎると修理が間に合わなくなり、小粋が止まっている緒が多くなって繰糸能率が低下するだけでなく工程全体が混乱する。そのため糸故障の発生回数は巡視工1人の分担区内で1分間あたり1.5〜2.3回として、それを上回らないように小粋回転速度などの繰糸条件を設定し、巡視工が繰糸機の左端もしくは右端に達して振り返って見たときの糸故障数(スナップ糸故障数)は2〜3個の範囲にあるように管理されていることが望ましいとされている。
D 糸故障は糸道の下のほうから修理する
  糸故障には薄皮や未正緒繭の飛付きと、剥離(はくり)節、ズル節、未正緒繭その他による節詰まりなど種々のものがあるが、糸故障の修理にあたってはまず繭粒付けに注目し、授緒器、集緒器、撚り等の順に下部から原因を探し出して修理する。
E 小粋の生糸に大きな節は見えないか
  ズル節や薄皮(ようしん)飛付きなどで糸故障が発生した場合にはそれを修理するだけでなく、小粋に巻かれた生糸の表面を観察し、大きな節があったときはそれを除く。
F 生糸の切れ端は2mm以下になっているか
  節などを除いて生糸をつないだ場合に切れ端が長過ぎるとつなぎ節としてシルク製品にきずを作るので切れ端は結び目から2mm以下になるように切断する。

3.作業標準
 以上に述べた繰糸工程各部における作業標準(主なステップと操作手順)を示すとつぎのとおりである。表の中で、作業に使う手の指の1指とはおや指、2指とはひとさし指、3指とはなか指、4指とはくすり指、5指とはこ指のことをいい、鼓車の番号は生糸が移動する順番につけられている。また、右巡視とは繰糸機を右側に見ながら、左巡視とは左側に見ながら巡視することをいう。

作業名 主なステップ 標準作業手順と要領
接緒器通し
(約5秒)
1.通糸管に通糸針をさす  手の1・2指でつまみ上から入れる。
2.粒付けを作る  必要数の正緒繭を接緒器の手前に落として糸端を通糸針に巻きつける。
 回転接緒器停止中は左手の1・2指で糸端を通糸針に巻きつける。
3.通糸針を引き抜く  右手の1・2指で抜く。
4.糸端を持つ   左手の1・2指で糸端をはずす。
集緒器通し
(約7秒)

(写真1参照)
1.集緒器を取る  左手の1指を上に、2指を下にして集緒器ばさみから集緒器をはずす。
2.穴を調べる  左手の2・3指で集緒器をはさんで水をすくいあげ、1指の腹でくぼみを強く押して水の出具合を確認する。
3.糸端を2つ折りにして撚る  糸端を右手の2指に掛け、左手をそえて輪を作り1・2指で持つ。
   (両ひじを横腹につけ腕を安定させる)
           (輪の長さは5mm以内)
 輪を左手の1・2指ではさみ、1指を引くようにして撚る。
4.糸を通す  撚った糸端を右手の1・2指で持ち、左手の1・3指にはさんだ集緒器のくぼみに2指をそえて糸を通す。穴から出た糸端を左手の2指でなでて引き出す。
5.集緒器を戻す  集緒器を集緒器ばさみにはさむ。
撚り掛け
(約7秒)

(写真3参照)
1.糸端を持つ  集緒器上の糸端を右手の1・2指で持って引き上げ、その下部を左手の2・3・4・5指で支える。
2.糸条を鼓車に掛ける  右手の糸条を第1鼓車は手前から、第2鼓車は向こう側から掛ける。
3.糸端を切る  糸条の糸端を左手1指の爪の生えぎわに向こう側から手前に掛け、3・4・5指で握り、5指の横腹で切る。
             (第2鼓車上約5cm)
4.撚る  輪から1指をはずして右手の1・2指で輪を持ち、糸条にそわせて引上げて2本合わせ左手の1・2指で左へ撚りながら右手の3指の背でなでつける。
             (第1鼓車下約5cm)
 糸条を右手首と左手1指の腹で軽くおさえ右手を手前に軽く引いて撚る。
     (撚りの長さ8〜10cmになるまで
               2〜3回繰り返す)
 撚り終わるごとに左手の2指で支える。
5.引き上げる   撚った糸端を右手の1・2指で持って引き上げる。
糸結び
(約4秒)

