総合討論

北村企画連絡室長: 各地から寄せていただいたアンケートの回答を中心に議論しようかなと思っていたのですけれども、7ページの問題点というのが書かれている所から前の部分は事例的な部分で、昨日からずっと御報告いただいた部分だと思います。7ページ以降の問題点というところが、解決するべきことなのかなと思っておりますので、その辺を中心に議論してみたいと思います。
 それで、何もたたき台がないと議論が進みませんので、とりあえずのたたき台を、今朝急遽作ってみました。ここにありますように、いろいろと要望等があるんですが、大きくくくると、多分情報交流の場がほしいということと、研究成果とか、各所のデータのようなもの、いろいろな意味での情報が欲しいというのとの2つに、とりあえずくくってみました。
 情報交流の場ということについては、昨日西尾理事長が言われたように、産地と技術開発の現場と文化というのを地域の中でどう結合させていくかというのが、昨日サミット開催の経過説明の中でも少し触れましたが、重要なポイントかなと思っているのです。それは今回やりました、シルクミュージアムのネットワークをさらに拡張して、博物館・資料館と、生産者、生活者、それから研究者・行政といったものの連携を強めるということによって、こういうことが実現できるのではないかと思っておりまして、この辺を少し議論していただければと思います。
 それから交流会ですけれども、これだけのものを毎年やるのはちょっときついかなと思って、2年に1回くらいかなと思っていたんですけれども、昨日からの話ですと、やはり毎年ぐらいやらないと、元気が出ないかも知れないし、西尾さんも帰り際に「毎年やらんと定着しないのじゃないか」と言われてまして、ちょっと重い宿題をもらってしまいましたけれども、その辺もどうするかというのを・・・・・。やるとしたら、回り持ちで、いろいろなところに出かけていく、事務局はこちらでやるとしても、どこかに出かけていってそれぞれの産地を見ながら回っていくのがいいのかなと思いました。年に1回程度なのか、この辺も含めて御検討していただければと。それから交流の場として、こういう交流会のほかに、もし設定できるとしたらオンラインの広場ができるのではないかと思っておりますが、これは、昨日司会をやりました、当所の木下研究技術情報官にお願いしまして、蚕糸・昆虫農業技術研究所の、4月以降は農業生物資源研の中の1部署になりますが、そこのホームページにシルクウェーブというホームページを今、立ち上げております。そこに、どなたでも見ていただけるようにこのサミットの趣旨とかを載せてありますが、例えばこの中に、いろいろな情報を載せていくということはできるのではないか、それからシルクメールというメーリングリストも立ち上げていただいて、1人がそこにメールを出すと、加入している方々のどなたにも同じメールが届くというような仕組みをつくってありますので、そういう意味では、オンラインで情報交流ができるのではないかと思っております。それから、年に1〜2回程度のニュースの発行をするのかなと思ったり、昨日も御紹介ありました、岡谷博物館紀要にお願いして、年に1回発行ということですので、その後ろの方にシルクウェーブのページを設けていただければ、皆さんがそれを読んで情報交換ができるというようなことも可能かなと思ったりもしております。
 各研究成果や各種のデータベース等に関しましては、研究機関の責任もありますので、やらせていただきたいと思います。皆さんのお手元にお配りしたCD-ROMの中に、バーチャル蚕糸資料館というのをつくってあります。これは、現在インターネット上で手に入る、とにかく蚕、絹、織り、蚕糸、染め、シルク、ありとあらゆるキーワードで引っかかってくるサイトをできうる限り載せてあります。その中には、先ほど言われた農林水産省統計情報部がやっております「農作物別の主要な統計−9.養蚕」というようなページもありますし、東京都の農業試験場経営部が出しておられる「東京の蚕糸業」というようなページもあります。調べている限りではこのくらいしかありませんので、その他の研究情報等につきましては、蚕昆研の方が責任を持って、これからもやっていくというようなことになると思います。
 大体こんなところを少し議論していただければと思います。例えば、企画展の持ち回りとか、展示物の交流とかというのは、こういうネットワークができると、その中で議論していけばいいんじゃないかと思っているのです。それから実は昨日、織物参考館“紫”の森島さんから非常にいいアイデアをたくさんいただいておりまして、例えば、全国各地にあります蚕糸関係の資料館・博物館のスタンプラリーみたいなことをやって、それで、5カ所なら5カ所を回って、はんこを押すとシルクのコースターがもらえるとか、そういうようなことでやると、必ずみんながいろいろなところを回るんではないかという、これは森島さんの博物館関係の経験から・・・・、その辺本人から直接しゃべっていただきましょうか。もしよければ・・・・・。
  
