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Subject: [silkmail:62] レコード針のナガオカは何故企業閉鎖に追い込まれたか? <Chikayoshi Kitamura > 2001/12/21

 エジソンの「スズ箔を巻き付けた円筒形レコード」の発明以来、円盤型レコードの
発明を経て、レコードおよびレコードプレーヤーの世界には、音声記録技術、再生技
術、ステレオ化、音質高度化、レコード盤の材料技術、同製造方法など、数々の新技
術がもたらされました。同時に、回転数と盤の大きさに関しても、SP、シングル盤、
LPと変化がありました。
 しかし、これらの変化はいずれも、プロセス・イノベーション(工程革新)か、マ
テリアル・イノベーション(素材革新)、あるいはそれらの複合革新であって、「基
本原理」は一貫していました。
 その後、「アナログからディジタルへ」、LPからCDへのカタストロフィックな
変化がおこりました。「原理」が入れ替わったのです。これは「手法革新(メソドロ
ジー・イノベーション)」と呼ばれています。この手法革新を見て取れなかったレコ
ード針製造業界の名門企業ナガオカは、1990年末企業閉鎖に追い込まれたといいます。
(内橋克人『「手法革命」の時代』、講談社文庫)
 この本の「あとがき」で著者は、「大量生産大量消費」のコインの裏側には「短サ
イクル大量廃棄」と書いてある、と警鐘をならし、この世界でも「手法革命」が必須
のものとして要求されている、と述べています。

 翻って蚕糸絹業の世界における“技術革新”は、プロセス・イノベーション、マテ
リアル・イノベーション、メソドロジー・イノベーションという3つのイノベーショ
ンのどれであったのか、メソドロジー・イノベーションという観点で見直したら何を
すれば良いのか、こんな点検をしてみる必要はないでしょうか?
 ナガオカの後を追わないためにも………。

Chikayoshi Kitamura (NIAS/MAFF) kitamura@affrc.go.jp