農村工学研究所

農村工学研究所メールマガジン

メールマガジン第10号(2011年1月号)

目次

1)トピックス

■農業技術クラブの農工研取材記事

前回のメルマガトピックスでお知らせしたとおり、先月12月17日に、農林水産省の農業技術クラブが来所し、新春企画の取材を受けました。

その際に紹介した研究成果「ため池低コスト改修工法」が、日本農業新聞(平成23年1月4日)、農業共済新聞(平成23年1月12日)に掲載されました。
当該記事の転載について両社の許諾を受けましたのでご覧下さい。

企画管理部 情報広報課長 古澤祐児

2)イベントのご案内

■農村工学研究所研究会の開催(第2報)

3月9日~10日に、つくば農林ホールにおいて、この5年間(平成18~22年度)を総括する標記研究会を開催致します。東京大学の田中忠次名誉教授による基調講演と、「ストックマネジメント」、「防災」、「地域資源の保全」という3つの分野で研究発表を行います。農業農村整備に携わる技術者をはじめ、多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

申し込み先:nkk-kikaku◎naro.affrc.go.jp(企画管理部 業務推進室)
※メールを送信する際は「◎」を「@」にしてください

3)技術なんでも相談

■植え石(粗石)付き魚道の設計方法を教えて下さい

○県匿名希望

現場条件から、急勾配のリープフロッグ式魚道を採用しようと考えています。その際に、足立の式を用いて水理計算しても問題ないでしょうか。また、その際の留意点は何でしょうか。

<一口メモ:リープフロッグ(leap frog)とは>

  • 直訳で「かえる跳び」。植え石の背後のよどみを利用しながら魚が遡上する様子をかえる跳びになぞらえた呼び名と考えられる。
  • プロレスでは、ロープの反動を利用して走り迫る相手を開脚ジャンプでかわす技(ただし、跳躍力のない男性は危険)。

【お答えします】

施設資源部 水源施設水理研究室 主任研究員 浪平篤
技術移転センター 専門員 加藤敬

植え石付き魚道の設計を、水理模型実験によらず、机上設計で行う際に、足立の式から得られた水理計算値が参考にされています。この式は、イボ粗度高さに比べて水深が十分大きな流れを対象にしているため、貴現場への適用は難しいと考えられます。

足立の式の適用性などについて、関連資料に考え方を述べましたので参考にして下さい。また、農工研では、1/5という急勾配の階段式(プールタイプ)魚道でウグイの遡上実験を行い、その効果を確認しましたので、関心があればお問い合わせ下さい。

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm10_03-01.pdf

4)最新の「農工研ニュース」より

■地下水トレーサーを用いた亀裂性岩盤調査手法

地下水は、一般的には地形と地質に支配されて流動していますが、地面の下の地下水の流れは目に見えず、また測定の困難さから、その流れを知るため、物理探査や数値解析など様々な手法が適用されています。

地下水の流れを直接的に知る方法の一つに、同位体や色素などのトレーサーを用いる手法があります。調査目的に応じてトレーサーの種類を使い分け、また組み合わせて、トレーサーの濃度や流出時間の変化を計測することで、地下水の流動経路等が推定でき、岩盤の亀裂構造等の様々な事象を解き明かすことができます。

今回の農工研ニュースでは、2種類のトレーサーを使用し、地すべり対策として地下水排除工の効果的な設計や施工に役立たせる事例を紹介しました。この調査手法については、後掲の研究ウォッチ「地下水流動調査手法」の記事を併せてご覧下さい。

農村総合研究部
地球温暖化対策研究チーム主任研究員土原健雄

(関連URL)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm10_04-01.pdf

5)農村工学研究所の動き

■農村振興局幹部の研究施設見学会

1月19日に、農水省農村振興局の設計課、水資源課、防災課の幹部ら13名が当所を訪れ、所内の研究施設と大型の設備や各種の機器装置を駆使した農村工学研究の最前線を見学しました。

農業農村整備事業が、施設の長寿命化対策、食料自給率と生産性の向上に直結する整備などに重点化を図ろうとしている中で、ストックマネジメントや防災などの施策を推進するためには、それを裏打ちする技術や科学的データが必要であり、今後とも先進的な研究は重要との認識を深めていただきました。

企画管理部 業務推進室長 小川茂男

(施設見学の模様)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm10_05-01.pdf

6)研究ウォッチ

■地下水流動調査手法

地下水追跡の目的は、地下水がどこから、どのような経路で流れているかを突き止めることにあります。ただし、地下水の流れは、涵養-流動-流出といった空間的・時間的広がりのもとに捉えられるべきであり、その流れは場所や深度によって異なります。

そのような地下水の流れの可視化には、環境中に存在する物質を指標とした環境トレーサーの利用が有効です。環境トレーサーを用いる利点は、(1)元来地下水中に存在する物質を用いるため、新たに投入する必要がないこと、(2)環境に負荷をかけないこと、などが挙げられます。

地下水中に存在するラドン-222、トリチウムなどの放射性同位体は、時間とともに放射線を発しながら崩壊していくという特性を持っており、環境トレーサーとして有用です。ラドン-222は半減期が3.8日と短いので、流れが速く滞留時間の短い地下水の解析に向いており、トリチウムは半減期が約12年と長く、滞留時間の長い地下水の解析に向いています。具体的な利用方法を以下の資料でご紹介します。

農村総合研究部
地球温暖化対策研究チーム 主任研究員 土原健雄

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm10_06-01.pdf


【編集発行】

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