農村工学研究所

農村工学研究所メールマガジン

メールマガジン準備号第2弾(2010年2月号)

目次

1)トピックス

◇農工研の成果を用いて、バングラデシュで国際貢献!-災害に強い持続的な農村インフラ整備に向けた取組み-

バングラデシュでは地球温暖化による海面上昇・洪水によって農村集落が壊滅的な被害を受けており、災害に強い農村インフラの整備が極めて重要な課題となっています。

そのため、バングラデシュ政府の要請により、JICAを通じて波浪侵食対策として農村工学研究所が開発した土嚢工法(テールとウィングを付帯した特殊形状の大型土嚢を斜面に傾斜積層して堤体を補強する工法)を現場適用し、災害に強い農村インフラ整備に向けた取組みを行いました。本技術は農村道路だけでなく、ため池、水門、用水路などの農村インフラへの適用、地域防災力を高めるための施設(輪中堤)の創出など、幅広い用途への活用が今後期待されています。

※詳細は、以下のURLをご覧下さい。 http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_220224.pdf

◇必見!!農業や農村の活性化のための「産学官連携ポータルサイト」-災害に強い持続的な農村インフラ整備に向けた取組み-

農工研のHPには「産学官連携ポータルサイト」が開設されています。このポータルサイトは、農工研の他、大学、民間企業、関係独法、関係学会などで取り組まれている農業や農村の活性化に関する技術開発・人材育成の情報交換の場になるよう運営しています。関連情報の提供は大歓迎です。

※詳細は、以下のURLをご覧下さい。 http://naro.affrc.go.jp/nkk/sangakukan/index.html

2)農村工学研究所の動き

◆『平成21年度農村工学研究所研究会』を開催します

農村工学研究所では、研究成果や関連トピックスを広く外部に向けて発信・討議する研究会を毎年開催しております。

研究者はもとより、農業農村整備にたずさわる技術者の方、そして大学教員や学生の皆様など、たくさんの方々の積極的な参加をお願いします。

期日:平成22年3月10日(水曜日)~11日(木曜日)
場所:農林水産技術会議事務局筑波事務所共同利用施設
★参加費無料★

☆まだ、席に余裕がありますので、ぜひお早めにお申し込み下さい☆

◆第4回日韓農業農村振興実務者ワークショップご一行が、山田バイオマスプラントを訪問

2月4日に、韓国農林水産食品部、韓国農村公社、農林水産省農村振興局のご一行16名が、山田バイオマスプラントをご訪問されました。

様々なバイオマス変換を組みあわせた山田バイオマスプラントは、バイオマスの生きた学びの博物館と認識いただき、メタン発酵消化液の農業利用などバイオマス利活用の全プロセスの実証している現場で活発な討議が行われました。

※農工研は、千葉県香取市の山田バイオマスプラントにおいて、バイオマス多段階利用システムの構築及び実証を行っています。

なお、当該プラントには、これまでに40カ国から約8,200名の視察・見学者が来訪されています。

農村総合研究部 資源循環システム研究チ-ム長 柚山義人

 

3)新しい技術や研究成果の紹介

●参加者の植物知識に応じた住民参加型「田んぼの草花調査」の設計法の開発-「田んぼの草花調査」から拡がる世界-

農村内に見られる「草花」は、農村の生きものたちを支える重要な一員であり、その名前や分布を知ることにより、地域の生態系の理解を深めたり、悪影響を及ぼす外来植物の動向などを知ることができます。

そこで、農家と市民が協働して行う「田んぼの生きもの調査」の一環として、 「農地・水・環境保全向上対策」などでの啓発的な活動を想定し,ガイドブックを利用して、たとえ植物知識の少ない初級者でも参加できるような「田んぼの草花調査」の設計法を開発しました。

農村環境部環境評価研究室主任研究員嶺田拓也

http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_seika2.pdf

 

4)最新の「農工研ニュース」より

●水路中の落差構造物で発生する騒音の低減装置

農村地域の都市化、混住化の進展に伴い、農業用水路の周辺に居住する人々が増えています。このような人々にとって、水路の流水音、特に落差構造物において生じる落下水音は騒音と認識され、それが環境問題に発展することがあります。

その対策として、水路に蓋を設置することも多いのですが、これが新たな音の発生源となる場合もあります。そこで、低落差の落差構造物を対象に、低コストで騒音低減効果の高い装置を開発しました。

施設資源部 水源施設水理研究室長 高木強治

http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_news65-2.pdf

 

5)メッセージ

◇『農工研メルマガ編集委員長』農村環境部長今泉眞之

農工研では,2010年4月から「農村工学研究所メールマガジン」(以下,メルマガ)を毎月,配信する計画で作業を進めています。2010年1月末には,これまで配信登録者(以下,読者)して頂いた方に向けて,準備号第1弾を配信しました。今回は準備号第2弾です。

