農村工学研究所

農村工学研究所メールマガジン

メールマガジン第24号(2012年3月号)

目次

1)トピックス
■地滑り現場に職員を派遣 ~長野県小谷村、新潟県上越市~
2)イベントのご案内
■平成24年度一般公開のご案内
3)水土里のささやき
■津波実験の公開を望む
4)最新の「農工研ニュース」より
■手取川扇状地の地下水脈を捉える ~環境同位体の利用~
5)農村工学研究所の動き
■東日本大震災から1年 ~所内で技術支援報告会~
■水資源機構との技術交流会
■平成24年度農村工学技術研修の開講 ~受講生募集中~
6)研究ウォッチ
■アメリカ農業の最新の水事情
7)農村の草花
■春の風物詩であるツクシの正体は ~スギナ~
8)研究者の横顔
■芦田 敏文(あしだ としふみ)

1)トピックス

■地滑り現場に職員を派遣 ~長野県小谷村、新潟県上越市~


農村振興局防災課から技術支援要請があり、小谷村(おたりむら)には3月16日に2名(川本、井上)を、上越市には3月20日に2名(中里、有吉)を、それぞれ派遣しました。

いずれも、この冬の豪雪の雪解け水で地盤が緩んだと見られています。懸命な地下水排除(水抜き)により、地滑りは沈静化に向かっています。

企画管理部 防災研究調整役 鈴木尚登

(長野県小谷村での支援状況)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-01-01.pdf
(新潟県上越市での支援状況)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-01-02.pdf

2)イベントのご案内

■平成24年度一般公開のご案内

科学技術週間中である4月20日(金)、21日(土)の両日に、所内を公開し、研究活動をPRします。今年のテーマは「災害に強い農業・農村の技術」で、次のような展示や体験学習を行います。
皆様のご来所をお待ちしています。

・地盤の液状化(地震で発生する液状化現象を実体験)
・春の草花を使ったしおり作り(研究者がお手伝いします)
・水の体験コーナー(らせん式水力発電模型の展示など)
・ミニ講演会など

企画管理部 情報広報課長 西田信博

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/event/list/2012/03/029531.html

3)水土里のささやき

■津波実験の公開を望む



栃木県 田代洋一 様

粘り強い堤防の構造検討のための津波実験の映像が、農工研メルマガ第23号で公開された。津波によって発生するすさまじい「跳水」とその落下状態、その後に起こる堤防「越流」の様子が素人にもわかりやすい映像で説明されている。


しかし、堤防背面を鎧張りとした実物厚さ45cmのコンクリート板が一瞬に流される様子は極めて衝撃的で、津波を受けても流失を抑制できる粘り強い構造とすることが堤防復旧のコンセプトとなっているとはいえ、はたしてこれだけの津波に対して安定を保つ堤防は可能なのかという疑問を抱かざるを得なかった。


堤防が国土を保全する重要構造物であることは言うまでもないが、破堤を免れるための構造体とするためには現状よりコストアップになる可能性が高く、たとえ破堤を免れたとしても背後の被災が免れるわけではない。限られた予算でそうした堤防を築いていくためには、国、行政、専門家だけでなく、被災地の人々、全ての国民が納得する土地利用の計画の議論を経て、堤防構造、堤防位置を検討していくべきである。


また、実験だけに限らず、「減災対策と地域復興のための技術支援コンセプト」にまとめられた「これからの津波対策」に展開された農工研の考え方も、復興に先駆けて国民的な議論が必要な重要な視点である。メルマガから飛び出して公開され、国民的議論が行われるキッカケをつくってほしいものである。


<これからの津波対策(農工研の提言)>
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-03-01.pdf  

 

4)最新の「農工研ニュース」より

■手取川扇状地の地下水脈を捉える ~環境同位体の利用~


霊峰白山を源とした手取川が流れる扇状地には、平成の名水百選にも選ばれた白山美川伏流水群が分布しています。こうした湧水は、扇状地の下を伏流水として流れ、河口付近の地域で湧き出しており、古くから農作物、飲料水、食品加工などに利用されることで、地域の生活に密接に関わってきました。

そのため、この地域の方々は、生活を支えてくれる地下水はどこから来て、どのように補給されているのかに大変関心が高いのです。地下水脈が明らかになれば、地下水賦存量、揚水量を含めた地下水管理、流出した地下水が水温・水質環境に及ぼす影響などを評価することができます。

このような調査には、天然に存在する環境同位体を利用し、地下水の流れを追跡する方法が大変有効です。

農林水産技術会議事務局 研究開発官室 研究専門官
土原建雄(農工研所属)

(関連資料)
(1)農工研ニュース第77号
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-04-01.pdf
(2)農工研メルマガ12号から
    http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/12-07-01.pdf

 

5)農村工学研究所の動き

■東日本大震災から1年 ~所内で技術支援報告会~



この1年の支援活動を振り返り、復興が本格化する次年度に備えるため、3月30日に所内報告会を開催しました。今後とも、被災地に寄り添いながら、全力で支援を続けて参ります。

(報告内容)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-05-01-01.pdf

 ■水資源機構との技術交流会

3月22日に、水資源機構の技術者9名にお越しいただき、技術情報を交換しました。毎年度、相互に主催し、連携を深めています。

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-05-02-01.pdf

 ■平成24年度農村工学技術研修の開講 ~受講生募集中~

農工研では、平成24年度研修の受講生を募集しています。開講が迫っているコースもありますが、まだ全てのコースに若干の余裕があります。受講を希望される方は、各職場の研修担当者にご連絡下さい。

技術移転センター 技術研修課長 和田充和

(研修概要)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-05-03-01.pdf
(開講スケジュール)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-05-03-02.pdf

6)研究ウォッチ

■アメリカ農業の最新の水事情


日本では、農村における混住化や環境保護に対応した農業水利システムの整備・運用方法が重要な課題となっています。これに対する有益な知見を得るため、カリフォルニア州(以下、カ州)における水利事業の実態を調査しました。

カ州では、近年、渇水や都市部の人口増加によって慢性的な水不足が発生しています。そこで、水の安定供給を図るため、農業、都市、および環境分野までが参加して水取引を行う「水市場」制度が創設されました。

日本においても、多様な主体が参加した節水や水利再編のための手法開発が求められています。地域経済や生態系保護にも配慮したカ州の制度は、私たちに大きな示唆を与えてくれます。

水利工学研究領域 水環境担当研究員 人見忠良

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-06-01.pdf

7)農村の草花

■春の風物詩であるツクシの正体は ~スギナ~


春浅いころ、あぜ道や林縁、土手などでツクシを摘んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。このツクシ、実は畑地の強害草でもあるスギナの胞子茎であったことを知っているでしょうか。

農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也



(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-07-01.pdf

8)研究者の横顔

■芦田 敏文(あしだ としふみ)

 

今回紹介するのは、地域計画担当の芦田敏文さんです。走った後のビールをこよなく愛す笑顔が素敵な農工研屈指のランナーです。耕作放棄や農村人口減少などの農村が直面している問題の解消、地域活性化に向けた計画手法の研究開発に真摯に取り組んでおられます。(他己紹介:浜田康治)


(自己紹介)
http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/24-08-01.pdf

【編集発行】

〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構
農村工学研究所 企画管理部 情報広報課
Tel:029-838-8169

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