森島: 昨日、ちょっと酔っぱらいまして勝手なことを申し上げましたけれども、実は群馬県の博物館連絡協議会というところでは、群馬県に今86館の博物館が加盟しておりまして、オリエンテーリング・マップというのをつくっております。スタンプが20個たまると、群馬の星野富弘先生という障害者の絵かきさんがいるんですけれども、お願いをいたしまして、富弘先生の絵の入ったハンカチをもらえるというということを始めました。割と好評ですので、そういうこともおやりになったらいかがでしょうかというお話をさせていただきました。
 実は、オリエンテーリングにしたのは、博物館というものが決してわかりやすいところにあるわけではなくて、かえってわかりにくいところにたくさんあるから、そこを探していただきたいという意味でやったもんなんです。ちゃんとしたマップをつくって、ちゃんとした場所を掲げても、意外とわからない方がたくさんおられますので、そういう意味ではいいのではないかと。
 それから例えば、昨日は余りお話ししなかったんですけれども、群馬県の方では、カーナビゲーションシステムに博物館を入れていただこうということで、だいぶカーナビがふえて参りましたので、ときには私どもに何の関係もないような他県の車がすっと来るのを「どこでお調べになりましたか」と言ったら、「カーナビで調べてきた」という方もいらっしゃいます。ゼンリンという会社だと思いますけれども、カーナビゲーションのデータをやっていらっしゃるところがありますので、例えばそういうところに登録しておくと、自然に博物館のしるしが出てくるということになりますので、そういうこともいいのではないかというようなことで、ご提案申し上げました。そんなことです。
 
北村: ありがとうございました。実は昨日の懇親会の後で、田勇さんが、「私のところは機屋で、何でここに来ているのかわからない」と言っておられましたが、いろいろな方が来ておられるんですけれども、糸屋さん、染め屋さんとかいろいろな方がサミットに参加していただいていられるのだったら、サミットブランドの何かをつくったらどうかというようなところまで夢が広がって、とめどもなく夢のある話ばかりしていた中の一つです。この話はとりあえず動き出してからでもいいだろうということで、今後の体制を少し検討しておいた方がいいのかなというので、今回の提案をさせていただいております。この辺のことについて、何か御意見とかあるいは要望とかがあれば、お伺いしたいんですけれども、どなたでも結構ですから。
 
森島: 昨日、どなたかのお話にもありましたように、みんなそれぞれ、かなり元気が出る場になったと思うんです。せっかくこれだけお骨折りいただいてこういう会を持てたものですから、今2年に1回というような話も出ておったんですけれども、できることなら毎年持ってもらって。蚕糸情勢も年々大きく変わっていく中でそれぞれ各館にこもっていると、どうしても元気をなくすということが多いと思うので、こういう機会でみんなが情報交流して、それで、明日のエネルギーを蓄えてそれぞれの館で取り組むというようなことができればと思います。
 それで、特にお願いをしたいのは、こういうサミットの事務局を持つところは大変だと思うんです。今回も、これだけの人数が集まって、皆さんのことを全部御面倒を見られた農林水産省の皆さんには大変なご苦労があったと思うんです。これをある特定の館にということになっても、なかなか十分な対応ができないと思うので、当面は農林水産省の方にぜひお願いをして、こういう機会を続けてほしいということをお願いをしたいと思います。以上です。
 