これまで農工研では,所の広報として「所ニュース」を隔月に発刊し,限られた行政機関の方にのみ配布していました。私たちは,読者参加型の情報発信メディアであるメルマガは,より広い範囲の読者を開拓できるのみならず,読者からの要望・意見等を直接聞ける有効な手法になると考えています。

準備号第1弾を配信後,早速,何人かの読者から,感想,意見などを頂き,メルマガの威力を垣間見ることができました。準備号第2弾では,これらの意見を参考にし,見出し等を改善しています。

昨年,「政権交代」を謳い歴史的勝利を収めた民主党政権がスタートしました。12月25日に発表された予算概算決定では,戸別所得補償制度関連予算(5618億円)は,要求通り満額が確保されましたが,農業農村整備費は2129億円で,対前年度比36.9%に削減されました。これは,予算額がピークであった平成9年度の17.3%です。この予算編成を,政権は,「農政の大転換」としています。

1999年に制定された食料・農業・農村基本法に基づき,2000年には食料自給率45%を目標とする基本計画が策定されました。しかし,08年度実績は41%にとどまっており,生産力は強まるどころか弱くなっています。さらに,農水省が,2000年と05年の統計データを比較し,その傾向を基に,今から10年後の農業生産力をはじき出した結果は,農業生産力は現状より25%も低下するという衝撃的なものでした。農業水路は,基幹水利資産だけでも25~30兆円もの価値があり,この更新投資だけでも相当の予算が必要です。そのため,農業農村整備費の削減は,農業基盤整備に少なからず影響し,農業生産力の減少を更に押し下げることが予想されます。このような生産力減退の流れを断ち切り,目標を達成するには,農業者戸別所得補償制度の実施による農業経営の安定化や,農山漁村の6次産業化を確実に進めるほか,限られた予算で,効率的に農業基盤を維持更新する技術開発が必要です。

メルマガ準備号第1弾を読んだ読者からは,
○土地改良事業予算の大幅削減が,農業農村に及ぼす影響の論点整理
○土地改良事業予算の大幅削減が,農業農村が有する多面的機能の発現に及ぼす 影響
などの研究が必要ではとの意見が寄せられました。これまで,農工研では、農林水産大臣から与えられた中期目標の命題に取り組む中で、農業施策の方向,学会活動での情報収集,行政の主催する会議や,調査でたまたま伺った農家の意見等を参考に課題を立てていましたが,今後は,メルマガの意見等も参考にして,研究を進めていこうと考えています。

メルマガの読者層を,これまでの行政技術者を中心とした読者層から,さらに広げるためには,我々は広報活動を強化していきますが,皆様の口コミによる広がりも期待しています。今後も,農工研とメルマガをよろしくお願いします。

6)水土里のささやき

記念すべき第1号の投稿がありましたので、今回はそれをご紹介します。

◆和歌山県農業農村整備課山尾あゆみ様から、農村工学研究所に期待する研究として要望が届きました。

【要望】環境配慮資材の有効性に関する研究について

近年、魚巣・ホタルブロック、這い上がり型スロープなど環境配慮型の2次コンクリート製品が増えてきています。しかし、これらの実用性については?な部分がまだまだ多いのが現状だと思います。たとえば、水路にスロープを設置したとして、小動物がこれを使うのか、あるいは使うように誘導するにはどういう向き、頻度でするのが有効か、といった検証、情報が不足しているように思います。実際現場では、たとえば水面から2mも上に至るまでホタルブロックが使われていたり、費用対効果がうまく発揮されていない事例も見受けられます。また、こうした製品を設置しさえすれば、土地改良法に定める環境配慮の項目をクリアできる、といった抜け道にさえなりがちではないでしょうか。

より良い環境配慮を推進していくためには、検証、現場へのフィードバック、改良の循環が大事であり、その検証の部分を農工研で担っていただければなぁ、と思います。以上のような研究成果を期待しています。

【農工研からの回答】

貴重なご意見と、農工研への期待ありがとうございます。

これまで行われている農業農村整備事業の生態系配慮対策を整理すると、配慮しようとする種を特定しないで事業を実施していたり
(http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_27.pdf)
ご指摘のような事例があることはよく承知しております。このような農業農村整備事業や生態系配慮対策の課題の一部については、添付ファイル1にある『森淳(2007):水田生態系の変質と保全のための研究・技術開発、水環境学会誌、Vol.30、No.10(2007)556-560. 』で整理しています。
添付1:http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_tenpu1.pdf