(写真2参照)
1.持つ  右手1・2指であやかぎ(絡交)または集緒器下約15cmのところを2本合わせて持つ。
 左手の5指を糸条の中にいれ、3・4指で糸条を握る。
2.結ぶ  左手1指の爪の生えぎわに糸条を手前から掛け、輪の中へ2指を上から入れて起こす。
 右手の糸条を2指の手前から掛け、2指を輪の中にいれ1指の腹に合わせて起こす。
 1指と3指で交叉箇所をおさえ、残りの糸条を左手3指の横腹で切り、左手2指を起こす。
 右手の1・2指で糸条の端を持ち左手の1指を輪から抜きながら引っ張り、結び目を作る。
3.切る   結び目を左手2指の横先端に当て歯または糸切り指輪で切る(歯を使う場合は舌先で結び目を探して切る)。
 切れ端の長さは2mm以内とする
あやかぎ
(絡交)通し
(約1.5秒)
1.糸条を持つ  左手の1・2指であやかぎより約20cm下の糸端を持つ。
 右手の2・3・4・5指で糸条を軽く握り、1指の腹と2指の横腹で糸条をおさえる。
           (糸は緊張したまま)
2.通す  右手1指をあやかぎの中央に当て、2指をあやかぎの下から右側に入れ、糸条の上からかけて通す。
求  緒
(眼 識)
1.見つける  左手の1・2・3指を開き、枠つばにあて枠を廻しながら糸条の切れ端を見つける。
2.探し出す  見つからない場合は、右手をぬらし、2・3・4指で下から上に枠を廻しながら軽くなで上げて探す。       (約1回ほど)
求 緒
(はぎ取り)

(写真4参照)
1.枠の糸をしめす  右手をぬらし、枠角に2・3・4指の先端をそえ、指を屈伸させながら枠を廻し、手の平で糸をしめす。      (静かに)
2.糸条をつまむ  左手の1・2・3指を開いて枠つばにあて、右手の1・2指の爪で枠の中央部の糸条をつまみ、3指ですくい引き、枠を戻しながら上がってくる糸条がなくなるまで繰り返す。
          (浅く、慎重に)
3.切る  左手の1・2指でまとめた糸条を持ち、3・4指を枠にそえ、右手で糸切りかまを持ち、持った糸条の下を切り、枠を戻して糸条1本を引き出す。    (刃先を糸綛に向けない)
撚りつけ
(約8秒)
1.糸を切って持つ  集緒器の下の糸条を左手の1・2・3指で持ち、ビーム上の糸条を右手の1・2指でつまみ、左手3指の横腹にそわせて切る。
2.撚りつける  右手の糸条を左手の1・2指で右手に撚りつけ、右手の糸条を撚りにそわせて手前に戻し、左手4指の横腹で切る。
3.引き上げる  左手で第3鼓車下の糸条を引き出す。
4.糸を結ぶ  「糸結び」の項を参照。
5.枠を廻す  右手の1・2・3指で第3鼓車下の糸条を引き出すと同時に、左手の糸条をゆるめないまま放し、左手でストップレバーを降ろし、右手の糸条を放す。
接緒器下
糸故障修理
(結び取り)
1.ビスを取る  右手で枠を戻し、左手の1・2指で接緒器下のビス付着物の糸条をつまんで引き、右手の1・2指でビスをつまみ取る。
2.結び取る  右手の2・3・4指で集緒器下の糸条を約20cm引き出して糸結びをする。
       (「糸結び」の項を参照)
3.枠を廻す  右手の2・3・4指で第3鼓車下の糸条を引き出すと同時に、左手の糸条をゆるめずに放し、左手でストップレバーを降ろし、右手の糸条を放す。
集緒器下
糸故障修理
(約4秒)
1.結び取る  左手で枠を戻し、右手の1・2・3指で集緒器下の節をつまみ、約20cm引き出して糸結びをする。  (「糸結び」の項を参照)
2.枠を廻す  右手の2・3・4指の第3鼓車下の糸条を引き出すと同時に、左手の糸条をゆるめずに放し、左手でストップレバーを降ろし、右手の糸条を放す。
撚りもつれ
整  理
(約13秒)
1.撚りの上の糸を切る  左手の1・2指でつまった部分の下の糸条をつまみ、3・4指で糸条を支え、右手の1・2指で撚りの上手前の糸を切る。
2.糸条を引き出し結ぶ  右手の1・2指で節のある部分の糸条を上下にすり、切れ端をつまみ、節の部分が手前にくるまで引き出し、糸結びをする。
 ゆるんだ方の糸条を切り、その切れ端をつまみ、節の部分が手前にくるまで引き出して糸結びする。 (糸結びは「糸結び」の項を参照)
3.枠を廻す  右手の2・3・4指で第3鼓車下の糸条を引き出し、左手でストップレバーを降ろすと同時に右手の糸条を放す。
給繭機内
繭整理
(くちなし繭等除去)
1.拾う  右手2・3・4・5指で給繭機の緒がらみ軸をなでるようにして回転し、左側で動かない繭(くちなし繭)、持ち上がってくる繭(未正緒繭)、不良繭等を左手1・2・3指でつまむ。
2.繰解部に入れる  手のひらを返すようにして繰解部シャッター近くに入れる。
枠あげ
(約25秒)
1.感知器探りクラッチを切る
2.接緒桿の出ているものは戻す  ストッパーレバーを上げて制限棒を探り金具よりはずす。
3.接緒器を止める  左側のものがクラッチを、右側のものが右のクラッチを切る。
4.小枠の回転を止める  右側のものが揺動クラッチを切り、左手でハンドルを押して回転を止める。
5.糸を切ってくちどめする  左側のものは左10緒を、右側のものは右10緒をあやかぎ上でまとめて切り、先端を揃えて結ぶ。
6.小枠を降ろす  右側のものは右のハンドルを、左側のものは左のハンドルを押し、一緒に小枠を降ろして運搬台車に載せる。
7.空枠を掛ける  2人一緒に運搬台車より空枠を取り出して掛ける。


