シルク・サミット2004in八王子
開会

司会(高林): 皆様、大変お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただいまよりシルク・サミット2004 in 八王子を開催いたします。
 本日並びにあすの事務連絡等をさせていただきます、シルク・サミット事務局で、独立行政法人農業生物資源研究所の高林でございます。2日間、何とぞよろしくお願いいたします。
 お手元の袋の中にこの資料がございます。この4ページにきょうとあしたのスケジュールが記載されておりまして、このような形でもって2日間進行をしてまいりたいと思っております。
 また、展示会も行っておりまして、入り口には、八王子市民の方々によるシルクに関する展示ということを行っております。
 また、この下の11階、ギャラリーホールにおきまして、八王子織物工業組合、ファッション協議会、多摩シルクライフ21研究会、大日本蚕糸会の蚕糸科学研究所等々によりますシルクに関する展示会を行っておりますので、休憩時間等を見計らっていただきましてそちらのほうも見学をしていただきたいと思います。
 それでは、本日の進行を担当していただきます多摩シルクライフ21研究会の石月まり子さんをご紹介申し上げます。
 では、石月さん、お願いいたします。

司会(石月): 進行を務めさせていただきます石月でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、主催者のご挨拶から。市立岡谷蚕糸博物館名誉館長の嶋崎昭典先生よりご挨拶をちょうだいいたします。
 では、先生、よろしくお願いいたします。

嶋崎昭典(市立岡谷蚕糸博物館名誉館長): 皆様方には、きのうからの台風23号による交通機関の混乱の中を押してご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
 このたび、これから田中貞男先生からお話しいただきますように、江戸時代から織物の町として、また横浜開港以来は八王子格生糸として世界にその名をとどろかせまして、また今は桑都、桑の都としても言われておりますシルクに深くかかわる由緒あるご当地で、八王子市ご当局並びにたくさんの関係機関のご協力をいただきまして、ここにシルク・サミット2004 in 八王子がこのように盛大に開催できますことを心から御礼申し上げます。まことにありがとうございます。
 おかげさまで、このシルク・サミットも第5回を迎えまして、回を追うごとに専門分野も広がり、また層も深くなってまいり、各地の蚕糸、絹業にかかわる方々が連なりつくって、新しい世界が今つくられつつあるように思うわけであります。今、日本の絹産業はまことに厳しい状況の中にあります。だからこそ今このようにお互いに勉強し合い、また情報を交換し合って、あすへの絹の世界を開く必要がある時と思うのであります。
 きょう、あすの2日間、歴史、伝統のあるご当地で十分勉強をさせていただき、また皆様方のすばらしい発表、活発なご討論を通しまして、これからのシルクの時代をつくる一歩にしていただければ大変ありがたく思う次第でございます。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)

司会: ありがとうございました。
 続きまして、共催者でいらっしゃる八王子市長の黒須隆一様よりご挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。

黒須八王子市長: 皆様、こんにちは。ご紹介いただきました八王子市長の黒須隆一でございます。
 シルク・サミット2004 in 八王子が当地で開催されますことを心からお喜びを申し上げたいと思います。
 このシルク・サミットは、2001年に第1回を長野県の岡谷市で開催されて以来、繊維にゆかりの深い町で今まで開催され、今回が5回目というふうに伺っているわけでございますけれども、この八王子を選んでいただいたこと、そしてまた、遠路はるばる当地までお出かけをいただきました皆さんもおられるんじゃなかろうかと思います。八王子市民を代表する立場で、心から歓迎を申し上げる次第でございます。ようこそいらっしゃいました。
 八王子は、繊維産業をして繊維で発展をしてきた町、こう申し上げても過言ではないわけでございまして、八王子を我々は、桑の都、「桑都」というふうによく言います。この建物のすぐ前がJR八王子駅でございまして、そこにブリッジがございますけれども、これは「マルベリーブリッジ」という名前でございますし、それから「マルベリーシティ」、まさに桑の都という商標で我々が使っておりますネクタイ等もあるわけでございまして、そのことを私どもは実は大変誇りにいたしております。
 かつては、鎌倉時代の歌人西行法師が「あさかはを渡ればふじのかげきよく 桑の都にあおあらしふく」という歌を残しているわけでございまして、浅川というのは八王子市内の中央を流れている我々に大変なじみの深い川でございますけれども、浅川を渡れば富士山がよく見えるわけでございまして、ここにまさにその時代から桑都があったんだということでございます。
 そしてまた、八王子は、今は最も身近なものの一つとしてネクタイがあるわけですけれども、絹のネクタイの産地としては第3位というふうに言われているわけでございまして、私どももいろんなよその町へお邪魔をする機会、あるいはまたよその町からお客様がお見えになったときには、「これ、八王子でつくったネクタイなんですよ」と誇りに思いながら皆さんに差し上げている、こんなこともあるわけでございます。
 また、幕末から明治初期にかけて、関東、甲信地方から生糸が八王子へ集荷をされ、八王子から横浜へ運ばれた、こういう歴史があるわけでございまして、現在でも「絹の道」というのが残されております。それを当時運んだ道が残されておりますし、あしたはスケジュールの中で「絹の道資料館」というのがございますけれども、そこをごらんいただけるコースになっているというふうに伺っておりまして、ぜひ往時をしのんでいただければ、こんな思いでございます。
 今、これは繊維ばっかりではございませんけれども、安価な労働力を求めて中国、あるいはまた東南アジアのほうへ企業がどんどん出ていってしまっている。これは八王子も全く同じことでございまして、八王子で頑張っておられた企業も中国等へどんどん今シフトをしている。こういう状況でございまして、空洞化も進んでいることも事実でございますけれども、八王子では実は物づくり企業というのが2,000社もあります。そういう企業の皆さんとよくお話をさせていただくときに、付加価値を高める、単なる安い労働力で安価に大量生産するものは日本ではちょっと間に合わないだろうけれども、付加価値を高めて、あるいは研究開発型の商品、こういったものは日本でも、あるいは八王子でも必ず残っていけるんじゃないか、頑張ろうじゃないか、行政でも可能な限り応援をさせていただきます、こういう姿勢で今取り組ませていただいているわけでございます。
 先日、テレビでちょっと拝見しましたけど、品種改良によって染料を使わない生糸、金色の生糸がタイで開発をされたというようなことがテレビで報道されておりました。これはまさに付加価値のお手本みたいなものじゃなかろうかなと思っているわけでございます。そういう点ではぜひ皆さんに私は頑張っていただき、八王子の伝統産業、繊維を残してもらいたいな、こんな思いでございます。
 きょうはこの後、私どもの八王子の繊維については生き字引というふうにいつも申し上げ、尊敬をいたしております織物工業組合の田中理事長のお話もあるやに伺っておりますし、また「地域でつくるシルクの環。今、何をなすべきか」との命題でパネルディスカッションも行われるということを伺っているわけでございますけれども、ここには、シルクで新しい分野を開拓しておられます「みやしん」さんの宮本さんや、あるいは成和ネクタイの和田さん等、地元からも参加をしていただける、こういうことでございまして、大変大きな成果を上げられるんじゃないかというふうに感じているわけでございます。
 きょうから2日間、皆さんのご参加を地元市の一員として心から改めて歓迎申し上げ、そして大きな成果が上げられますことをご期待申し上げまして、ご挨拶といたします。どうもおめでとうございます。(拍手)

司会: どうもありがとうございました。
 では、お二人の方に、ここでご降壇をお願いいたします。こちらの階段からどうぞおおりくださいませ。ありがとうございました。


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