北村: そういう要望がありますと、私はすかさず横の高林さんの方を見ることになるんですが・・・・。当日の会場設営とか、会場との折衝とか、そういうことは現地のところでやっていただかないと多分、行ったり来たりの時間と費用も無駄ですので、そこはお願いするとして、いろいろなことを企画したり当日始まるまでの準備というのを引き続きやってもらえないだろうかということだと思うんですけれども・・・。
 皆さんにもできるだけ御協力いただきながら、仕掛け人でもありますので、当日までの準備については皆さんと御協力しながら事務局をやらせていただくと。幸い、岡谷という地は、先ほどのように市長さん以下御理解がありますし、岡谷蚕糸博物館というのもありますので一緒にタイアップしながら、ぜひやらせていただいてよろしいですか。
 非常に力強いサポーターがありましたので、岡谷蚕糸博物館とも一緒に連携をとりながら、岡谷のチームが中心になって事務局をやらせていただくということにしておきたいと思います。
 
安田主任研究官: 岐阜県生物産業技術研究所の安田ですが、岐阜県内にもシルク工房というものがありまして、町のとか村の援助でやっています。糸引きをやって機織をりやって、それを染めて、製品化して売るという方々がいるんですが、一方ではそういう方たちは、販売していきたいという考えがあるんです。経営的に、先ほどもそういう話が出ていたんですが、こういう協議会の場で各業界さんでも結構年間、晴海とかああいうところで結構やっておられますね、大きなフェアを兼ねた販売。販売はやっているかやっていないか、展示会みたいなものはやっておられます。そういうような1つの機会、1度は集まって展示会をやるとか、そういうような方向に持っていけるといいなと思っておるんです。そういう中で販売するという物産展みたいな形に持っていけるといい。そういう面で組織の方で支援していただくとか・・・・、ただ1年に1遍集まるだけの情報交換だけでは発展しないんじゃないかと、私はそう考えておるんですけれども。その辺の点、いろいろと御意見ありましたらお願いします。
 
北村: おそらく、今の物産展的な考え方というのは、生産者と生活者を結ぶネットワークだと思うんです。その仕組みについては、必ずしもこの場とイコールでなくても、ここの連携の輪が中心になって、例えば毎年有明であります農林水産祭のようなところですとか、全国的にオープンになっていて市民が寄ってくる場所というのは結構ありますので、そういうところにもし何かをするとしたら、この連携の輪とは切り分けて参加していくことは十分可能だと思います。そういう情報もここからは発信していくことはできると思いますので、とりあえずは、そういう要望もあるということをお聞きしておきたいと思います。
 
山根シルクピア専門指導員 私は福島県の「かわまたおりもの展示館」の者なんですが、こういう機会に皆さんにお願いしたいんです。先ほど発表がありました天蚕について2つの町からのお話を聞きまして、ここに来ていませんが、東北でも、福島県でも何カ所かやっているところがあります。それから、特に岩手県では大がかりに、かなり県とか何かも力を入れてやっています。
 そこで提案です。絹にかかわった今回の会議なんですが、麻の中でも本来の麻とカラムシとか、綿もそうなんですが、織物の、ここ以外のもので、国の指定を受けた無形文化財という形のものがかなり多くあります。それで、絹の中でも織り絹の技術の人間国宝的な作家の先生たちが保護される部分があります。我々はここの中で、糸に関して、天蚕についての技術保存と、これからの定収のためには国の工芸としての指定問題があります。私は工芸作家として、日本工芸会というところで、一応作家活動をしています。日本の中には、伝統工芸と伝統的工芸という2つの流れがあるわけです。同じ仕事をしながら、これは通商産業省の伝統的工芸品と、文化庁関係の伝統工芸があります。そういう2つの流れで片方は人間国宝という形をとって、片方は通商産業省の技術伝承者という形になるんですが、その辺の1本化ということを我々は考えるんです。
 特に天蚕については、各織物の分野でそういう流れがあるのですから、やはりこういう中で天蚕については、情報を聞きまして、我々が遠くで聞いている中では今、天蚕の繭はいわゆる健康食品のパウダーになって生産が間に合わないんだという情報が入っているわけです。「そんなに今、流れがいいのかな」と私は1年ほど思っていましたが、ここに来て切実なお話を聞きまして、やはりこれは皆さんの力で国に働きかけて、伝統をきちんと伝承することを守らなければ、今、2つのところから聞いて、やはりみんなで応援しようということをつくづく私も感じておりますので、皆さんにこのことを今後の課題として提案したいと思います。よろしくお願いします。
 