写真1 集緒器通し


写真2 糸結び


写真3 撚り掛け


写真4 求緒(はぎ取り)

巡視工の運転開始・停止の基本作業
作業名 主なステップ 標準作業手順と要領
回転準備 1.接緒器と撚りに水をかける  注水コックを開く
2.給繭機に注水する  給繭機注水バルブを開く
3.小枠を手で廻す  右手で枠つばをなで上げるようにして小枠を順次半回転し、糸道と粒付けを点検する
回転付け 1.小枠クラッチを入れる  小枠を下げて回転をつける
2.接緒器のクラッチを入れる  半クラッチにならないように確実に入れる
3.探りクラッチを入れる
4.繰解部シャッターを上げる
5.糸道を点検する  鼓車、感知器、糸条ガイド、あやの状態等の点検
6.粒付けを点検する  異常粒付けの補正
7.接緒器の注水を止める
回転止め 1.繰解部シャッターを下げる
2.接緒器クラッチを切る  接緒器の回転を止める
3.探りクラッチを切る
4.小枠を上げる  小枠回転を止める
5.接緒桿を戻す  ストップレバーを持ち上げて制限棒を探り金具よりはずす
6.撚りをゆるめる
7.給繭機給水バルブを止める
巡視工の作業範囲・標準作業段取り
工 程 巡視方向 作  業 標準作業手順と要領
第1工程 右巡視
(給繭機
  進行方向)
 粒付管理と
    糸故障修理
○右足よりふみ出す
○異常粒付けの早期発見と補正(極端な場合は小枠に目印)
○糸故障修理(小故障から)
○分離機周辺の点検(落繭づまりに注意)
第2工程 左巡視
(給繭機進行
  逆方向)
 給繭機整理と
    糸故障修理
○給繭機内持ち繭量の補正
○くちなし繭、未正緒繭、汚染繭等不良繭の除去
○糸故障修理(大故障は分割して修理)
第3工程 右巡視  糸道等の点検
  と糸故障修理
○感知器の汚れ、糸道の点検
○糸故障修理(小故障から)
第4工程 左巡視  糸故障修理 ○つなぎ節、撚りの長さに注意
 以後、第1〜4工程を反復して行う
その他の作業                                                   
(1)接緒器の糸屑取りは糸故障の少ないとき、または運転停止後に行う。             
運転中の場合は接緒器に15〜20秒散水し、切断防止感知レバーを上げて除去する。
(2)接緒器取付け台(ビーム)、第2鼓車をブラシで洗滌する。                     
(3)糸屑およびこぼれ繭の整理を行う。                                   
巡視工の作業時基本姿勢
項 目 動  作 作 業 姿 勢
右 巡 視 1.姿勢 上体をのばす。
体の重心を安定させ、肩の力を抜く。
2.構えと移動 足の位置…右足:釜に対し45°
        左足:釜に対し平行
上体………釜に対し45°
        握りこぶし1つ分手すりより離れる
手…………右手:腰に
        左手:まっすぐ下に
目…………粒付け:4〜5緒先を見る
        糸道:2〜3緒先を見る
左 巡 視 1.姿勢 上体をのばす。体の重心を安定させ、肩の力を抜く
2.構えと移動 足の位置…右足:釜に対し平行
        左足:釜に対し70°
上体………釜に対し70°ほど開く
        20cmほど手すりより離れる
手…………右手:まっすぐ下に
        左手:腰に
目…………10緒先の回転状況を見る
繊度感知器管理
異  常  原  因 粒付けへの影響
増粒 減粒
1.感知器が不良(破損その他)
2.断続鼓車、感知器、第3鼓車が垂直面に並んでいない
3.鼓車はずれで糸条が感知器に入っていない
4.汚れで感知器の溝が詰まっている
5.探り金具の位置が不良
 1)探り金具が入りすぎている状態
 2)探り金具が出過ぎている状態
 3)探り金具が第1停止箇所で停止しないとき
 4)探り金具が感知器ケースに触っている








