生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

ビワ供給拡大のための早生・耐病性ビワ新品種の開発および生育予測システムの構築

年度2019ステージ開発研究分野農業 (果樹)適応地域全国

キーワードビワ、育種、早生、耐病性、生育予測

課題番号 26100C
研究グループ 長崎県農林技術開発センター, 農研機構 果樹茶業研究部門, 千葉県農林総合研究センター, 香川県農業試験場, 鹿児島県農業開発総合センター
研究総括者 長崎県農林技術開発センター 谷本 恵美子
研究タイプ 育種対応型 Aタイプ
研究期間 平成26年~30年 (5年間)
PDF版 ビワ供給拡大のための早生・耐病性ビワ新品種の開発および生育予測システムの構築 (456.0 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

ビワの供給期間・量の拡大と計画的供給を可能にすることを目的とする。このため、低温下でも肥大が優れるなど露地栽培でも生産可能な特性を有するとともにがんしゅ病抵抗性をはじめとする耐病性の高品質・多収量ビワ早生新品種を実需者・生産者のニーズを反映しながら1品種以上開発し、あわせて産地への普及をスムーズに進めるための新品種の栽培マニュアルを作成する。また、寒害発生程度の予測を含む新品種の生育予測システムを構築することを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 実需者ニーズを反映し、露地栽培できる早生・耐病性ビワ新品種「BN21号」(系統名 : 長崎21号) を開発し、品種登録した。
  • ビワ新品種「BN21号」の栽培マニュアルを作成した。
  • ビワ生育予測システムとして寒害発生程度推定モデルと収穫期予測モデルを開発した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 品種登録 第26214号 ビワ品種「BN21号」を品種登録 (H29年8月) (出願人 : 長崎県)
  • Toshihiko Sugiura et al. Varietal assessment of threshold air temperatures for cold damage in loquat fruit,The Horticulture Journal 85 (2), 122-127 (2016)
  • 紺野祥平他.ビワの光合成と光および温度との関係とその季節変化.生物と気象 17(4), 91-96 (2017)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • (一社) 日本果樹種苗協会を通じた苗木業者への穂木供給および長崎県における新品種「BN21号」の普及加速化試験を実施する。
  • 参画県における成果の公表や成果の各種雑誌等への紹介により普及促進する。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、苗木業者が「BN21号」の母樹を育成し、翌年には苗木が流通する見込み。
  • 5年後 (2023年度) は、「BN21号」果実が市場で試験販売される予定。
  • 最終的には、「BN21号」面積が全国のビワ産地の約10%程度普及することを目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 新品種「BN21号」が現在の栽培面積の10%分普及した場合の経済効果は、約8億円と見込まれる。
  • 露地ビワの収穫時期の拡大により生産者の収穫労力の分散が図られ規模拡大が期待できる。その結果、国産果実の少ない時期に食味の優れるビワを長期間にわたって消費者に安定的に届けることができるとともに、生産量の増大により広く国民に良質なビワ果実を提供でき、豊かな食生活に貢献することが期待される。

ビワ供給拡大のための早生・耐病性ビワ新品種の開発および生育予測システムの構築

問い合わせ先 : 長崎県農林技術開発センター TEL 0957-55-8740