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今朝の「朝日新聞」1面のコラム『天声人語』に上原さんの「あげずば織」の話が載
っていました。著作権との関係がありますので全部は紹介できませんが、次のような
ものでした。
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ふれると消えてしまいそうな布を、おそるおそる手にとってみた。糸の太さは3.6
デニール、髪の毛の10分の1ほどだ。クモの糸のような絹糸で織った上原美智子さん
(52)の作品を東京の画廊でみた▼糸は群馬県の養蚕農家から提供された。見たことも
ないような細さだった。上原さんはそーっと機にかけ、肩の力は抜いて腹には力をこ
めた。空気を織るように、祈るように、1カ月かけて7mを織り上げた▼染織家とし
ての長い生活のうち、ここ15年ばかり薄い布を織ることに力をそそいてきた。染める
と糸がぼそぼそになる。琉球藍や月桃、サトウキビなど身の回りの染料を次々に試し
た。失敗と工夫を繰り返し、絣でもよろけ縞でも自在に織れるようになった(中略)
 沖縄には多彩な織物が伝わっている。「沖縄を表現するのではなく、沖縄で表現し
たい」。上原さんは言った。伝統を大切にしながらも、伝統とは一線を画す。上原さ
んのしごとが沖縄のこれからに重なって見えた。
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以前、茨城県天心記念五浦美術館で「織−絹の美と技−」が開催されていた折りに、
あげずば織も展示されていました。その時に学芸員が書かれた解説には“あげずば織
と命名した作品は、はじめ27デニールの糸1本で織っていたが、次第に14デニール、
6デニールと細くして、現在ではほとんど蚕が吐き出す1本の糸に限りなく近い蜘蛛
の糸のような絹糸で織っている”と書かれていました。「はくぎん」の糸を使ったら
どんな作品ができるのでしょうか?

Chikayoshi Kitamura (NIAS/MAFF) kitamura@affrc.go.jp