6.撚りがなくなっている
7.連結桿が長過ぎる
8.連結桿が短すぎる
9.感知器が感知器ケースに完全に入っていない
10.鼓車が廻っていない
給 繭 機 管 理
不 備 事 項 原          因
空接緒または
    繭取り出し不良
○送繭片が動かないとき
  底板と送繭片とに薄皮等がかみあっている
  緒糸等が巻き付いている
○接緒桿と駆動レバーのタイミング不良
○振動底板の作動不良
○給繭機内繭量が少な過ぎる、または多過ぎるときは繭が動かず、送繭部の繭が空となる
多粒接緒(2粒以上) ○給繭機内の繭が多過ぎるとき
○給繭機内の水位が高過ぎるとき
○側板、2粒給繭防止板の取り付け位置不良のとき
引  き  糸 ○接緒桿が戻らないとき
   接緒桿の取り付け位置が不良、または曲がり
○送繭片が送繭片カバーまたは底板に触れているとき
その他                                   
(1)緒がらみ軸の回転状況の点検                
(2)汚染繭などの不良繭およびくちなし繭、未正緒繭の除去
感 知 器 洗 滌
項目 作    業 要    点
作業準備 1.洗滌用台車を用意する
2.洗滌液を点検する 清浄部の長さ、曲がり、バリの点検
3.洗滌用ブラシを用意する
4.洗滌液と温水を用意する 30℃程度
5.予備感知器5個を用意する
作 業 中 1.予備感知器と汚損感知器とを交換する 落とさないように注意
2.汚損感知器を洗滌液に浸す ケージガラスを傷めないように
3.溝部をブラシで洗滌する
4.汚物を清浄板で取り出す 汚物を溝の奥に押し込まないように
5.感知器を水洗する
6.洗滌液・温水を交換する 液の汚れがひどくなったら
(感知器800個ほどを洗滌したとき)
7.不良感知器の摘発・交換 ゲージガラスの破損、支持桿の変形
作業終了 1.汚損感知器5個は洗滌しておく
2.洗滌液および温水を捨てる
3.洗滌台の清掃
4.ブラシ、清浄板感知器の整理
注)感知器洗滌は汚れの度合による最低3日に1度は実施する。
洗滌板は繊度に適したものを使用する。
14〜21中には極細用清浄板
28〜31中には細糸用清浄板
42中以上には太糸用清浄板

給繭機洗滌(図19参照)
項  目 作     業 要     点
洗 滌 準 備 1.運搬用台車を用意する
2.スペア給繭機10台を用意する 運搬用台車に積む給繭機に水を入れる
交    換 1.交換する給繭機の繭を隣の給繭機に移す
2.給繭機を取りはずす 取りはずし方は「取り扱い要領」参照
3.運搬用台車に載せる
4.スペア給繭機を機械に載せる マグネットの異物付着に注意する
5.隣の給繭機から繭を戻し、緒糸を緒からみ軸に巻く
6.以降1〜5の作業を繰り返す
洗    滌 1.緒からみ軸をはずす
2.給繭装置を抜く
3.振動底板をはずす
4.底板をはずす
5.給繭容器蓋をはずす
6.給繭装置糸屑の除去
7.洗滌 自動洗滌が行われる洗浄機もある
8.組立て
9.緒からみ軸の緒糸を切る
10.作動状態の点検
注)給繭機洗滌は汚損状態によるが、4〜7日に1度は実施する。
その他、落繭捕集バスケットの洗滌も実施する。      
落繭捕集バスケットに糸屑、セリシン等が付着すると動きが鈍くなり、
事故が起こりやすくなるので、落繭バスケットの洗滌も忘れずに励行すること。
落繭バスケットの着脱はバスケットクラッチを入切して転向部で行う。

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