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Subject: [silkmail:82] Re: 糸のこと <KINOSHITA > 2002/02/04

> それでビス糸と言うのもどういうものか
> 教えていただけませんでしょうか?

ビス糸についてお話しします。

 煮熟繭を繰糸してもうこれ以上糸に出来ない繭を繰了繭と言います。

 繰糸中の粒付け繭は繭糸が切断して落繭となりますが、自動繰糸機の
場合、この落繭が捕集バスケットにより集められ、落繭分離機という機
械にかけられます。
 ここで、繰了繭とまだ繰糸可能な繭とに分類され、繰了繭は通常、副
蚕場へ水流を利用して送られます。因みに、繰糸可能な落繭は索緒部へ送
られ、再び索緒・抄緒が行われます。

 この繰了繭は薄い繭層(繭の最内層)と蛹と脱皮殻で構成されていま
す。この薄い繭層をビスと呼んでいます。

 このビスが厚くなるか薄くなるかは、原料繭特性、繭乾燥条件、煮繭条件、
繰糸条件(繰糸湯温度や繰糸速度等)等によって影響されます。

 繰了繭はすべて一定の繭層の厚さではなくて、厚いものも、薄いものも混
在しています。これを通常は副蚕場に設置されているビス整理機という機械
にかけて、蛹や脱皮殻を除去して綿状(シート状)のビスにします。

 しかし、繭層の比較的厚い繰了繭はまだ繰糸可能であり、もったいないの
で、これらを集めて専用の繰糸機を用いて、再び繰糸をして生糸とします。

 この生糸をビス糸と呼んでいます。ビス糸は一般的に太い繊度(100デニ
ール前後)のものが多いようです。

 繰了繭だけですと良好に繰糸が出来ない場合もあり、選繭工程で出された
選除繭や繰糸中に除去された内部汚染繭等も一緒混ぜて繰糸する場合が多い
ようです。

 一般に繰了繭や選除された繭は解じょ(糸の繰れ具合)が悪いので、高温繰
糸(繰糸するお湯が高温)をします。

 ビス糸は繭糸が引き揃っていますが、普通生糸と違って、適度に節があった
り、また太さに適度にむらのあることが特徴で、多くの機屋さん(特に紬屋
さん)が利用しました。

 以前は、多くの製糸工場(営業製糸や国用製糸)でビス糸を製造していまし
たが、現在は少ないと思います。

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独立行政法人 農業生物資源研究所
木 下 晴 夫
E-mail:hkinoshi@affrc.go.jp
TEL:0298-38-6196