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Subject: [silkmail:24] “皇后さまのご養蚕” <Chikayoshi Kitamura > 2001/09/30

『暮らしの手帖94』(2001年10.11月号)に“皇后さまのご養蚕−日本の絹を考える−”
という特集が組まれています。特集は、「皇居紅葉山御養蚕所における皇室のご養蚕のル
ポ」(10頁)、対談「カイコの科学、蚕糸業の未来」(4頁)、ルポ「群馬の養蚕農家を
たずねて」(6頁)からなる、かなり力の入ったものになっています。

最初のルポの最後にレポーターは「たしかに、生糸が輸出の主役であった明治から昭和の
初めに比べて、安価な輸入の繭に押された国内の養蚕業は疲弊し、たずさわる人たちの生
活のもととして、その将来を明るく描くことは容易ではないでしょう。それでもなお、日
本産の絹が、実生活のどこかでとけ込んでくれる夢を、皇后さまはほのかに持ち続けてい
らっしゃるようです」と書いています。また、最後のルポでは「日本の養蚕が、ゼロにな
ることはないだろう。ただ、限りなくそこへ近づきつつある今、少しでも業界の体力が残
っているうちに、さらに大きな視点で、打つべき手はあるように思う。
 まあ、オレもあと20年はやれるさ、と締めくくってくれた伊藤さん。いや、悲壮感はな
い。ただ、節くれだった手をみやる目にしずかな決意がにじんでいる。
 そこには、農業という、土からモノを創りだす業に生きてきた人が持ちうる大地への信
頼と、これからも日本の養蚕業の守り手たらんとする上州人の気概があった。
 いつか、その志が報われる日がくることを、心から願わずにはいられない」と締めくく
っています。

今、蚕糸業は危機的状況にあるとよく言われますが、では何から手をつければいいのでし
ょうか。私は、とりあえず日本の中に養蚕技術を残せるような手だてを打つことが最優先
されるべきではないかと思います。それがひいては、多用な蚕品種を維持させるために最
も有効な方向になるのではないかと思います。この『暮らしの手帖』の特集も、そんな視
点から書かれているような気がしました。

Chikayoshi Kitamura (NIAS/MAFF) kitamura@affrc.go.jp