北村: このことについて、何かありますか。今の件に関しましては直接的ではないかも知れませんが、昨日、講演いただきました西尾さんが理事長をしておられる日本特産農産物協会の方で、平成12年度から地域特産物の生産や加工などの分野で卓越した技術能力を持つ人を「地域特産物マイスター」として認定・登録するという制度を始めておられます。この認定・登録の対象は、地域特産物の生産・加工に携わる農業者や、農産加工関係者などで、その地域の特産物の生産・加工技術などに卓越し、その技術の向上と伝承に意欲的であり、地域特産物の産地育成を支援する役割を担えることというのが条件だということで、こういう制度が農林水産省の方でも始まっております。昨日、西尾さんはそういう話はされませんでしたけれども、こういう制度を活用していくというのも十分可能ではないかと思われますので、一度行政の方とも、この辺のことについてもぜひ、ご相談いただければと思います。
 今のところは、大体1回くらいはやるというところですが、そのほか何か、ありますか。
 
井上「紬の里」代表取締役: 私は茨城県結城、結城紬の産地から来ました、「紬の里」の井上と申します。
 昨日もパーティーの席でちょっと何か話してくれというのでお話ししましたけれども、我々は直接、蚕糸昆虫研究室というところとのかかわりというのはほとんどなかったわけです。一昨年、うちのすぐ20分先にあるものですから、そこへお邪魔するようになって、我々が見ている見方とそこの中で働いている人の働いているものに、物すごく違いを私は感じました。1人の人間が白衣を着ていろいろと研究をしていたようですが、この研究は何のためにやっているんですかと段々聞いてみると、自分の研究なのか、部門の研究なのかわからないけれども、相手がいない。相手の見えないものを経過を踏まえてまた研究する、そういうものがなくて、何で研究しているんだろうと。それからだんだんそこに行くようになりました。
 いわゆる結城紬というものは繭から真綿にして糸を紡ぎだし、そして縦糸・横糸を使用して織物としてやっています。繭玉として大体2,000個ぐらい。そうすると、今までは通常の繭が大体6個ぐらいで1つの真綿をつくっていました。福島県の方からお世話になっていますけれども、大きい繭を飼育してもらえれば、多少糸の繊度の問題もあるだろうけれども、いずれにしても6個が4個になれば手間が省け、真綿をつくる人も楽になります。これを一遍ぜひ開発してくれと。そうしたら、すぐにその研究室の池上さんという室長さんが、2日後に種を探しに行って飼育してくれました。そして、結城の紬屋関係の原料所にお願いして真綿づくりをして、その繭が50分で煮たらどうなるか、55分だったらどうなるか、全部データを取って1反分の縦糸が、つい先日できあがりました。そしてこれから染色に入るわけですが、この3月15日に蚕糸昆虫研究室を通して会合を持つわけですけれども、1年前にお願いしたことを即実行してくれました。これは産地の地域活性にもつながるということです。
 今、私たちが非常に感じるものは、日本の中の養蚕家を残そうとしているのか、養蚕家がだんだんなくなっていくことを、どう援護していくのか。根本的に養蚕家がなくなっていくことが困るのか、外国から入ってくる糸に対してどうなのかということが余り見えていません。昨日も井上さんにちょっとお尋ねしたのは、国内産の養蚕から立ち上がった繭が、一体原料の生糸というところに流れているのがどのくらいあるのか、それから外国から入ってくるのがどのくらいあって、どれだけの量流れているのか、この実態はぜひ知りたいです。我々の近くにも養蚕家がいますけれども、もう嫌になっちゃってやめています。そうすると、毎日嫌になった話を、子供に跡を継げと言ったって、継ぐわけがないです。何で養蚕家が嫌になっちゃったのかというと、相場の問題だけじゃないだろう、あるいは生き物の関係する問題でもあるのかも知れません。新たな養蚕家をつくり出すということを農林水産省の方から考えているのか、なくなっていくものはしようがないのか、問題はそこらを詰めてかかって、始めて研究開発です。それがどうも順番があべこべじゃないのかな、要はなくなっていくものに対してどうするんだという前に、何の研究ができるんだというものを非常に私は感じました。
 今、蚕糸昆虫研究室にお願いしていることは、去年1年で私のところは体験工房を持っているものですから、小学生が1学級大体100人前後、機織り、藍染め、結城紬、伝統のビデオを見せるという形でやっています。去年水戸から来た子供たちは、200名じゃ入れないので、100人を蚕糸昆虫研究室へ回しました。ちょうどそのときにお蚕さんが、5齢くらいかな、大きくなってえさを食べるか食べないか、ちょうどタイミングがよかったものですから、そこへ100人行ってもらって、うちで100人やって、終わったら交代。私のところへ来たときに、前半に行ってきた先生も生徒も物すごく喜んでくれました。これは早速蚕糸昆虫研究室に、これから子供たちの見学をちょっと考えてくれとお願いしました。そうすると、彼らは見学のための施設、仕事ということが頭の中にないから、大変面倒くさく感じたと思います。要は春から秋くらいまで、ちょっとでも見られる程度でいいから飼ってくれと。そうすると、「少し飼っても多く飼っても同じだ」と。目的がどこにあるのかということがはっきり見えていないと、これからそういうものをどうするんだという答えが出てこないと私は思います。
 養蚕家というものを増やしていこうとしているのか、その辺が余り見えてこないとこれからどうするんだということの懸念を物すごく私は感じました。ですから、できるだけ低価格の人工飼料を開発してくれと。お蚕さんを飼いたい人で、桑を植えられる敷地を持っている人はいい。桑を植える敷地のない人でもお蚕さんを飼いたいということになると、これは人工飼料にゆだねなきゃならなりません。そういうことも含めて養蚕家を増やすという発想はなかなか私は、これからやっている人が嫌になっちゃってやめているのですから、新たなものが入れるわけがありません。だけど、これをどう考えているのかが、ちょっと疑問に感じているところであります。以上でございます。
 
