畜産草地研究所

機械研究グループ

主な研究成果

主な研究成果の概要

イタリアンライグラス跡地でのトウモロコシ簡易耕うん同時播種

イタリアンライグラス跡地を縦軸型ハローとケンブリッジローラ、真空播種機を組み合わせた作業機で簡易に耕うんしながらトウモロコシを播種する技術を開発しました。作業能率が大幅に向上し、堆肥等をすき込むことができ、慣行法と同等の収量が得られます。

縦軸型ハローとケンブリッジローラ及び真空播種機を組み合わせた簡易耕うん同時播種用の作業機

完熟期収穫の飼料用米サイレージ調製方法

飼料用米をサイレージとして貯蔵するための調製方法を開発しました。破砕処理、乳酸菌添加、水分含量27.5%以上の3つを組み合わせることで、長期間安定した良質なサイレージに調製できまることを明らかにしました。従来の乾燥調製と比較して、サイレージ貯蔵はコストを約34%削減することができます。

完熟期収穫の飼料用米サイレージ調製方法

吊り上げ式の簡易ロールベール荷役具

フォークリフト等により簡易にロールベールを吊り上げられる荷役具です。荷役中のロールベールに生ずる変形は極めて少なく、サイレージ品質劣化リスクの低減およびロールベールの流通合理化が図られます。

簡易ロールベール荷役具をフォークリフトに掛けてつり上げている写真

フィールド端末機を用いた稲発酵粗飼料(イネWCS)の生産履歴管理システム

イネWCS等を国産流通粗飼料として位置付け、その広域的な流通システムの構築に向けた技術開発を進めています。特にイネWCSの生産過程において、収穫調製時に得られる情報をタブレット型PCやバーコードリーダを用いて、圃場やストックヤードで簡易に収集してロールベールに商品ラベルを貼付するとともに、各情報をにデータベースによって管理するための生産履歴管理システムを開発しました。

イネWCSの生産履歴管理システム

吸引通気式堆肥化システム

堆肥の発酵過程で悪臭として多量に放出していたアンモニアを液肥として効率的に回収できる吸引通気式堆肥化処理システムを開発しました。さらに、アンモニアだけでなく、堆肥化に伴う発酵熱も回収して、40°Cほどのお湯を1日に10トン以上作れる(乳牛100頭規模の場合)システムも開発しました。そこで現在は、秋から春にかけての寒い時期に牛の飲み水としてお湯を給与する技術開発を進めています。吸引通気式堆肥化システム

家畜ふん堆肥のセメント製造時の燃料利用

セメント製造時には石炭など化石エネルギーが熱源として多量に使われますが、これら化石エネルギーを豚ふん堆肥で代替する方法を住友大阪セメント株式会社と共同で開発しました。家畜の飼養密度が高くなって家畜ふん尿の処理・利用が脆弱な地域では、とても期待される技術です。

セメント製造における材料の流れと石炭の一部を代替する豚ふん堆肥

 

