アグリビジネス創出フェア2016において「農林水産業における革新的技術体系の開発セミナー」を、開催し、以下の課題について報告が行われました。
※ 報告課題名をクリックすると報告のレジメがご覧になれます。
報告課題
- 海外輸出に対応できる日本茶生産体系の実証研究 【PDF:793KB】
世界的な健康志向の高まりもあり、海外での茶の需要は急増しています。一方で、日本茶産業は国内需要の低迷により生産量は減少しており、わが国の茶産業活性化のためには、海外輸出による需要拡大を図る必要があります。そこで、私たちは茶生産における競争力強化を目的に、新たな製造技術の開発による生産コスト低減と高品質化、輸出相手国の農薬使用基準に対応できる栽培技術の確立に取り組み、低コストで生産できるてん茶、CTC緑茶や香り高い釜炒り茶の製造技術、病虫害の物理的防除技術などを開発しました。
- 北海道水田作における省力・低コスト水稲生産と新たな田畑輪換体系確立に向けた実地検証 【PDF:776KB】
北海道の水田作における規模拡大への対応と転換畑における畑作物の増収等を目的として以下の2つの体系についての現地実証を実施しました。一つは地下灌漑を備えた大規模圃場での水稲乾田直播きやロボットトラクタ等の省力栽培・作業技術を中心とした省力栽培体系、もう一つは水稲無代かき栽培や新たに子実用とうもろこしを導入した田畑輪換体系です。実証試験の結果から、導入技術による生産費の低減効果や子実用とうもろこし田畑輪換への導入条件等を明らかにしました。
- 次世代のなし栽培法「盛土式根圏制御栽培法」 【PDF:1.9MB】
盛土式根圏制御栽培法(根圏)は、遮根シートにより地面と隔離した盛土に苗を植付け、樹形制御(コンパクトなY字樹形)等により早期結実(移植翌年に結実)・多収(成園時に慣行の約2倍)・省力(年間労働時間の2割削減)・軽労化(上向き作業の大幅減)を、樹の生育に応じた養水分制御により高品質果実生産を可能にする栽培法です。さらに、移植の際に問題となる紋羽病等も回避できます。実証農家において2~3割を根圏で改植することにより、4年目所得が導入前の170%になるなど経営改善効果も実証できました。
- ICTを用いたシカ、イノシシ、サルの防除、捕獲、処理一貫体系技術の実証 【PDF:1.3MB】
農山村では野生獣による農作物被害軽減が深刻化しています。本研究では、ICTによる多数の大型檻・罠の監視・操作システムの開発、捕獲効率と移動性が高い大型檻の開発により地域の効率的な捕獲を進めるとともに、捕獲した野生獣の簡易捕定器具や電気止め刺し器を開発することで、捕獲した加害獣の円滑な処理を可能にしました。また、サル接近自動検知センサーシステムの制作により個体数削減後のサル群の追い払い等の被害対策を進めるとともに、これら技術体系により、実際に獣害が軽減可能であることを証明するために、これら全ての技術を広域な地域に導入し、多頭サル群の頭数調整とシカの集中的な捕獲を進め、集落の獣害を軽減可能であることを実証しました。
- コンテナ苗を活用した低コスト再造林技術 【PDF:1.0MB】
国産材の供給力を強化し、林業の成長産業化を押し進めるには、今日ちょうど主伐時期を迎えている多くの人工林を皆伐して再び造林することが必要です。そのためには、低コストな主伐ー再造林技術の構築が欠かせません。本実証研究では、コンテナ苗を活用した一貫作業システムを提案し、良質なコンテナ苗生産のための新型コンテナや、スギ・ヒノキの充実種子の新しい判別技術を開発し、さらに全国各地でコンテナ苗の植栽試験を行いその有用性を検討しました。報告では、これらの成果について紹介します。
- 養殖ブリ類のストレスレス水揚げシステムと大型魚全自動高速魚体フィレ処理機開発 【PDF:492KB】
養殖ブリ輸出の9割は米国向けです。米国向けは一酸化炭素(CO)処理が許可されており冷凍貯蔵中の血合肉の色変わりが抑制できるからです。CO処理に代わる色変わり抑制法が開発されれば、米国以外の国への輸出量が飛躍的に伸びることが期待されます。本研究事業で生体内エネルギー物質のアデノシン三リン酸(ATP)はブリ血合肉の冷凍貯蔵中の色変わりを抑制することが明らかにされ、致死後のATP濃度管理が重要であることが示されました。ATP濃度を維持する方法として、水揚げ時の電気刺激法と高速魚体処理機の開発を行いました。