各地の事例報告−1−
川俣町シルクピア
(福島県川俣町)

川俣町シルクピア所長 鈴木 毅

 川俣町のシルクピアの所長をしております鈴木と申します。私昨年の4月からこちらの方に人事異動でまいりました。川俣シルクピアというパンフレットの中に、「かわまたおりもの展示館」があると思いますが、こちらの方では展示場を中心に企画展を行っております。その他に、「からりこ館」というのがあるのですが、からりこ館は体験館でございまして、染めと織りの体験を定期的な教室を開きながら開催しております。スタッフの方は所長の私と事務職員1名、それと今日こちらに来ておりますけれど、織り染めの専門指導員の山根。他に女性が3名非常勤ということで染め織りの体験等の実習とについて行っております。
 事例発表ということですが、これまでに行ってきた内容を説明したいと思います。かわまたおりもの展示館ですが昭和63年の11月にオープンをしました。川俣は織物の町ということで絹織物が明治、大正、昭和と盛んでしたけれども、織物の衰退が昭和40年代から見えてきまして、織物の会館を作って、織物の歴史を残していこうではないかということでおりもの展示館がオープンしました。
 活動の内容を説明します。先ず企画展の開催を行います。年4回なのですが、第1回が「ふくしまのおりもの展2000」ということで、毎年福島県織物農業会が中心となりまして、川俣とか隣の飯野町が東京の方で展示会を開きます。その中のいくつかをお借りしてきて川俣で織られている最新の技術やデザインやファッション性を施した絹織物の展示を行っております。宣伝としては、昨年から今回からですがテレビスポットを使いまして15秒間12回ほど放映しております。第2回の企画展が「涼しさの世界 夏衣装展」という夏衣装展を行いました。夏の暑さに耐えるための夏衣装の色々な工夫をしたい。糸、色、柄、織りですね。古来からの伝統の技を駆使した涼しさの世界の展示ということで行いました。3回ですが、川俣町で織られている絹織物の9割以上がスカーフ生地ということなので川俣で織られたスカーフ生地がどんな形で現れているかということで最新のスカーフを展示しておりました。第4回が、今行っておりますが「ひな人形展」。川俣町の絹織物が江戸時代からひな人形に飾るに欠かせない雪洞(ぼんぼり)や元結い、衣装の中で一番上に着る唐衣と共につける裳に、川俣の絹が使用されておりましたので、ひな人形と川俣絹織物とのかかわりの展示であります。いずれもテレビスポットをつかった放映をしておりますが、地方ですがNHKの実況放送がありまして、かなり反響がありまして、ひな人形展については今のところ人の入館が多くなっております。このおりもの展示館は、企画展示室の他に常設展示館とおりもの伝承室というものがありまして、川俣の織物の歴史を紹介しております。
 次に、からりこ館ですが、先ほど申しましたように、からりこ館は染めと織りの体験の教室、それからスポット的に訪れた人も体験できるような織りや染めができるようになっております。教室開催のことですが、手元資料の1ページに書いてありますけれど、毎月1回ないし2回ということで草木染めのほうを開催しております。こちらのほうは見ていただきたいと思います。人数はある程度限られます。10〜20名の範囲内で定員を決めまして、参加者は川俣町の広報誌、または個人宛のダイレクトメールということで参加者を募集しております。2ページ目にまいりまして、手織り教室の開催ということでこちらは結構数多くやっております。5月から3月。これからありますけれど、こういった形で簡単にできる。ここに写真がありますが、ここが体験室で、これは手織り織機ですが、卓上の手織り織機を用いまして、ある程度初心者の方でもすぐに織れるようなということで卓上織機を利用しております。もちろん卓上以外の手織り織機もありますけれど、主には卓上織機ということです。それからユニークなものとしては手織りと草木染めを合わせた教室ということで手織り草木染め教室。テーブルセンターを織り染めるということで、テーブルセンターを先ず織って、染めるということをやっております。草木染めを皆さんによく馴染んでいただくということで、草木染め教室の中にコンテストをもうけまして、藍染めでスカーフを染めて、審査期間をもうけまして、入館者の方に審査員になっていただいて、自分でいいと思った作品を5つ選んでいただく。草木染めの愛好者なり、興味を高めようということで開いておりました。 その他に川俣町は織物の町という事で、町内小学校のコースター織りというのがございまして、昨年から結構多くなりました。なぜ多くなったのかという理由は、川俣町の小学校の中で総合教育の時間というのが設けられまして、蚕や絹糸、絹織りというものを学ぼうということになってきました。別紙1にありますように、川俣町立富田小学校4年生がこういうことを勉強して、先ず蚕を飼って、糸をとって、織ってゆこうということになりまして、その勉強する場所として川俣町のシルクピア、その中のからりこ館を利用するということで、一緒になって蚕や絹織りを行いました。詳しいことは、この中を読んでいただけばわかると思います。
 別紙1、次のページですが、平成14年度までの総合的な学習のコースを、平成11年度から14年度までの間に小学生がどのようなことを勉強していくかというようなことも決まっておりまして、地区の工場、もちろん織物の工場の見学もありますが、やはり蚕を飼うということを平成12年度に実際に実施しまして、それから糸をとるという作業も11月に行いました。そのようなことで、地域の小学校とからりこ館との結びつきが強くなってきたといえると思います。
 別紙2ということになりましたけれども、小学生が実際繭から糸をとったという体験を川俣町の広報誌、平成13年の1月号に載っておりました。小学生が、地域のおばあちゃんが鍋に繭を入れて、煮て、糸をとるという作業に、もちろん自分達もそのような作業に触れました。現在、川俣町の養蚕農家は30軒を割って、20数軒とだいぶ少なくなってきたのですが、それとはうらはらに川俣町の小学校の方では、蚕を通じて地域の学習の中に取り込んでいこうという気運がでてきましたので、これから益々からりこ館はそのような体験の場所として活用していくという方向が出てきたのではないかとおもいます。富田小学校の方は新聞に載っていましたけれど、教育関係のソニー賞を2年連続で受賞していまして、そういった意味でも、教育に対する学校の取り組み、熱意が伝わってきているのではないかと思います。繭をとってきたおばあさんは、高齢になってらして、80を過ぎているので、こういったおばあさんの後継者を育成していかないと繭とりが実際できなくなってしまうという恐れもあるので、そういった意味でも後継者作りも叫ばれていると思います。次の3ページの方は、グループとかちょっとした体験ツアーということで当館を訪れた団体の体験ということですがその他もあります。個人で2〜3人でコースター織りや草木染めをする方も結構増えております。最後に、ちゃんとした展示館、からりこ館の入館者・体験者等の推移を平成9年度から12年度まで書いておきましたけれど、12年度については2月末現在で、展示館、からりこ館の入館者というのは残念ながらあまり増えていないので少し減少気味か横ばい状態ですが、からりこ館の体験者の数は昨年教室数も増やした関係もありまして増えております。そういった意味でからりこ館のほうがすごい重要だ、それから夢をもっていいんじゃないかなと考えております。簡単ですが、一応川俣町のシルクピアの事例ということで終らせていただきたいと思います。