第2部 事例報告ー2−(1)

シルクによるインスタレーション
および舞台美術
小口慶子(染織工房「慶」)

 一昨年前の横浜のシルクサミットでも事例報告させていただきましたので、その後2年間の活動をメーンにご報告させていただきたいと思います。
 簡単にプロフィールをお話しさせていただきます。父が紡織が専門で、工業高校の紡織科に勤めておりました。小さいときから繊維と親しむことができました。でも、絹ということにかかわっていたわけではありませんが、いろんな素材で遊んでいたことがあります。
 進路は音楽のほうに進み、声楽専門で音大を出まして、ピアノ教室を開いて今も続けております。16年ぐらい前に結城紬の指導所に入学して、それから結城紬を織るようになりました。テーブルウエアやショールや服などを織って、個展などをやっております。タペストリーを織っていましたが、だんだん大きくなっちゃいまして、タペストリーからインスタレーション。ホテルのロビーなどにインスタレーションをするのもすべて絹を先染めしたもので行っております。

 今出ているスライドですが、昨年7月28日に第46回自然公園大会というのが栃木県主催でありました。毎年各県を回っている催しです。今年は長崎、一昨年は茨城で行われました。国立公園を盛んにさせようみたいな形の催しです。午前中、宮様がいらして記念式典。その後の音楽の夕べ、「もりのおんがくげき」というテーマで、パンフレットがありますが、舞台美術をやらせていただきました。塩原の「箱の森プレイパーク」というところでやりました。ここがステージです。小さな屋根があるだけのステージのところにずうっと広い山の斜面が客席になっていまして、約3,000人お客様が集まって記念式典をしました。そのときの昼間の設定の部分です。

 ここがステージの後ろになります。このタペストリーは、今この会場の3階に掛けてあります。きのうの懇親会の会場の廊下のところにあったのがこれです。これは真綿を草木で染めまして、蘇枋とかクチナシとか紅茶とか、その真綿を挟みました。真綿ですからくっつきますので、別にとめなくてもこの状態が保っていられます。これはとても軽いものですから、上がそれほどしっかり支えがなくても簡単に掛けられます。幅60センチ、長さ200メートルの布をシルクで織りまして、布といっても経糸がわかるような感じで、緯はすごく粗く織っています。この辺は竹なんですけれども、竹43本に巻きつけました。かなり大がかりな舞台ができました。ここの部分が今そちらに、座長さんの隣のところにありますシルクで作ったオブジェなんですけれども、これは未精練の繭から取った状態の絹にのりをつけまして、風船を膨らませまして張りつけて、風船を乾いてから外す。そのような方法で、かなり大きな形のものを作りました。中にライトを入れるときれいに見えます。絹の美しさが表現できたと思います。

これがセッティングしているところです。経糸がはっきりわかるように経にループヤーンとか太い糸とかを使って、緯のほうはかなり粗く織りました。

これもセットしているところです。これも高い木の上にずうっと渡しまして、高さを作りました。

これが本番、始まるところです。ライトが当たると、経糸の太さが強調され、ライトの色によって波の表情が出たり風の表情が出たりと、おもしろい感じができました。
中にライトを入れまして、外からもライティングしましたので、赤になったり青になったりと、高さ1メートル50ぐらいあるんですけれども、おもしろいものができました。

これが終わったときの―見えますか。こういう感じに見えるんですけれども、ちょうど外だったものですから、風になびくとライトが当たってすごくきれいな感じになりました。これが公園大会です。

それから、8月、「なごみの森のメッセージ」というテーマで、ホテルのロビーで自然写真、木の写真や花の写真を撮っている方と二人展をやりました。この周りの部分が……。これはさっきの公園大会で使ったものをこういうふうにアレンジしまして、ディスプレーしました。

 これは1月23日に「大谷石の里音楽祭」といって文化庁の「文化芸術による創造のまち」支援事業として行われたものです。場所は大谷石の生産で有名なところですが、陥没した所もありまして、そこの地元の方たちが何とかして村おこしをしようということで行いました。会場が小学校の体育館です。小学校の体育館の床の上をどうにかして舞台のイメージを作ってほしいと言われました。大谷石のイメージのオブジェを作ってくださいということで。普通の小学校の体育館ですから大谷石を持ち込んだら重いですし、床を傷めます。これは大谷石を切り出した大きさに段ボールを作って、それに絹をただペタペタ張っただけです。未精練の絹に、のりをつけましてただ張っただけでこのボコボコが出ました。新聞で取材してくださって、このオブジェの写真を載せてくださったら、見た方は絹と思わないで、本当の大谷石を置いたと思われました。