北村: 幾つかの視点があったと思いますけれども、1つは次の世代に関心を持ってもらうという啓蒙・普及活動だと思います。これは私たちも同じような経験をしておりまして、毎年4月の科学技術週間という時に、つくばでは一斉に試験場の公開をやります。蚕糸・昆虫農業技術研究所では、蚕を始めとしていろいろな生きた昆虫を見ていただくということをやっております。それから、昨年の8月には東京国際会議場で、日経21世紀夢の技術展が開催され、そこに蚕昆研も出展して、そこにもやはり生きた蚕を持っていきました。11月には、松本商工会議所等主催の「第1回まつもと工業まつり」が開催されたときにも、いろいろな研究成果と一緒に蚕も持っていったりしたわけです。そのときの主催者のお話を聞きますと「2カ所に黒山の人だかりができるブースがある。1つはソニーのAIBOというロボット犬と、すしロボットがセットになったコーナーがあって、そこは黒山の人だかりがしている。もう1カ所、かなり奥の方なのに、やはり人がたかっているところがある。どこかなと見に行ったら、何と蚕糸・昆虫農業技術研究所のブースだ。そこを見ていたら、お母さんやおじいさんたちが『そうそう、これ昔、こんなのが蚕だったんだよ』とか、子供たちは喜んで蚕を触っている」。そのようなことは、私たちもたくさん経験しております。ですから、そういう意味では、研究所の方も、機会があるごとにそういう広報・普及あるいは基盤づくりをやっているわけで、非常に大事なことなのです。
 これは昔からいわれていまして、研究成果を出すということ、研究のそれを普及していくということ、それらが受け入れられる基盤をつくっていくというのは、これは試験場にとっては三位一体のことでして、どれか1つがやればいいというようなことでもないのです。普及ばかりやっていると、見ていただく新しいものがなくて、そこで終わりになってしまうので、だから研究と普及と、それを受け入れていただける基盤をつくるということが非常に大事になってきます。そういう意味におきましても、こういう私たちのような研究組織と、主としてそういう普及的なところを携わっておられる博物館とかが一緒になってそれで基盤をつくっていくということが非常に大事ではないかと思っています。
 それから養蚕家のことですけれども、昨日のスライドにも入れましたけれども、養蚕農家としてペイしていく量というのと、一般の都市住民の方がほしいと思っている繭の量とは、必ずしもイコールじゃないんです。でも、小規模な単位でのニーズにもこたえていくということは物すごく大事じゃないかと思うんです。所内でもいろいろ議論している中で「養蚕農家という考えだけではなくて、養蚕者とか養蚕家というイメージの方が、かえっていいのではないだろうか。1箱、2万頭ぐらい飼うのだったら片手間でも飼えるかも知れないし、10アールほどの桑の木があればいいということで、例えばそれよりももっと小規模だったら、もっと飼える人が増えるかも知れない。そういう人がたくさん出てきて、それでいろいろな種類の蚕を飼って生産者になる」。それで都市の人とつながっていくということです。これを、公式的に養蚕農家としてカウントするかどうかという話は別のところで議論があるかと思いますが、そういうようなことが、これからいるのかなということが、このサミットを開かせてもらっている議論の1つの出発点になっています。ですから、養蚕農家を企業的にペイするレベルに維持するための活動というのは、これはかなり難しいかも知れないということですけれども、今のようなことだったら、何とかできるかも知れません。
