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Subject: [silkmail:28] Re: 蚕糸現地検討会に参加して <Chikayoshi Kitamura > 2001/10/10

> この一例として、議論の中で染織に関わっておられ
>る生活者の一人から、絹は「美しすぎる」との発言が
>ありました。当然のことながら、和装と洋装分野では
>絹への思い・期待が異なる部分があり、この発言に対
>する受け取り方は様々であると思います。しかし、私
>が持っていた絹へのイメージからすると、思わぬ一言
>として新鮮に、しかも深刻に受け止めました。この一
>言には、今後の、いや現在の絹需要拡大や蚕糸研究の
>在り方などへの多くの示唆が含まれていると思えるか
>らです。

私も参加しました。会員120名で民間の染織工房活動をやっておられる方々の発言には
私も考えさせられるものがありました。「市場には自分たちが本当に必要にしているもの
がない。アトピー子どもたちに絹の肌着、着物を着せたいが、市販の絹製品では洗えない。
それなら、自分たちで作ってしまおう」「自分たちの生活に必要なものは自分たちで作り
他の人たちにも分けてあげたい。そんな気持ちが活動を支えている」そんな発言だったと
思いますが、その時に、「売られている糸は美しすぎる」「ツルツルしすぎて、止まらな
い(?)」というようなことを言われたような気がします。あるいは「もっと、野性的な
糸が欲しい」ということを言われた方もおられました。
ニーズがあるのに、それにあった素材が見つからないということから、素材の多様性を求
めておられるのだなあ、と感じました。

> 会議を通じて感じたことは、例えば、多様な蚕品種
>繭の生産技術、絹を利用した生活用素材の作出などの
>研究成果や、生活者の絹への期待・要望などの成果・
>情報が研究者と生活者の双方に充分伝わっていないこ
>とが挙げられます。今後、十分な情報交流が望まれま
>す。

そのためにも、多様な素材を求めておられ、元気な活動をしておられる、こうした工房の
方々と、多様な品種開発研究を行っている研究者と、それらを飼育してもらえる生産農家
とをつなぐ役割を果たせる組織・機関・団体(NGOでも良いし、NPOでも良いのかも
知れません)あるいは情報交流の場が必要なのだなと、私も感じました。
この工房の方々は、千葉の約100軒(と言われたような記憶がします)の養蚕農家から
繭を手に入れておられると聞きました。こうしたつながりの延長上に養蚕農家をこれ以上
減らさない一つの取り組みがあるような思いで帰ってきました。

Chikayoshi Kitamura (NIAS/MAFF) kitamura@affrc.go.jp