Q: 蚕は生物学的にいつ頃誕生したのでしょうか。(本当にくわこから蚕になったのでしょうか)


A: 1988年発行の『絹の東伝』(布目順郎著、小学館発行)に「クワコから蚕へ」という章があり、その中で“現在のところ、(染色体数)28の中国産クワコを馴化してできあがったものが蚕であると考える人が多い。したがって、クワコを馴化して蚕にしたのは中国人であったと考えてまず誤りはないであろう”と書かれています。この本の中で、11ページにわたって、クワコ馴化の時期と場所について論じておられます。

 2002年7月号の農林水産技術研究ジャーナルの「カイコ、クワ、歴史と今後の研究展開」(藤井 博)という記事の中で著者は、“現存するカイコ、中国種、ヨーロッパ種、日本種、熱帯種を問わずその染色体数は56(n=28)である。一方、野生に現存するクワコの染色体数は、中国産クワコでは56(n=28)であり、カイコのそれと同じである。しかし、日本産および韓国産クワコは54本(n=27)である。両者の形態的特徴、外部生殖器などの形態が極めて似ている。さらにクワコとカイコとの間で交配が可能で、かつ稔性のある後代を生じ、さらにその子孫を生じる。野生クワの分布を見ると、種類は別として、アフリカ、アメリカ、中近東、アジア(北アジア中国、韓国、日本から南アジア、マレイ半島やインドネシア島嶼など)大陸に広く分布している。これらの地域には野生の絹糸虫類が生存しているが、中国揚子江流域から北および韓国、日本以外の地域にはクワコが発見されていない。
 以上のことからカイコは中国産のクワコに由来し、その起源はやはり中国揚子江から北部地域と考えられる(吉武、1988;河原畑、1998)”と書いておられます。


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