 事態が切迫していますので、できることからやろうという感じです。ですから、紬の里さんのお話と、表現形は違うかも知れませんけれども、思いはやはり同じところだということで、非常に心強く思っております。
 ほかに、そういう御意見をお持ちの方、いませんか。
 
松澤代表: メセナ美術館研究所の松澤でございます。これから立ち上がる、駒ヶ根のシルクミュージアムの方のお手伝いもしておりますけれども、今回このサミットに参加させてもらって非常に有意義だったと思います。私はいろいろな博物館だとか、美術館のお手伝いをさせてもらって、そことちょっと違うというように感じました。それは今回、研究者、生産者、販売者、それから消費者までの、このつながりの中でどうあるべきかということを研究していこうという、今回のサミットだと思います。
 最近、ミュージアム・マーケティングということをいわれております。研究をして、この辺はPlanだと思います。「Plan-Do-See」という言葉がありますが、その循環に沿って、先ほど結城の方からもお話がありましたけれども、どういう消費者のニーズがあって、どういう研究をするか、どういうふうにそれを生産して、製品化して売るかということになると思います。今回、多士済々の方がいらっしゃっています。ほかのミュージアムのサミットとは違うと思います。非常に幅広い方々が、ひとくくりの中でシルクをテーマとしてこれからどうあるべきかということを検討しているということに、私は気がつきました。そういうことの中では、北村さんが昨日も言っていましたけれども、一歩踏み出してやらなきゃならないという危機感の発想の中でこの会議ができたんじゃないかと思っております。
 そういうことの中で、皆さんの意見が年に1回というお話がありました。私は、北村さんのお話のように、できるところから早くやるということが必要だと思います。ただ会議が終わってまた来年ではなくて、このネットワークができたわけですから。例えば私はこれからお金の問題がかかわってくると思います。その中で、きょう出席した方々の中で、同じ問題点を持っている方も多々あったと思いますし、そういう方が少しずつ見えてきたと思います。ですから、その中で1つの例として挙げれば、各博物館での企画展をグループで企画をして、1番お金がかかるのは図録なんですけれども、図録なんかをどうするかということで、共同でやれば、1館であれば500万円かかるものが、5館であれば100万円で済むというコスト意識を、私は持つべきだと思います。
 それから、今、ミュージアムで1番問題になってきているのが、ランニングコストです。それについても、私も今、少しずつ研究しております。イニシャルコストとの問題がありますが、ランニングコストをいかに下げていくかということです。いろいろな問題を含んでいるわけですが、時間がありませんので申し上げませんが、同じ考えを持った人間同士が集まったわけですから、その中で、分科会といいますか、そんなものもぜひつくって情報交換をしながら、明日からでも私はやるべきだと思います。そんな意味で、ぜひ年に1度はお願いしたいと思います。以上でございます。
 
