農村工学研究所

農村工学研究所メールマガジン

メールマガジン第20号(2011年11月号)

東日本大震災の復旧・復興支援状況については、ホームページに開設した特設サイトでお知らせしています。

目次

1)トピックス

■筒井農林水産副大臣らが農工研をご視察

11月14日に、筒井副大臣、郡司参議院議員、石田衆議院議員、高邑衆議院議員、山岡衆議院議員が来所され、当所で進めている農地土壌除染対策技術の取り組みをご視察されました。

開発された技術は福島県の被災地で実証されており、その仕組みと効果についてご説明しました。当日は寒風が吹く屋外でのご視察でしたが、各議員からは技術的な工夫などについて多くの質問が寄せられました。

企画管理部 情報広報課長 西田信博

(関連資料)

2)イベントのご案内

■アグリビジネス創出フェアに出展

  • 11月30日~12月2日
  • 千葉県幕張メッセ6ホール
  • 出展:農業用水路で使用できる水力発電の実物模型
    (資源循環工学研究領域エネルギーシステム担当)
  • (全体プログラム)http://agribiz-fair.jp/

■「東日本大震災の復旧・復興支援のための技術講習会・技術相談会」の開催

■「大震災からの農業・農村の復興に関する技術シンポジウム」の開催

3)技術なんでも相談

■水田が持つ洪水時の貯留効果について教えて下さい

北海道農政部 農村振興局 農村整備課

●お答えします。

資源循環工学研究領域 水資源工学担当 上席研究員 増本隆夫

水田や広く水田地帯が持つ洪水防止機能は、流出場としての洪水貯留機能と、非常洪水時の氾濫水の貯留機能の2つに分けて考えると良いでしょう。(続く)

(回答全文)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm20_03-01.pdf

4)水土里のささやき

■復興の歩みと土地改良区 ‐宮城県亘理・山元地区‐

亘理土地改良区 三品理事長、菊地事務局長

東日本大震災によって発生した巨大津波は、海岸堤防や防潮水門を乗り越えて沿岸部の集落や田畑を飲み込み、海岸から約4km内陸にある亘理土地改良区庁舎にまで到達した。津波の被害を受けた水田は管内3,533haの71.6%、2,531haにも及び、沿岸部11箇所の排水機場のすべてが被災し機能を停止した。地震直後に津波に備えて防潮樋門を閉鎖した改良区職員は、津波の到達前に避難して危うく難を逃れた。(続く)

(聞き手)農地基盤工学研究領域
用水管理担当主任研究員 友正達美

(全文)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm20_04-01.pdf

5)最新の「農工研ニュース」より

■転作田における用水需要量の計測 ‐地下水位制御システム‐

日本では大豆の約8割が転作田で栽培されています。タンパク質を多く含む大豆は窒素要求量が多く、窒素固定量の約7割を根粒菌の働きに頼っています。根粒菌は好気性菌なので湿った環境が苦手です。そのため、ほ場には額縁排水溝や明渠を掘って排水を良くし、湿害が発生しないように細心の注意を払います。(説明資料参照)

ただし、大豆は開花期(7月‐8月)に入ると、水分と養分の吸収が旺盛となるため、晴天が続き土が乾くと大豆の生育に大きなダメージを与えます。そのような時は畝間かん水を行いますが、水が行き届いたら速やかに排水します。

転作田は水はけが悪い場合が多いので、適切な排水とかん水を自在に操作できる地下水位制御システムが大きな効果を発揮します。本システムを適切に普及するため、転作田の用水需要量を観測しており、土壌条件などの違いが及ぼす影響を評価しています。

農地基盤工学研究領域
水田高度利用担当主任研究員 若杉晃介

<用語解説>
転作田とは、大豆や麦などの畑のものをつくっている水田(田んぼ)

  • (関連資料)

6)農村工学研究所の動き

■農村振興局幹部との意見交換会 ‐行政と研究のマッチング‐

11月15日に、農林水産省(霞ヶ関)において、農林水産省農村振興局と農工研の幹部による意見交換会が開催されました。本会議は、行政施策が求める技術と研究開発の方向が整合するように、双方の取り組みを確認し、忌憚のない意見を交換する場となっています。

