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Subject: [silkmail:49] ブランド(2) <KINOSHITA > 2001/11/14

日垣隆氏による「ブランドとは何か?」について。

(2)カルチェのレディメイドに、資本主義の進化をみる。

  最初に言ったように、僕らの業界は注文があって原
稿を書いています。だた注文される時には、大体、原稿料
はいくらかって分かんないんですよね。つまり原稿料は誰が
決めてるかというと、注文する側が決めてるわけです。
 出版社の方が、お金の流れから言うとお客さんです
よね。出版社が作家に対してこういうのを書いて下さいっ
て、オーダーするわけですから。お金を払う、つまり消費
者ってことです、原理的に言えば。
 これはコンビニなんかで考えた場合、「ボッキーが欲
しかったのにそれが無いからプリッツでいいや」「じゃあ本
当は200円なんだけど100円で良い?」とか、そういう買い
方しないですよね。
 つまり資本主義というのは普通は売る側が値段を決
める。ある程度の量産体制が整ってくれば定価、プライス
がついてくる。それで、定価を決めるのは売る側だ、とい
うのが資本主義の大原則になるわけです。

 そう考えると、僕がたまたま属している出版業界は、
注文する側がお金を決めるという意味では、ちょっと逆で
すよね。
 ただし、注文する側が完全に決定権を持ってるかとい
うと、やっぱり相場みたいのがあるわけです。400字でいえ
ば最低5千円くらいで、一番上でも1枚あたり2万円くらい。
それは村上春樹さんでも2万円くらいで、それほど有名じゃ
なくても1万円くらいにはなる。そんなに極端な差はないわ
けです。

 ところがファッションの場合、僕がもし指輪を作ったと
したら千円でも売れないかも知れません。威せば別ですけ
どね。しかし、カルチェの3連新作だったら50万円でも売れ
てしまいます。
実際に、それをあなた方が作ってたとしても、です。カルチェ
という名前がついて、それが3連リンクで、カルチェのものだ
と認知さえされていれば、50万円という値段がつく。

 皆さんは、カルチェには高級指輪と
いうイメージがあるかも知れません。しかし、もともと装飾品
というのは、全部オーダーメイドだったわけです。装飾品を
買うなんていう人は、王侯貴族とかおよそお金持ちしかいな
かった。そんな時代が西欧では19世紀の終わりまで続きます。

 そこへ、カルチェはレディメイドという方法を始める。最
初から作っているものを、9号とか10号というように、5段階
とか3段階に大きく分けて、ある程度の調整をすれば誰でも
身につけられるようにする。その代わり、色んなバラエティ
のものを、さまざまな店舗へ2個づつ置いて、100店舗だっ
たら200個作ればいいといったことを、カルチェは指輪の
世界で初めてやるわけです。だから、まあ、ユニクロみた
いな話なんですよね。


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独立行政法人 農業生物資源研究所
ゲノム研究グループ
木 下 晴 夫
E-mail:hkinoshi@affrc.go.jp
TEL:0298-38-6196