現場で苦労している理由には、河川-水路-水田を対象とする生態学的研究が少なくいことも原因の一つであると思われます。そのため、農工研では、DNA解析や窒素・炭素安定同位体比などの理工学で利用されている指標を利用した基礎的な研究をすすめたり(添付ファイル2参照)
添付2:http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_tenpu2.pdf
カエルの運動能力と脱出工の効果の解明などの応用的研究を進めたりして、できるだけ定量的な効果を把握したうえで、農業農村整備事業の計画設計に反映させる技術開発を進めています。

なお、カエルの運動能力と脱出工の効果の解明の成果の一つは、『渡部ほか(2009):農業水路に転落したカエル類の脱出対策に関する基礎的実験―トウキョウダルマガエルが脱出しやすいスロープの傾斜角及び水路の水理条件―、農業農村工学会論文集、263、15-21(添付ファイル3参照)で発表しています。
添付3:http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mmj2_tenpu3.pdf

農工研では、「検証、現場へのフィードバック、改良の循環」を大切にした研究を進め、得られた成果を迅速に現場に普及していく所存です。

3月10日~11日に開催する農村工学研究所研究会において、ご意見のあった内容についてコメント発表することにしていますので、是非御参加いただければ幸いです。今後も、農工研とメールマガジンをよろしくお願いします。

【農工研からの回答への、山尾様からのコメント】

トウキョウダルマガエルの研究報告など、大変興味深く読ませて頂きました。生き物の種類、また地域の特性に応じてあるべき配慮の形が違うのでしょうから、我々現場サイドとしても、試行錯誤を繰り返しながら、より良い有り方につなげられるよう、フィードバックしていきたいと思います。お互いがんばりましょう。またいつか、研究と現場でタッグを組めたりすると面白いなぁと思います。

 

7)イベントのご案内

(1)産学官連携研究発表会『電気を用いたカドミウム汚染農地対策技術の開発への課題』の開催について

動電学的土壌浄化法(EK法)は、土壌中に電流を通電することにより、電気移動や電気浸透流により汚染物質を対象域から除去する技術です。本研究発表会では、食品安全基準の見直し等により対策の強化が求められているカドミウム汚染農地対策へEK法を適用するための技術的課題を整理するため、「電気を用いたカドミウム汚染農地対策技術の開発への課題」と題して開催します。

この研究発表会を契機として、関連する産学官の研究者・技術者が集い交流を深めることでより一層の連携と協働が進むことを期待します。

期日:平成22年3月17日(水曜日)午後1時~午後5時30分
場所:農林水産技術会議事務局筑波事務所筑波農林研究交流センター

(2)第38回特別農業施設セミナー『都市農業の進化-都市における持続的農業生産-』の開催について

これまで都市をめぐる緑と言えば、植物による都市空間の改善を目指した都市緑化(アーバングリーニング)か、近郊農業のうち、特に都市周辺で営まれているものを指す都市農業(アーバンアグリカルチャー)のいずれかであった。近年、施設園芸や植物工場における環境調節や栽培技術の目覚しい進展により、都市周辺ではなく、都市空間そのもので営まれる農業に関して、世界中で新たなアイデアが続々と提案されるようになってきている。しかし、その生産性、経済性、社会性、環境性、持続性、安全性について具体的検証はきわめて少ない。本セミナーでは、豊富なアイデアと貴重な検証例、実現への方策について紹介します。

  • 期日:平成22年3月24日(水曜日)
  • 場所:東京都産業労働局秋葉原庁舎3F 第一会議室

 

(3)『平成22年度農村工学研究所一般公開』の開催について

例年のとおり、科学技術週間の期間中に開催する予定としています。詳しくは、準備号第3弾および所HPで掲載します。

期日:平成22年4月16日(金曜日)~17日(土曜日)
テーマ:『探検!発見!農村の宝もの』

8)編集後記

つくば市では、2月に入ってから2日に1回の割り合いで雪が降っています。多くの人は、やはり雪には不慣れのようで、ちょっと降っただけで道路はすぐ渋滞。春が待ち遠しい今日この頃です。・・・・・と書いたのは、今回のメルマガを作り始めた頃、配信日が近づいたここ2~3日は、すっかり春が来てしまったような感じです。そんなこんなで、どうも体調を崩しそうな気候が続いています。これも、地球温暖化の影響でしょうか?新しい年になっても、あまり楽しい話題はなかったのですが、和歌山県・山尾さんからの投稿は、正直とっても嬉しい出来事でした。これが最初で最後の投稿ならないよう頑張りますので、ぜひ応援(投稿)よろしくお願いします。

【編集発行】

〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
企画管理部 情報広報課 Tel:029-838-8169

研究センター