生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2008年度 採択された研究課題

オルガネラゲノム工学による細胞質雄性不稔の開発

研究代表者氏名及び所属

山岸 博
山岸 博(学校法人京都産業大学工学部)

研究実施期間

平成20年度~24年度(5年間)

研究の趣旨・概要

作物の生産において、すぐれた品種の利用、特に雑種強勢を示すF1品種の利用は最も効果的である。しかし、我国の主要な野菜であるアブラナ科及びナス科の植物では、海外の機関による雄性不稔細胞質の特許化による制限や旧来の人工除雄によるF1採種への依存等のために、F1品種の機能が十分に発揮されていない。そこで、本研究では、分担研究機関が今までに開発してきた様々な雄性不稔細胞質を実用化するとともに、オルガネラゲノム工学の技術を用いて、新しい細胞質雄性不稔を創出する。その過程で、雄性不稔系統のオルガネラゲノムを詳細に解析するとともに、大規模な集団を用いて遺伝様式を解析することによって、雄性不稔の原因遺伝子およびそれに対する稔性回復遺伝子を同定する。さらに単離された雄性不稔遺伝子を他の作物に導入して、今まで雄性不稔の利用が不可能であった作物でのF1育種を可能にする。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • モデル植物を用いた細胞質雄性不稔性の誘起と機構の解明
    (学校法人京都産業大学工学部 山岸 博、寺地 徹)
  • 属間交雑に基づくアブラナ科の雄性不稔植物の作出と細胞遺伝学的機構の解明
    (国立大学法人宇都宮大学農学部 房 相佑)
  • ナス属の細胞質置換による雄性不稔機構の分子遺伝学的解明
    (国立大学法人佐賀大学農学部 一色司郎)
  • 新規細胞質雄性不稔性の創出と遺伝様式の解明
    (独立行政法人野菜・茶業研究所 松元 哲、畠山勝徳、石田正彦、齋藤猛雄)

期待される成果、効果

多様な雄性不稔遺伝子を用いたF1品種の開発を可能にする。それによって、野菜生産をはじめとする我国の農業において、高い生産力を発揮する生産システムを構築し、競争力向上をうながす。

オルガネラゲノム工学による細胞質雄性不稔の開発