農村工学研究所

農村工学研究所メールマガジン

メールマガジン第19号(2011年10月号)

東日本大震災の復旧・復興支援状況については、ホームページに開設した特設サイトでお知らせしています。

  目次

1)トピックス

■若手職員による研究行政交流会を開催 -霞ヶ関にて-

10月11日と18日の2回に分けて、農水省内の会議室で行われました。農工研の若手の研究者が発意し、農村振興局の係長会が賛同するかたちで、この企画がはじめて実現しました。

業務に支障を与えないように、18時30分に開始され、研究者が自らの研究成果を発表し、質疑を通じて意見交換を行いました。出席者の多くが、定期的な交流の機会が少ないことを憂いていました。今後、若い力が相互に交流を深めていくことで、研究・行政いずれにとっても大きなメリットが生まれると考えています。

企画管理部 業務推進室 企画チーム長 吉永育生

(関連資料)

2)イベントのご案内

■「東日本大震災の復旧・復興支援のための技術講習会・技術相談会」の開催

■「大震災からの農業・農村の復興に関する技術シンポジウム」の開催

3)技術なんでも相談

■地球温暖化とCO2と農業の関係について教えてください。

北海道農政部 農村振興局 農村整備課
防災災害グループ 清水將夫 様

●お答えします。

資源循環工学研究領域 資源循環システム担当
上席研究員 柚山義人

地球温暖化とCO2濃度の関係は、IPCCの報告により確実性の高い科学的根拠をもつと認識されています。一部にCO2主因説に根拠はないという主張も出ていますが、次世代にとりかえしのつかない大きなつけをまわさないために、温室効果ガス排出量の削減対策を講じておくことは不可欠と考えています。(続く)

(回答全文)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm19_03-01.pdf

4)水土里のささやき

■復興への強い思い -岩手県営ほ場整備事業小友地区-

気仙川土地改良区 熊谷研理事長、和泉事務局長

3.11に発生した大津波は、南側に開いた広田湾から侵入し、陸前高田市の市街地から、その東側に位置する小友地区を同時に襲った。当地区の西側から遡上した津波は、堤防を乗り越え地区内の農地や住宅等を跡形もなく飲み込んだ。そして、写真に示すように、地区内の一段高いアップルロードからの景色は一面のがれきで埋め尽くされ、農地の片鱗も見ることができない惨状だった。(続く)

(聞き手:施設工学研究領域長 毛利栄征、平成23年10月12日)

(記事全文と写真)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm19_04-01.pdf

5)農村工学研究所の動き

■日韓共同シンポジウムの開催 -韓国安山市にて-

当所と韓国農業公社農漁村研究院との間には、日韓共同研究協定書(平成15年~)が結ばれています。これに基づき、相互に関連の深い話題を毎年度取り上げ、研究情報を交換しています。

今年度は10月4~5日に韓国において、「気候変動と災害への適応策」というテーマでシンポジウムが開催され、当所から6名の研究者が参画しました。韓国側では水路、排水、ダム水理等の設計基準が見直されており、これらに関連する質問や意見が寄せられました。

韓国側から、来年度は災害関連のテーマでシンポジウムを開催してはどうかという提案がありました。農業農村環境の健全な成長は日韓両国の重要な政策課題です。両国の国内事情や問題意識には共通点が多く、双方の研究者がそれぞれの強みを活かしながら効率的に研究を進めています。

農地基盤工学研究領域 用水管理担当研究員 坂田賢

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm19_05-01.pdf

6)研究ウォッチ

■パイプの振動模型実験 -パイプラインの耐震性評価-

平成23年3月11日の東日本大震災では地盤の液状化等が起こり、農業用パイプラインも被災しました。構造物の耐震性の評価方法は、平成7年(1995年)兵庫県南部地震を境にして見直されてきています。
当所の三次元振動実験棟は、この震災を契機に建設され、その施設を利用して開発されたパイプラインの浅埋設工法は、液状化に強く、工事費縮減に貢献できることから、各地で採用されています。

今回ご紹介する振動模型実験では、地震が発生したときのパイプの変形状態や埋戻し材料の挙動などを計測しました。このデータを様々な角度から分析して、地震が起きたときのパイプの動きを把握し、高い耐震性を有する工法の開発へと繋げていきます。当所では、これまでにも、可とう性継手による曲げ配管工法や圧力曲管軽量スラスト防護工法など高耐震性を有する工法を開発しています。

7月~9月の実験は、電力使用制限下で行いました。使用電力の大きな振動台を動かすと、所内停電の発生が心配されたので、所の節電実行計画に基づいて日時を調整しました。

施設工学研究領域 土質担当研究員 有吉充

(関連資料)

7)こんにちは農業農村

■中国甘粛省Zhangye市における水資源管理

10月9日~15日に、中国甘粛省Zhangye市における水資源管理について調査してきました。河川と地下水を利用した農業が行われている地域ですが、年間降水量が100~300mm程度という乾燥地であり、節水対策が重要な課題となっています。節水のための技術や制度の導入が進められており、その1つとして水利権取引が導入されていることでも知られています。

農村基盤研究領域 事業評価担当主任研究員 合崎英男

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm19_07-01.pdf

8)農村の草花

■皮をむかれた因幡の白兎を癒した -ガマ-

野辺の草木も紅葉し、葉を落とす頃となると、水辺ではガマの穂がほぐれ、風に乗る綿毛が見られるようになります。赤むけにされたウサギを癒したのはガマの穂綿とされていますが、実は誤解されていることを知っていますか。

農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm19_08-01.pdf

9)研究者の横顔

■皆川裕樹(みなかわひろき)

今回紹介するのは、人なつっこい笑顔が特徴の皆川裕樹さんです。持ち前の運動神経と凝り性を発揮し、野球、つり、料理など幅広く活躍中。排水解析を得意にしており、特に気候変動に伴う水田地帯の氾濫危険度の変化を評価する手法を精力的に研究・開発中です。

(他己紹介:吉田武郎)

(自己紹介)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm19_09-01.pdf

10)編集後記

東日本大震災から7ヶ月が過ぎ、被災地の復興が続いています。農村工学研究所では、震災直後から様々な活動を行い、その様子をメルマガでもお知らせして参りました。12月には技術講習会と技術シンポジウムを開催する予定です。皆様のご参加をお待ちいたしております。

今回から編集を担当いたします。不慣れなところもあるかと存じますが、今後とも農工研メルマガをよろしくお願いいたします。農工研メルマガ会員皆様の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

農工研メルマガ編集事務局
情報広報課長 西田信博


【編集発行】

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(独)農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
企画管理部情報広報課 Tel:029-838-8169

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