生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

ノンアレルゲンソバ品種育成に向けたソバの効率的育種基盤の構築

年度2019ステージ基礎研究分野農業 (畑作物)適応地域全国

キーワードソバ、ソバアレルギー改良育種、自殖性系統、ゲノム解析、アレルゲン性評価法改良

課題番号 28003A
研究グループ 筑波大学生命環境系, 農研機構 (九州沖縄農業研究センター、次世代作物開発研究センター、北海道農業研究センター、食品研究部門), 徳島文理大学香川薬学部
研究総括者 筑波大学 大澤 良
研究タイプ 一般型 Aタイプ
研究期間 平成28年~30年 (3年間)
PDF版 ノンアレルゲンソバ品種育成に向けたソバの効率的育種基盤の構築 (PDF:706.9 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

アレルギーはソバの生産・加工・流通・販売・需要の拡大にとって重大な問題である。本研究では、この状況を打破するために、ノンアレルゲンソバ品種育成に向けたソバの効率的育種基盤の構築を目的として、1 品種育成の効率化に寄与する自殖固定系統の作出、2 アレルゲン遺伝子領域の変異解析とゲノムワイドな遺伝的プロファイリング、および 3 アレルゲン性解析技術の開発・改良に取り組む。これらの研究により得られるアレルゲン性変異系統はソバアレルギー改良育種における育種素材として活用される。

2 研究の主要な成果

  • 収量性、脱粒性、耐湿性、タンパク質含量、機能性物質含量等の様々な重要形質において、多様な変異を有する自殖固定系統1,312系統を作出した。
  • アレルゲン遺伝子領域内には、今後のアレルギー改良育種に利用可能な様々な塩基配列やアミノ酸配列変異が存在することを明らかにした。
  • 新たな抗体を作製するとともに、ウェスタンブロット法、ELISA法および2D-DIGE法を組み合わせることで、多検体かつ複数のアレルゲンを同時に評価可能なアレルゲン性解析技術を開発した。
  • 低減・欠失型アレルゲン性ソバ育種素材の開発に有効な複数の自殖固定系統を見出した。

3 今後の展開方向

  • 低減・欠失型アレルゲン性ソバ育種素材を開発することで、アレルゲン性を改良したソバ品種の開発と普及、ならびにソバ製品の商品化を目指す。
  • 医学・食物アレルギー学からの知見を加えることで、実用的な低減・欠失アレルゲンソバ素材を開発する。

【今後の開発目標】

  • 3年後 (2021年度) には、実用的な低減・欠失型アレルゲンソバ素材および効率的選抜法を開発する。
  • 5年後 (2023年度) には、低減・欠失アレルゲン特性を有する優良系統を開発する。
  • 最終的には、ソバアレルギーの発症機構を解明し、品種育成を通じてソバアレルギー問題を解決する。

4 開発した技術シーズ・知見の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献

  • 現在ソバがアレルゲン性を示すことで毎年62.2億円分の経済的損失が発生していると推算されるが、本研究成果によりこの損失の抑制が可能となるとともに、約19.1億円の新規市場の創出が期待できる。また、医学・食物アレルギー学分野における研究進展への貢献も期待できる。
  • ソバアレルギー問題が解決されることで、混入・誤食による健康リスクや将来的なソバアレルギー発症リスクを軽減することが可能となる。また、高い栄養・機能性を有するソバを、より多くの消費者が安心して食せることになることで、健康増進や平均寿命の向上への貢献も期待できる。

ノンアレルゲンソバ品種育成に向けたソバの効率的育種基盤の構築

問い合わせ先 : 筑波大学 大澤 良 TEL 029-853-6674