Q: 「糸」と「絲」は意味が違うのですか
A: 『説文解字』では“蠶の吐く所を忽(こつ)となす。十忽を絲となす。糸(べき)は五忽也”と説明しています。カイコの吐く細い1本の糸が、人間が自然に観察できる一番細いものと決め、これを長さの単位「忽」と決め、十本の繭糸をあわせたものを一絲、十絲を一毫、十毫を一釐、以下寸、尺、丈というように長さの単位を決めています。ですから、もともとは、繭糸5本の太さが「糸」、十本の太さが「絲」だったということです(参考までに、漢数詞での数の呼び方を下に示しました)。
ちなみに、戦前の日本で作られていた生糸は5本合わせで、現代では十本合わせの生糸が主体です。
漢数詞での数の呼び方(「塵劫記」による)
浄 (じょう) |
清 (せい) |
空 (くう) |
虚 (きょ) |
六徳 (りっとく) |
刹那・殺那 (せつな) |
弾指 (だんし) |
瞬息 (しゅんそく) |
須臾 (しゅゆ) |
10-23 | 10-22 | 10-21 | 10-20 | 10-19 | 10-18 | 10-17 | 10-16 | 10-15 |
逡巡 (しゅんじゅん) |
模糊 (もこ) |
漠 (ばく) |
渺 (びょう) |
埃 (あい) |
塵 (じん) |
沙 (しゃ) |
繊 (せん) |
微 (び) |
10-14 | 10-13 | 10-12 | 10-11 | 10-10 | 10-9 | 10-8 | 10-7 | 10-6 |
忽 (こつ) |
糸・絲 (し) |
毛・毫 (もう) |
厘 (りん) |
分 (ぶ) |
一 (いち) |
十 (じゅう) |
百 (ひゃく) |
千 (せん) |
10-5 | 10-4 | 10-3 | 10-2 | 10-1 | 100 | 101 | 102 | 103 |
万・萬 (まん) |
億 (おく) |
兆 (ちょう) |
京 (けい) |
垓 (がい) |
稀 (し) |
穣 (じょう) |
溝 (こう) |
澗 (かん) |
104 | 108 | 1012 | 1016 | 1020 | 1024 | 1028 | 1032 | 1036 |
正 (せい) |
載 (さい) |
極 (ごく) |
恒河沙 (ごうがしゃ) |
阿僧祗 (あそうぎ) |
那由他 (なゆた) |
不可思議 (ふかしぎ) |
無量大数 (むりょうたいすう) |
1040 | 1044 | 1048 | 1052 | 1056 | 1060 | 1064 | 1068 |