各地の事例報告−4−
豊富村郷土資料館
(山梨県豊富村)

豊富村郷土資料館主任 岡野秀典

 豊富村郷土資料館から来ました、岡野と申します。よろしくお願いします。豊富村と申しましても、おそらく皆さん御承知ないと思いますので、簡単に村の概況から御説明させていただきます。山梨県東八代郡豊富村でして、村の人口は約3,700人ほど、面積としましては13.5平方キロメートルの、本当に小さな村です。甲府盆地の南端に位置する農村といっていいと思います。養蚕関連としましては、豊富村というのは、特に戦後、昭和34年から56年ごろにかけまして、繭の生産量が日本一だったということがありまして、特に養蚕が盛んな地域であったといわれております。このころの養蚕農家というのは500軒を超えていたそうですが、現在の養蚕農家というのは、聞きましたら3〜4軒ほどだということです。豊富村のふるさとづくりのキャッチフレーズとしまして、「シルクの里豊富」ということでやっておりまして、村当局では繭の形をした街路灯を各所に設置したり、シルクの特産品なんかを開発などして、村のイメージアップに務めているということです。
 村の郷土資料館についてですが、こちらの沿革として、昭和54年11月に、旧役場庁舎を改築して郷土資料館として運営していたわけです。その後平成になり、村の中に「シルクの里公園」というのをつくる事業が計画され、公園の中に新しく資料館を建設し、平成6年7月に開館されました。
 資料館の展示室としては、1階と2階に分かれており、1階には郷土資料、主に考古資料とか養蚕以外の民俗資料を中心に展示しております。また、2階に養蚕関連の資料を展示する部屋を設けており、2部屋に分けて、1つが養蚕の用具を展示する部屋、もう1つの部屋として蚕とか繭とか、桑などを学習する展示室というふうに分けております。2階に、190インチの大きな画面でハイビジョンシアターを設けており、70人ほどが入れる部屋なんですが、そこでいろいろなテレビとか、ソフトなんかを見れるようにしております。そこで、豊富村の風景を交えながら、蚕が卵から生まれて蛾になっていくまでの様子をハイビジョンカメラで撮影した、「繭誕生」というタイトルで放映時間15分程度の養蚕関連ソフトをつくっておりまして、希望があれば見てもらうということにしております。
 この資料館の中での展示活動で、特に気を配っていることというのがアンケートにあったんですけれども、養蚕関係の道具を説明するというのは、すごく難しいと思うんです。僕自身の勉強不足ということもあるし、僕自身が養蚕に関する実体験がないということもありまして、なかなか説明するのに苦労しているというところがあります。うちの資料館の館長は養蚕の経験者ですので、ある程度説明ができるので、養蚕については館長を中心に説明してもらったりしています。
 問題点としましては、問題点というよりはこれからやっていきたいと思っていることなんですけれども、うちの資料館は、特にここ最近特にそうなんですけれども、小学生の社会科見学としてくることが多くなりまして、特に3年生がよく来るんです。3年生で昔の道具を何か勉強する授業があるということで、村だけじゃなく、近隣の町村の小学校の3年生が割とうちの資料館に来てくれたりします。一応、展示物それぞれに説明板を置いているんですけれども、道具の説明というのがなかなか3年生程度には難しいということもありまして、これからは子供でも理解できる表現の説明板もつくっていけたらと思います。
 体験的なこととしましては、資料館の中には体験できるコーナーというのがなくて、資料館に隣接します建物として「シルクふれんどりぃ」という名前の建物があります。これは宿泊とか、研修とか、温泉の入浴なんかもできる施設です。その中に工芸体験ができるコーナーがあります。繭工房、つむぎ工房、陶芸工房という3種類のことが体験できる所がありまして、繭工房としましては、これは繭クラフトづくりを行うところです。ここで講習は月1回ないしは2回程度なんですけれども、行っております。宿泊する人で、希望があれば随時行ったりもしています。コサージュとかブーケ、マスコットキーホルダー、鉢植えなんかを中心につくっているそうです。体験もできるし、そこで指導者が数名いるんですけれども、その人たちがつくった繭クラフトを販売もしております。
 地域とのふれあいということですが、村の住民が結婚をするというときに、繭工房の指導者の人たちがつくった繭の花のブーケを贈るということを行っております。繭玉の取得ということですが、村内の養蚕農家から買ったりしているそうで、年によって足りなくなったりということもありまして、そういうときには山梨県庁の関連部局にお願いしていろいろ探してもらうのを手伝ってもらったりするということのようです。もう1つ養蚕関連としては、つむぎ工房というところがあります。うちの村ではファーストシルクと名付けたんですが、毛羽と呼ばれているもので、蚕が繭をつくり出す前に吐き出す最初の繊維のことなんですが、従来は役に立たずに捨てていたもののようなんですが、それを平成3年からこの繊維に村では注目しまして、その繊維でマフラーやショールを織ったりしていると。それがしなやかで体になじみやすくて、独特な鈍い光沢と軽さを持っているということのようです。商標登録を平成6年6月に取得しております。あと、織物が体験できるコーナーがあるということです。これらの糸の取得ですが、この事業を始めるときに集めたものが残っているそうで、それらを使ったりしているそうです。また、それ以外にどこかから注文して買っているということもあるそうです。以上、簡単ですけれども、村の養蚕関係の資料も含めて、報告させていただきました。