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Subject: [silkmail:50] ブランド(3) <KINOSHITA > 2001/11/15

日垣隆氏による「ブランドとは何か?」。

(2)ユニクロやマクドナルドに、人間の欲求は満たされ
るのか?

 今日、皆さんでユニクロ着てらっしゃる方はいませんか?
いますね。お二人かな。もうちょっといるでしょう。見栄
を張らないで。
ユニクロが今すごく持てはやされていますが、これからど
うなっていくのでしょうか。

「すごく不景気だ、不景気だ」と言って、小泉首相も今、
「国民の皆さんに痛みを分け合って欲しい」とよく言ってい
ます。ファッションの世界でも、とにかく量産体制に入って
安く安くっていうことになってしまっています。

 メイド・イン・ジャパンでないものがどんどん増えて
ゆくと、消費者にとっては一時的に「ありがたい」ってこと
になるとしても、作る側に回れなくなっていくということは、
安いものでも買えなくなっていく、ってことですよね。

これをデフレ・スパイラルと言います。

   あたりまえの話で、消費者は生産者を前提にしているわ
けです。現代社会では、生産者と消費者は完全に分岐してい
ません。大企業の社長だって、消費者の一人です。ある程度
の価格が維持されてこそ、社員の雇用と給与を確保できる。
それはそうですよね。

 ハンバーガーも、130円とか85円とかで買えるんでしょ?
 かつては360円ぐらいしたのが240円になって160円になって
85円になる。みんな「安い、安い」って言っていますが、今ま
で1個360円で売っていたら1万個売れば360万円入ってきてたわ
けでしょ。しかし、85円でセールしたら、1万個売っても85万円
にしかならないよね。かつて300万円の売上があったところで
は、4倍くらい売らなきゃいけないってことになります。

 墓穴を掘っている、という側面がデフレ時代には本質的
につきまとう。ですから、ハンバーガーならハンバーガー、
プリーツなかプリーツで、とにかくトップランナーに
立ったところは独占して生き残れますが、2位や3位になっちゃ
ったところは倒産しかねないという時代状況になってしまいま
した。

 これから先どうなってくるか。実は、私はそんなに大変
な事だと思っていません。
要するに、なんでユニクロとかマクドナルドが持てはやされ
るかというと、ある程度時間に余裕のある世代がそういうも
のを買っている、ということが本質的、根源的にあると思う
んですね。

 例えば、東京で吉野家の牛丼なんかでも350円ぐらいで
お昼が食べられるようになっています。すると、列できるわ
けですよね。30分くらい列を作って350円のものを食べる。
でも、その30分あたりの時給が350円以下じゃないと、そう
いう所に入るのは実質的に見合わないでしょう。

安い所は並んででも買う、という層は、その人の時間
コスト意識があまり無い世代だと思います。しかし一方で、
そうじゃない人たちにとっては、やっぱり自分に見合うもの、
自分の本当に楽しめるものを、安くても高くても自分で選ぶ
ということが、人間的な本質的な欲求としてあると思うん
ですよ。

 皆さんがお金の使い方で今よりもうちょっと自由にな
った時に、「いつまでもユニクロ着てられるか!」という
問題が、やっぱりあるわけです。究極的には自分で作って
みたりとか、それから人よりも多少良いものを着たりとか、
必ずそうなります。「どこで売ってんの?」とか聞かれた
い。「似合うね」って言われたいとかね……。

 ユニクロは、商品はある程度良いものですが、安い
ということで勝負してるわけです。そうすると、同じも
のを例えばジャスコとかダイエーとかが同じ物を、もっ
と安くで作ってきちゃえば、競争に勝てないわけでしょ。

 その時に、多少高い、あるいはかなり高いけれど
も、そこでしか作れない物を売っている所は、代官山と
か青山でなくとも、札幌市の駅から歩いて10分くらいの
小さなお店にでも、どこからでも買いに来る、というよ
うに必ずなります。


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独立行政法人 農業生物資源研究所
ゲノム研究グループ
木 下 晴 夫
E-mail:hkinoshi@affrc.go.jp
TEL:0298-38-6196