企画管理部 業務推進室企画チーム長 吉永育生

(会議の模様)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm20_06-01.pdf

■第21回 ICID総会への参加 ‐イラン・テヘラン‐

10月15日~23日に、イランの首都テヘランにおいて、第21回ICID総会等が開催されました。農工研からは私を含む3名の研究者が参加し、それぞれ研究成果を発表しました。

会議では、水および土壌の生産性や、天水農業における水管理に関するいくつかのセッションが設けられ、各テーマについて、世界各国の研究者による多様な研究成果が報告されました。また、会議の合間のコーヒーブレイクも、参加者にとっては貴重な議論の場となっていました。

私にとっては初の国際会議への参加であり、自分の研究発表や、他国の専門家との交流のすべてが刺激となり、非常に良い経験となりました。詳細は説明資料をご覧下さい。

資源循環工学研究領域 水資源工学担当研究員 皆川裕樹

(関連URL)

■下水処理水を安全に灌漑利用するために ‐国際規格化の動き‐

10月24日・25日に、パリで国際標準化機構(ISO)第3回「下水処理水の灌漑利用に関する規格化プロジェクト委員会(PC253)」が開催されました。5月に開催された第2回会議に引き続き、農水省の依頼を受け、農業用水の水質保全の専門家として日本代表団に加わりました。

会議では主にガイドラインの目的の更なる明確化と記述の正確性を高めるための議論がなされ、日本からもさまざまな提案を行いました。また、2013年に予定しているガイドラインの完成に向けて、編集作業に特化した新しい作業部会が設立されることが決まりました。

これまでの議論内容が反映された新しいガイドライン案が2012年6月までに示される予定です。次回の第4回会議は2012年夏にメキシコで開催される予定です。

水利工学研究領域 水環境担当主任研究員 浜田康治

(関連URL)

7)ズームイン

■環境配慮応用研修の紹介

9月28日~10月7日の日程で標記の研修を開催し、国の職員4名と県の職員3名が受講しました。この研修で行った2つの屋外実習の模様をご紹介します。

“農村環境配慮総合演習”では、環境配慮型の施工が行われた現場で担当者等から話を聞き、歩き、見て、感じ取った体験をもとに、現地での課題をとりまとめ発表しました。また、“生態系調査実習”では、畑及び水田地域における生態系調査や分析の手法を習得するため、鳥類調査、草本類調査、水生生物調査を行いました。

このように、環境配慮応用研修は、座学だけでなく、実践的な実習を組み込み、質の高い教科を用意しています。詳細はお問い合わせ下さい。

技術移転センター 技術研修課 教務指導チーム長 大勝学

(関連資料)

8)農村の草花

■アメリカからやってきた要注意な植物メリケンカルカヤ

近年、道ばたや空き地に、白い綿毛をつけ、そよそよと晩秋の冷たい風になびく紅葉したイネ科の草をみかけることが多くなりました。なんだか優しげにも見える草ですが、実は侵略的な外来植物であることを知っていますか。

農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm20_08-01.pdf

<お詫びと訂正>

先月号(10月号)にとりあげた「ガマ」の「一言うんちく」の中で、「ワニに赤むけにされた因幡の白兎が、通りがかった大黒様に教えられて・・・」と紹介しましたが、兎に教えたのは「大黒様」ではなく、「大国主(おおくにぬし)」の間違いでした。大黒天はもともとヒンドゥー教の神でしたが、日本に伝わったあと、「だいこく」が大国にも通じるため、大国主と混同され、七福神の大黒様(姿は大国主なのに大黒と表記される)のように各方面で誤用されました。
今回も、うっかり大国主を大黒と間違えてしまったようです。お詫び申し上げますとともに、「大国主」に訂正をお願いいたします。
なお、ご指摘をいただきましたKさん、いつもご愛読ありがとうございます。これからも身近に見られる草花を紹介していきたく存じますので、今後ともよろしくお願いいたします。

9)研究者の横顔

■栗田英治(くりたひではる)

今回紹介するのは、資源情報担当の栗田英治さんです。実はお酒が好きだそうで、いつも冷静な栗田さんが酔ったらどう変わるのか・・・非常に気になります。研究では農地などの地域資源、農村景観等をターゲットとし、GISやリモートセンシング技術を使いこなして日々研究に取り組んでおられます。(他己紹介:皆川裕樹)

(自己紹介)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm20_09-01.pdf

【編集発行】

〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
企画管理部 情報広報課 Tel:029-838-8169

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