主な論文

タイトル著者掲載誌紹介
家畜排せつ物の圃場還元の基本工程と課題 住田 憲俊 日本草地学会誌,(2006)52(1),59-65 家畜排せつ物を肥料として利用する場合の手法の紹介と、当方で開発したスラリー状態のふん尿を臭気の発生を抑えつつ土壌の浅い層へ注入するインジェクタの作業データや臭気抑制効果等を解説した。
ハーフサイズ角形ベール二段積み機構による牧草の調製作業能率の向上 住田 憲俊 他 農作業研究,(2007)42(2),85-89 ハーフサイズ角形ベールをラッピングする際に二段に積載できる機構を開発した。この機構を用いることで、100馬力程度のトラクタでもフルサイズの角形ベールラップサイロを作製するとことができ、作業の能率が向上する。
穀類等高栄養自給飼料生産の展開と展望 浦川 修司 日本草地学会誌,(2010)55(4),360-364 穀類を始めとする輸入飼料の高騰に対応するため、飼料イネ・飼料ムギ、飼料用米、トウモロコシについて、これまでの政策と連携した技術開発や普及の経緯を解説するとともに、国産穀類の生産拡大に向けた飼料用米等についての課題と今後の展望について解説した。
ロールベール向け簡易荷役具の試作 松尾 守展 他 日本草地学会誌,(2010)56(1),56-59 ロールベールの流通における作業性改善のため、フォークリフト等によりロールベールを吊上げるための荷役具を試作した。試作した荷役具は簡易な構造で、既往のベールハンドラを使うことなくロールベールを荷役できる。
吸引通気式堆肥化処理技術の開発(第3報) 阿部 佳之 他 農業施設,(2008)38(4),13-26 今までの堆肥化処理では、堆肥の底部に送風機で空気を吹き込んで堆肥の腐熟を促すために、堆肥の表面から悪臭の原因でもあるアンモニアが多量に揮散する問題が残されていた。そこで、堆肥の底部を吸引して堆肥の表面から底部にかけて空気を供給する吸引通気式堆肥化システムを開発し、堆肥化過程でのアンモニア揮散が大きく低減された。さらには、これらのアンモニアはリン安溶液など液肥として有効に回収できることを確認した。
吸引通気式堆肥化処理による発酵熱の回収と利用 -異なる副資材の混合が熱の回収量および利用量に与える影響- 小島 陽一郎 他 農業施設,(2011) 42(2),5-12 乳牛ふんに混合する副資材の種類が吸引通気式堆肥化過程における発酵熱の発生と回収に及ぼす影響を調査し、発酵熱利用の可能性を検討した。乾燥ふん、オガクズ、モミガラ、戻し堆肥といった一般的な副資材に加えて廃農業用ロックウールおよび廃菌床を副資材として用いて堆肥化を行ったところ、堆肥化過程で229~601MJ/m3の熱が回収できた。そのうち利用可能なエネルギ(エクセルギ)は90~162MJ/m3であった。
発酵乾燥させたキノコ廃菌床の乳牛ふん堆肥化における副資材利用 小島 陽一郎 他 農業施設,(2011) 42(3), 119-125 林産廃棄物である廃菌床の利用性の向上を図るため、堆肥化により廃菌床を発酵乾燥させ、乳牛ふん堆肥化における副資材としての有効性を検討した。廃菌床は好気的環境下では廃菌床だけでも発酵乾燥が進み、火力乾燥で乾燥させる場合に比べエネルギ消費は5分の1程度に留まることが明らかになった。さらに、発酵乾燥させた廃菌床は、副資材としての効果も高く、作物への生育阻害の程度も小さかった。
水田から生産される飼料作物の広域流通の実態と展望 浦川修司 日本草地学会誌,(2012)58(1),48-52 水田を高度に活用したイネWCSやオオムギWCSの生産と利用拡大を図るため、これらを国産流通粗飼料として位置付け、ロールベールサイレージとして地域や県域を超えた広域的な流通を促進するための課題を整理し、今後の展望について解説した。
完熟期収穫の飼料用米の調製処理がサイレージ発酵特性におよぼす影響 井上秀彦他 日本草地学会誌,(2012) 58(3),153-165 飼料用米サイレージの調製方法の違いが発酵品質に及ぼす影響を検討した。飼料用籾米及び玄米を完熟期収穫後、適正な処理を行うことで良質なサイレージに調製することが出来た。籾米、玄米共に破砕、水分調整、乳酸菌添加を行うことで120日間の貯蔵が可能であった。
Effects of moisture control, addition of glucose, inoculation of lactic acid bacteria and crushing process on the fermentation quality of rice grain silage 井上秀彦他 Grassland Science, (2013), 掲載予定 飼料用米サイレージに最適な水分調整量および調製方法を検討した。飼料用籾米及び玄米を完熟期収穫後、破砕処理、水分含量27.5%以上に加水、乳酸菌添加を行うことで乳酸発酵が進みpH4以下で安定してサイレージ貯蔵できることを確認した。

 

その他の研究成果

研究センター