北村: 今、話が出ましたので、最後の方にしようと思っていた話を、ちょっと前倒しでさせていただきます。このミュージアムサミットと、その延長の話です。私の考えでは、いろいろな業種の方々のつながりの場をつくるということに主眼をおいて、例えばどなたかの博物館のご要望にもありましたけれども、大きな特別展の持ち回りを開催するというような、いってみたら博物館プロパーの問題は、この中のせっかくできたつながりの中で、今、分科会という言葉を使われましたけれども、多分博物館関係の方の、今度はまた横のつながりができて、その中でやってみたらどうというようなことが起こる。あるいは生産活動に携わっている方の中で、例えば材料のやりとりをやるようなネットワークができるとか、あるいは先ほどちょっとありましたように、天蚕は天蚕関係のネットワークができていくというような、いわば、志を同じくする人たちのネットワークというのはこの中にあって、それらが大きく広がっていくいわば「シルクウェーブ」というような輪の中で、生産者、消費者、研究者、行政とつながるような場になっていくというイメージを持っています。何もかもしょい込めばおそらく1年持たないだろうと思っているので、今のような御理解をしていただければと思うんですが、そこのところはどうでしょうか。
 
木下: 私も、けさお話ししたときに思っていたんですけれども、このアンケートに書かれているボリュームが大変たくさんありますので、今回は初めてでしたけれども、重要なこういうサミットが開催された場合に、時間をかけて、あと半日は分科会に分かれる。どなたかがコーディネーターされて、先ほどお話がありましたように、例えば博物館の運営という切り口とか、あるいは研究分野みたいな天蚕とか、今もお話にありましたように実際の生産、あるいは物産というか何か、そういった面とかを、いろいろ分科会に分かれて、このアンケートの内容を具体的なところを、本当に細かいことで聞きたいこととかがいっぱいあるわけですけれども、こういう大きい場ですと細かいところが話しにくいものですから、できるだけこういうものを開催していただく方が非常にありがたいと思っております。以上です。
 
北村: それでは、先ほど少しメーリングリストという話をしましたけれども、今回の先生方のお話とか、会議の議事録が、実はテープ起こしを明日からやろうと思っていますけれども、それらについてはホームページで載せると同時に岡谷博物館の方からも、ぜひ報告をしてほしいと言われていますので、次回の紀要の方に報告書を書かせていただこうかなと思っていますが、そういう形では残そうと思っています。
 ただ、今言われたように、ここで聞けなかった細かいいろいろな質問もあるということであれば、そういうときにはメーリングリストを活用していただいて、あそこはどうなっているというのを「silkmail@ml.affrc.go.jp」になげていただくと、登録しているすべての人のところに同じものが行きますから、それに対して返事を書けばまたその返事が自動的に全員のところに行くという形で、切手代も使わないで手間もかけないで、いろいろなところに情報交換ができます。そういう形で、いわゆる分科会活動をサポートしながら全員が今、どんな議論がなされているかの理解ができるという仕組みで、少し1年ほど転がしてみようかなと思っています。
 それで、いかがでしょうか。大体、方向そういうところでよろしいでしょうか。もし、それでよければ、次をどこでするかなんですが、昨日の話を聞いていますと、「桐生お召しの伝統を忘れている市民に、もう1度活力を与えたい」というお話がありましたので、一度桐生に乗り込んでみようかという気もしているんですけれども、いかがでしょうか。
 