 これも同じところです。
これがバックに……見えますか。ここがオーケストラです。ここが大谷石の山のイメージで書いた絵。この前に先ほどの粗く織ったものをさげました。

 これがことし6月、築400年の農家の土間にインスタレーションしたものです。今そちらの座長さんのわきにありますブルーの作品も同じものです。繭から取ったままの絹にのりをつけて、これは結城紬で使うのりを使っています。それをつけて、アクリルの棒を丸めたところにただつけただけです。これは駒ヶ根シルクミュージアムの入口のところに飾らせていただいておりますので、ぜひ見ていただきたいと思います。
これは土間です。こちらが入口で、入ってきてこういう感じに、4枚のところへ掛けて……。こちら、逆から撮ってみました。先ほどのはこちらから撮ったもので、今はこちらの、ここに1枚板の戸があるのをこちらから撮りました。農家の土間のところはそのままで、隣の馬屋の部分をギャラリーにしている古い農家です。ギャラリーでガラス作家の方と二人展をしたときに、土間のほうでこのようなインスタレーションをさせていただきました。
暗くて見えないですが、上に藍で織った布をさげて、風のイメージを作りました。

これはちょっと画面が違いますが、7月30日、「スペイン、イタリアを歌う」というソプラノの演奏会がありました。宇都宮の市立美術館のレストランで行われたときに、座長さんのわきにあるブルーのオブジェをたくさん飾りました。結構涼しそうなイメージを作りました。
 それから、8月28日に「シャボン玉コンサート」というのがありました。これは座長さんのわきにありますあのバージョンの大きいのと小さいのをステージの端に並べました。ライトもいろいろな色を入れて、しゃぼん玉というイメージで作りました。

それから、これ、画面のものですが、9月18日に「オペラアリアと重唱の夕べ」という演奏会がありました。そのときの舞台美術を頼まれました。高校のときからの友達が中心になってオペラアリアの研究会をやっているものですから。彼と奥様はイタリアでずっとオペラをやっていた方です。日本では雰囲気の変わった舞台をしたい、というお話をいただきまして、それにも絹を使わせていただきました。
 何せ予算がないものですから、これはこのくらいの木枠、1メートル10掛ける75の木枠を作っていただきました。それを4枚組み立てて作りました。これは障子紙です。障子紙に絹をペタペタ張ったのでボコボコした感じが出ました。張ったときにのりが障子紙についてすごく汚れました。ボコボコした絹のところの周りがずうっと滲んじゃってちょっと汚い感じですけれども、ライトを当てたらそれがすごく立体的に見えて、失敗だったところが結構成功になった。このときの照明をしてくださった方が駒ヶ根市出身のアシベさんとおっしゃる方で、岩下先生の宇大のときの教え子でした。農学部にいらしたのに照明のほうにはまってしまって、今はすばらしい照明技術を持った方で、あちらこちらで活躍しています。偶然ながら駒ヶ根と縁があったなという感じがちょっとしました。

これが一番最初のステージです。3時間のステージで出演者が30人、合唱あり重唱ありソロあり、オペラの名場面のところだけをピックアップして、蝶々夫人があったり椿姫があったりフィガロの結婚もあったり、有名な場面だけを出してきたものですから、舞台美術は、3時間のうちに10バージョン。2面は白で、あと2面は黒で作りました。それを倒したり重ねたりしながらセットしました。これが白の面が入っているところです。照明の色合いでこのようにかなり……。
これのところは、後ろに黒いのが入っています。これが蝶々夫人の場面です。ちょっと見えないかもしれませんが、ここのところに花壇みたいなものを作りまして、蝶々夫人がスズキという侍女と二重唱をする場面で、花をまくシーンがあります。ピンカートンが帰ってくるというので、狂ったような状態で歌いながら花をまく。これを染め、花のイメージにしたものをまいていただきました。結構軽いし、ヒラヒラと舞うので好評でした。

これもそうです。

これが一番最後のコーラスの部分です。右側に先ほどの白で作ったものを重ねて、教会のイメージを作りました。今ちょうど画面の端のほうに写りました。
今までの活動は以上です。今後の予定としましては、10月28、29、30日、沖縄で染色のための自然素材展というのがあります。それにキャリアとキビソを持って参加させていただきます。
 あと、12月、ホテルのロビーに ディスプレー、それも全部シルクでやりたいと思っていま展示します。
それから、2月に先ほどの大谷石の里コンサートの第2バージョンというのがあります。
これからいろんな絹を使いたいと思いますので、皆様のところで捨ててしまうようなケバとか糸を取ったときのごみとかありましたら、ぜひご一報いただければありがたいと思います。以上です。

座長: どうもありがとうございました。会場の皆様からご質問などございましたらお願いしたいと思います。
 今こちらのほうで見させていただきまして、シルクの糸の素材のおもしろさというのをすごく感じて楽しいなと思いますけれども、いろんな会場の中でやっていらっしゃいまして、いろんなアイデアというのがたくさん貴重なものがあると思うんですけれども、どういったものが……。
小口: アイデアというか、結局、音楽監督の方がいらっしゃいまして、こういうイメージでこういうのをやりたいとおっしゃいます。かなり回数を重ねた話し合いでデザインを作ります。これはおもしろいです。作品は繭の品種によって全然違う表情になります。でき上がりが。布に織ってしまうとパッと見たときわからないですが、一目瞭然で、繭の品種でこれほど違うものができるんだなと。駒ヶ根のシルクミュージアムでいろんなものを飾ってありますので、ぜひ午後、見ていただきたいと思います。
座長: わかりました。染色工房「慶」の小口慶子さんに発表してもらいました。どうもありがとうございました。


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