カルビは韓国語由来ですが、肉にはロース、ラン、ヒレなどヨーロッパからの外来語由来の名前が付いています。とうがらし、さんかく、まくらなどその形を現している名前もあります。その辺も筋肉の名前と合わせると面白い発見があるかも知れません。
繁殖や育種技術を応用することによって、おいしい牛肉を作り出せるようになりました。しかし、農家で650Kg以上という大きさまでに育てられた牛がどの ようにして紙のように薄くスライスされた牛肉となって肉屋さんの店先に並ぶかはあまり知られていません。ここでは生きた牛が400Kg以上の重さになる枝 肉(と畜後皮や内臓、頭、蹄などを取り除いた本体)になってから、背骨の真ん中で半分にされた半丸(200kg以上の重さ)から100本の個々の筋肉と骨 になっていく過程を示してあります。実際の肉屋さんが行う方法は日本式肉分け法といい、この方法とは異なります。
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序文
牛の枝肉(半丸、 はんまるあるいは二分体)
作業のためにアキレス腱を上にして逆さにぶさ下げてあります。
とも、後四分体胸の中程で後と前に半分にします。
後部分をとも(船尾)、とっくり(ぶら下げたかたちから名前が付きました)といい、首や肩などのある前の部分をまえとよびます。
ともは約50本の筋肉に分離します。その筋肉の名前の一覧を示しました。
ともの筋肉分離(1)
外側の筋肉から分離していきます。
ともの筋肉分離(2)
大腿二頭筋は、大変大きく(成体で7~10Kg位)、腰深くあるために、分離が難しい筋肉ですが、 おいしい、高価な肉を生産する部分です。他の筋肉はっきりと区分して分離することが大切です。
ともの筋肉分離(3)
腰の外側の部分の筋肉です。
ともの筋肉分離(4)
しきんぼうは形、大きさが大砲の弾丸(四斤砲)に似ているからでしょう。
ともの筋肉分離(5)
半膜様筋は胸腰最長筋(ロース)、大腿二頭筋に次ぐ大きな筋肉です。
ともの筋肉分離(6)
立っているときに地面に近い筋肉は、はばき、脛とよばれ、筋が多く、硬く、 シチューなどに利用されます。はばき(ひ腹筋)とその中には筋ばかり目立つせんぼんがあります。
ともの筋肉分離(7)
脛はたくさんの小さい筋肉がついています。筋が多く、赤色の濃い、硬い肉です。
ともの筋肉分離(8)
背骨の内側についている筋肉がヒレ(fillet,filet)とよばれ、脂肪が少なく、軟らかい高価な肉となります。
まえ 前四分体
肩、頸、前肢、胸などがあります。カルビはここから取れます。
まえは60本以上の筋肉に分離します。筋肉の名前の一覧を示しました。
まえの筋肉分離(1)
胸の外部を覆う外側の筋肉から分離していきます。
体幹皮筋は、食肉としての価値は低いのですが、剥皮の技術や肥育度合いがよくわかる重要な筋肉です。
まえの筋肉分離(2)
前肢も多くの小さい筋肉からできています。
まえの筋肉分離(3)
肩甲骨と肋骨の間には大きな筋肉があります。肩胛骨は形状から羽子板とよばれています。
まえの筋肉分離(4)
肩甲骨と体幹部は直接骨の作る関節では結合していません。ヒトの鎖骨に相当する骨はなく、筋肉になっています。
まえの筋肉分離(5)
前肢の下方にも赤肉主体の筋が多い小筋がたくさんあります。
まえの筋肉分離(6)
頸の部分にはあまり大きな筋肉はありませんが、複雑な構造を持つ頸椎との結合が強固な赤肉が大部分です。なお頸の長いキリンもヒトも牛も頸の骨の数は7個です。
筋肉グループの整理
筋肉を分離した後は、研究のためにその解剖学的位置と機能によってグループ化します。実際の肉屋さんでは実際にはこのように個々の筋肉には分離しません。
筋肉分離
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