農村工学研究所

農村工学研究所メールマガジン

メールマガジン第70号(2016年1月号)

目 次

1)トピックス
■「"土壌攪拌(代かき)による放射性物質低減技術の実施作業の手引き"を公表」をプレスリリース
■農業農村工学会の渡邉会長が研究成果等を視察
■両総用水事業推進協議会が最新の研究成果を視察

2)最新の農工研ニュースより
■液状化を防止するための細粒分を含む土の締固め管理方法
■携帯端末とインターネットによる小規模水利施設の機能診断・情報管理システム

3)ズームイン
■中 達雄・樽屋啓之共著「農業水利のための水路システム工学」発行

4)農村の生き物たち
■農村の鳥 ~キジ~

5)研究者の横顔
■常住 直人(つねすみ なおと)

1)トピックス

■「"土壌攪拌(代かき)による放射性物質低減技術の実施作業の手引き"を公表」をプレスリリース

1月20日(水)に、農研機構及び農環研の共同で「"土壌攪拌(代かき)による放射性物質低減技術の実施作業の手引き"を公表-表土削り取りや反転耕が適用できないほ場に効果的!-」をプレスリリースしました。

農研機構及び農環研は、関係機関(DOWAエコシステム(株)、信州大学工学部、太平洋セメント(株)及び福島県農業総合センター)と共同で、水田ほ場の土壌中の放射性物質を効果的に低減する除染方法として、土壌攪拌(代かき)による放射性物質低減技術を改良し、実務的な作業手引きを作成しました。

この技術は、持ち出す土量が少量のため、放射性物質を除去するための表土削り取りや反転耕による除染が難しいほ場に効果的です。手引きでは、具体的な除染作業内容と手順、除染後の水稲栽培の留意点について解説しています。手引きは農工研のホームページに掲載しましたので御覧下さい。

企画管理部 業務推進室企画チーム長 竹村武士

(関連URL)
(プレスリリース)
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nkk/061219.html
(手引きへのリンク)
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/061247.html

■農業農村工学会の渡邉会長が研究成果等を視察

1月20日(水)、農業農村工学会の渡邉会長が来所され、注目を集めているカットドレーン等の研究成果、津波実験を行う沿岸域減災研究棟等を視察されました。その後、農工研幹部との意見交換が取り交され、人材育成や情報共有など今後の連携に向けた貴重な機会となりました。

企画管理部 業務推進室長 渡嘉敷 勝

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/01-02.pdf

■両総用水事業推進協議会が最新の研究成果を視察

1月28日(木)、千葉県の両総用水事業推進協議会(会長である志賀東金市長ほか32名)が、来所されました。今後、事業の県営部分でパイプライン化やほ場整備等が予定されており、SCADAによる水管理の自動化、水田の地下水位制御を行うFOEASなど最新の技術について視察されました。活発な意見交換を通じ、農工研としても現場の声を聞く貴重な機会となりました。

農村基盤研究領域 地域計画担当上席研究員 進藤惣治

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/01-03.pdf

2)最新の農工研ニュースより

■液状化を防止するための細粒分を含む土の締固め管理方法

液状化に対する土の抵抗性は、土に含まれる細粒分(粒径0.075mm以下の細かい土粒子)の量や締固めの良否に大きく影響されます。土には様々な種類があるにもかかわらず、これまで液状化を発生させないための締固め管理方法を簡単に判断する基準がありませんでした。本成果では、簡単に適切な締固め度(土の締固めの良否を表す指標)を決定する方法について検討した結果を紹介します。

施設工学研究領域 土質担当研究員 上野和広

(関連資料)
(1)農工研ニュース第99号(3頁目)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/02-01-01.pdf
(2)この研究をもっと深く理解するための5つのQ&A
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/02-01-02.pdf

■携帯端末とインターネットによる小規模水利施設の機能診断・情報管理システム

小規模水利施設の長寿命化のため、多面的機能支払の対象地域等における地域住民による施設点検が進められています。今後、地域住民が主体となって点検結果の情報を体系的に蓄積し、水利施設の状況をモニタリングするとともに、将来を見据えた施設の評価を行うことにより、ストックマネジメント施策と施設管理に対する関係者間の合意形成と施設更新の計画的実施を図ることが重要になると考えられます。

本成果は、携帯端末とインターネットを活用し、施設の状況分析(機能診断、LCC評価、更新時期の予測)及び地図とリンクした情報管理(施設写真による補修履歴等)を一体的に実施するシステムを開発したものです。これまで、紙ベースで定性的に行われ、データ整理に多大な時間を要してきた小規模農業水利施設の機能診断・評価について、携帯端末を利用して簡単に定量評価と情報管理ができ、多面的機能支払の対象地域において、高度な専門知識がない利用者でも活用できます。

農村基盤研究領域 事業評価担当上席研究員 國光洋二

(関連資料)
(1)農工研ニュース第98号(3頁目)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/02-02-01.pdf
(2)この研究をもっと深く理解するための4つのQ&A
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/02-02-02.pdf

3)ズームイン

■中 達雄・樽屋啓之共著「農業水利のための水路システム工学」発行

本研究所の水利工学研究領域の中上席研究員および水路システム担当の樽屋上席研究員が執筆した著書「農業水利のための水路システム工学-送配水システムの水理と水利用機能-」が農村工学研究所研究叢書として、発行されました。

本書の特徴は、農業の水利用に不可欠な農業水利の中で頭首工や水路、分水工等から構築される水路システムに焦点を当てている点です。内容は水路システムを軸にして、この構造と機能・性能や基礎水理、水管理、配水管理、流量制御、基本設計、水理・水利用に関する機能保全が章立てされており、読者は、このシステムに関する知見や技術を体系的に理解することができます。

また、本書では著者らの経験に基づく具体的な知見が散りばめられており、水路システムの構築・運用・管理の各段階における課題について事例を交えながら簡易な表現で解説しています。農業水利に関わる研究者や技術者が水路システムに関する研鑽を深めるうえで格好の書です。

水利工学研究領域 水環境担当主任研究員 人見忠良

(関連URL)
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/nkk/sosyo/061377.html
注)本研究叢書の市販版は養賢堂より発刊(ISBN978-4-8425-0532-9)

4)農村の生き物たち

■農村の鳥 ~キジ~

彩りが乏しくなりがちな冬の田畑で、キジは色彩の鮮やかな姿で人目をひきます。繁殖期にはよく響く声でも鳴き、存在感のある鳥です。また、昔話に登場したり、かつて紙幣に描かれていたりとなじみの深い鳥です。

資源循環工学研究領域 生態工学担当主任研究員 渡部恵司

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/04-01.pdf

5)研究者の横顔

■常住 直人(つねすみ なおと)

常住さんは、水理実験を得意とする研究者です。近年、コンピュータの性能や数値計算アルゴリズムの進歩に伴って数値流体力学によるシミュレーションが容易となり、時間をかけて水理実験を実施する機会は少なくなっています。そのなかで、モチベーションを保ちつつ水理実験を行う常住さんと、実験によって得られるデータは所内でも非常に高い信頼を受けています。実験棟内では、夏はうだるような暑さ、冬は凍えるような寒さに堪えて実験をされていると思いますので、健康に気をつけて益々ご活躍して頂きたいです。

(他己紹介: 田中良和)

(自己紹介)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/70/05-01.pdf

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集発行】
〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
 企画管理部 情報広報課  Tel:029-838-8169

研究センター