森島: 私どもとしては、ぜひ第2回をおやりになるのでしたら、我が町桐生でやっていただきたいと思っておりまして、お願いをしたいわけです。やはりこういうイベントがあることによって、桐生の人たちがまた新しい視点からものの考え方をしていくんではないかと。どうしても桐生の町の中にいて、高く売れた、安かった、倒産に引っかかったとか、値引きされた、返品が多かったとか、そういうことばかりをやっている中でいますと、昨日、今日のような議論がなかなかない。
 ですから、そういうことからすれば、こういう催しを、ぜひ桐生に来ていただいて、桐生市民に多く参加していただいて、こういうことをやらせていただければありがたいです。そういうことであれば、私どもが積極的に頑張りたいと思っていますので、もし、そういうことが可能であれば、よろしくお願いいたします。
 
北村: ありがとうございます。それでは一応仮置きに、次回は群馬県の桐生でやるということにしておきまして、少しやりとりしたいと思います、よろしくお願いします。
 また、時期なんですけれども、この1月、2月、3月という時期は試験場の方は推進会議とか成績検討会とか、ほぼ連日のように会議が続くような時期でして、やりくりしてここに参加したということなんですが、そういう意味では12月とか11月あたりが比較的動きやすい時期ではあるのですが、博物館とか、皆さんの方はどの時期が不都合なんでしょうか、大体。
 
鈴木: 我々は東北の福島から来たんです。本来は車で来たかったんですが、やはり交通は冬ですので、来るときも、実は途中福島から新幹線に乗るわけで朝早く出たのが、途中で雪でスリップ事故の渋滞で、ひと汽車が遅れた状態なので、できればそういう時期を避けていただければありがたいと思います。
 
北村: 漠然と、雪のことは思っておったんですけれども、わかりました。その辺は検討させていただきます。いずれは結城にも、繭を出しておられる保原とか、霊山とか梁川とか、あちらの方一度サミットの会場としては考えてみたいなと思っています。次回は桐生であるとして、次々回あたりをその辺でできないか、少しそのあたりの御検討をよろしくお願いいたします。
 
森島: 博物館とすると、春、特別展を持つとか、秋に特別展を持つという館が多いと思うんです。そうなりますと、できればそういう月は外してほしいということで。私どもの勝手なことを言うと、4月、5月は春の特別展が入って来るし、10月を中心に特別展が入るというようなことがあるものですから、その辺を外していただければなという希望をさせていただきます。
 
木下: 春は4月、5月ですね。秋は9、10、11月くらい。12月、1月というと、お客さんも少ない時期なので融通がきくんですが。
  
北村: そうしたら、大体、今報告がありましたので、もう一度ちょっと整理しますけれども、シルクサミット2001の1つの結論としましては、今後、もう少し輪を広げたような形で、シルクウェーブという名前がいいと思っているのですが、この会を継続させていきまして、ホームページとメーリングリスト、あるいは岡谷蚕糸博物館とタイアップした、紀要での広報とかいうものを中心に活動をやっていくと。この中で、それぞれのニーズを持った小グループの中で、博物館なら博物館の分科会のようなもの、業者さんなら業者さんの分科会のようなものとか、そういうものが自然発生的にできていくことを期待していきたいということで、今後の活動を続けていくと。
 それで、次は10月から12月中ごろまでの時期ということになりますかね。群馬県の桐生で次回は開催するということです。それで、こんなテーマでやったらいいんじゃないかとか、この辺について、ぜひみんなの中で議論しておいてほしいというようなことがありましたら、事務局の方までお寄せいただければと思います。
 ちょうど予定した時刻になりましたので、これで今回のサミットを終了したいと思います。どうもありがとうございました。