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Subject: [silkmail:79] キビソ <KINOSHITA > 2002/01/31

昨日、キャリア(糸)について書きましたら、
あるメーリングリスト参加者からキビソとは
どういうものか話をして欲しい、というお電話
を頂きましたので、お話しをさせて頂きます。

 キビソは緒糸(ちょし)とも言います。

自動繰糸、座繰り繰糸に関わらず、煮熟繭
(煮繭した繭)を索緒及び抄緒して、正緒繭
(正しい糸口をみつけた繭)となるまでの過程
で出た繭糸くずのすべてをキビソと言います。
 
 手で索緒や抄緒を行いますと、丸まって繭糸
の塊や屑のようになってしまいますが、自動繰
糸機で索緒や抄緒を行いますと、繭糸が交錯し
ながらも太い糸状のものが生成されます。
 
 索緒することによって生じた緒糸、抄緒する
ことによって生じた緒糸、正緒繭になって給繭
機に補給されるまで待機している間に生じた緒
糸はそれぞれ形状が異なります。

 索緒で生じた緒糸を第1緒糸、抄緒で生じた
緒糸を第2緒糸、正緒繭待機部(給繭機に補給
される所)で生じた緒糸を第3緒糸と呼んで分
類しています。しかし、これらを分けて製造し
ている製糸工場は少なく、すべてをまとめて1
本の緒糸にしているところが多いようです。
 
(特徴)

 第1緒糸:繭の表面を箒で擦られるので一粒
の繭から複数の繭糸が出されますので、繭糸が
交絡して1本の太い糸状になっています。した
がって、生糸のように繭糸が引き揃っていませ
ん。繭の表面部分の繭糸ですので、また常に新繭
が補給されることことから、この緒糸はセリシン
量が大変多い糸です。欠点と思いますが、糸が
極めて太いことや太さの変化が大変大きいことが
上げられます。さらに蛹等が交絡している繭糸中に
入ってしまい、その除去は困難です。

 第2緒糸:抄緒するときにでる緒糸ですが、
ちょうどネットロウシルクと同様な形状の糸で
す。この糸も繊度偏差(太さむら)が極めて大
きく、また、糸の表面が毛羽立っています。

 第3緒糸:正緒繭が給繭機に補給されるまで
待機している間に生じる緒糸ですので、糸の形
状は生糸と良く似ています。
 しかし、生糸と違って適度な太さむら、適度な
節があることから、大いに注目されました。

 かって、組合製糸天竜社はこの第3緒糸を分
離して、地元の機屋さんに提供していました。
多分、(株)しろせの廣瀬さんはご存じと思い
ます。

 糸の太さは、正確ではありませんが、多分300
デニール前後あったと思います。
この緒糸を半分の太さにして欲しいと、天竜社
から要望があり、分離装置を製造して対応した
記憶があります。
しかし、第3緒糸の需要が減少したことや、抄
緒部管理に人手を要し、採算がとれないことな
どの理由により製造が中止になりました。

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独立行政法人 農業生物資源研究所
ゲノム研究グループ
木 下 晴 夫
E-mail:hkinoshi@affrc.go.jp
TEL:0298-38-6196