[TOP]
[親メール][子メール][次メール][前メール]
Subject: [silkmail:61] Re: ブランドについて <KINOSHITA > 2001/12/17

>木下さん、木下さんの「地域ブランド」「ジャパンブランドシルク」等
>に対する漠とした疑問について、もう少し話してみませんか?

それでは私が、なぜ「地域ブランド」「ジャパンブランドシルク」等
に対して漠とした疑問をいだいたか?についてお話いたします。

「シルク・ブランド」が言われて久しいわけですが、
ブランドとして名前が認知された商品はあまり見あたりません。

西陣、加賀友禅、結城、大島等々、過去から脈々受け継がれてきた
いわゆる産地ブランドはあります。その後、シルクブランドという
かけ声を官民上げてかけてきたわけですが、声を大にして言える新たに
出来たシルクブランドはあまり見あたりません。

ブランドを「官」指導型で果たして出来うるのであろうか?
これがいつも私の心に引っかかっていました。

これはどうも違うような気がする。地域や産地、業者が
独自の考えや信念をもって、地域や産地、業者が主体になって製品
展開を図り販売まで行うことが必要ではないだろうか?と思った訳です。
特に、製品や商品に企業(作者)の「思い入れ(それは、判ってく
れるユーザがあれば、すべてのユーザに理解されなくても良いので
はないか?)」が重要と思われます。
すなわち、「そこには「官」の入り込む余地はない。但し、官のもっている
卓越した技術でサポートは充分にやる必要がある。」と思っていました。

例えば、農産物で言えば、肉は「松坂肉」、米は「魚沼産のコシヒ
カリ」、酒は新潟の「久保田」・「越の寒梅」、ミカンは「三ヶ日
ミカン」と言うように銘柄(名前)が知られ、高品質でおいしいという
ことが、ある特定のユーザに定着したときに、はじめてブランドとし
て認知されるのではないだろうかと考えました。多分、各有名銘柄
は他の製品と違う「売りの部分」すなわち、生産者や業者の「思い入れ」
があると想像しています。

 シルクにおいても、今回桐生で開催されたシルクサミットに参加
して、(有)ミラノリブのオリジナルシルクニットは極めてスマートで
かつエレガントな製品であり、誠に優れた製品であると個人的に感心
しきました。市内に自社の店舗を構えて販売しているようです。
 蚕品種素材は群馬県が開発した「世紀200」を使っていますが、
ニット用素材に加工(撚糸、精練・染色)する技術的な苦労(ノウハ
ウ)は大変であっただろうと想像しています。
 桐生という産地ですから、織物用の糸加工の技術は確立してい
ますが、ニット用として使えるようにするまでには紆余曲折があった
であろうと想像した次第です。
 このような他社が容易に真似できない技術を企業努力で構築す
ることが、やがて銘柄をとるであろうと期待しているところです。

--
-------------------------------
独立行政法人 農業生物資源研究所
ゲノム研究グループ
木 下 晴 夫
E-mail:hkinoshi@affrc.go.jp
TEL:0298-38-6196