Q: 眠について教えてくれませんか?
1.孵化が若干ばらついたため、一つのかごろじの中に、眠前の蚕、眠に入った蚕、脱皮した蚕と3段階の蚕が同じに存在します。この時、眠前の蚕に桑を与えたいのですが、眠に入った蚕は動かしてはいけませんか?
2.次の眠を揃えるため、脱皮した蚕を別にしたいのですが、脱皮したての蚕をつまんで動かしても大丈夫なのでしょうか??
3.孵化がほとんど同時であっても、眠にばらつきが出ることがあります。眠を誘発するのは何なのですか?(例えば食べた桑の積算量が一定になると眠に入るとか…)


A: 1.孵化がばらついた場合には例えば次のような対処をしています。
(1)掃きおろし冷蔵: 先に孵化した蟻蚕を冷蔵しておき、全部孵化したところで一緒に掃き立てる。
(2)経過別に飼育: 毎日孵化した分だけ別々に掃き立てる。

2.動かさないほうが好ましいと思われます。やむをえない場合は次のようにしています。
 発育経過の早い蚕が眠に入ったところで除沙網をかけ、その上に給桑する。まだ桑を食べている幼虫が上がってきたところで除沙網ごと持ち上げ、眠蚕と眠前蚕を分けてしまう。以後は別々に飼育する。

3.眠を誘発する要因は遺伝的要因と生理的要因とありまして、要因が遺伝的な場合には品種によって異なるでありましょう。ただし、生理的要因の影響を0にしないと、遺伝的な差は顕在化しない場合が多いので、下記のことをチェックしてください。

 多くの場合は生理的要因と思われます。
(1)食べた桑の量
 稚蚕期に桑を少ししか食べさせないと、稚蚕期の経過は若干遅れるように思います。蚕でもこのことは研究テーマになっていたことでしょうが、残念ながら具体的に知らないので、どなたかのコメントを待ちたいところです。他の昆虫について述べますと、ナガカメムシの一種では生理食塩水を大量に接種させると脱皮が誘導されることから、栄養はともかく満腹になることで腹部が伸ばされ、それが脱皮を誘導する刺激になると考えられています。蚕でもそれと同じことがあってもいいと思います。
(2)蚕種が弱っていた場合
 掃立前の蚕種の扱いが悪かった場合、幼虫の経過がバラバラになることがあります。
(3)生種を生む蚕が混じっていた場合
 蚕が成虫になって越年卵を生むように条件付けられた場合は経過が伸び、生種を生むように条件付けられた場合は経過が短くなります。
(4)3眠蚕が入っている場合
 軟葉ばかり食べさせると3眠蚕が出やすくなると言われております。3眠蚕の若齢時は他に比べて経過が遅い蚕として観察されます。
(5)光条件が不安定
 蚕は明暗(昼夜)の切り替えで脱皮のタイミングを計っています。ですから、明暗の切り替えが不定期か、あるいは24時間周期でない場合だと、虫によって判断がまちまちになり、当日脱皮するものや、翌日に延期するものが出てくるため、経過が揃わなくなります。一般に、昆虫は夜間は連続して暗いことが必要であり、深夜の懐中電灯の点灯等でも影響を受けると考えられておりますから、蚕でもそのような配慮は必要かもしれません。


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