品種詳細

かんきつ中間母本農6号

「キング」マンダリンと無核紀州の雑種です。果実は風味が良く良食味で、機能性成分に富みます。また、健全花粉を持つが、雌性不稔で無核なので、無核性、良食味性及び機能性成分高含有のカンキツ新品種育成に有効な中間母本です。

主要特性

  • 「かんきつ中間母本農6号」は1986年(昭和61年)に果樹試験場興津支場(現カンキツ部興津)において、「キングマンダリンに無核紀州を交雑して育成した雑種です。
  • 樹は直立性で、樹勢は中庸です。かいよう病、そうか病に強く、栽培は容易となっています。花粉量はやや少ないが、花粉稔性率は約80%で十分交雑に使える高さです。
  • ナツミカンとヒュウガナツの混合花粉を受粉しても健全種子は全く入りませんでした。また、自然受粉果でも健全種子は認められず、 強い不稔性を示します。 本系統の後代には無核個体が高率で出現します。
  • 果実は扁球形で約120gと小果です。果皮は橙色で、厚さ3.5mm内外、果皮歩合は約30%となっています。果面の粗滑は中程度で、浮皮の発生は無く、剥皮性は中程度です。果肉は橙色で多汁です。じょうのう膜の硬さはやや軟かくなっています。「キングマンダリ ンに似た風味を有し、食味は良好です。成熟期は1月下旬~2月上旬です(図1、表3)。
  • 果皮、果肉中のシネフリンは既存品種の中でも含有量の多いシィクワシャーやタチバナに比べて、幼果期には明らかに多く、果皮着色期にはそれらに匹敵する含有量です。果汁中の機能性成分では、総カロテノイド含量、β-クリプトキサンチン含量は「キングマンダリンよりやや少ないものの高含有となっています。ノビレチン、タンゲレチン含量は含有量の多いシィクワシャーやタチバナに比べて明らかに多いです。また、フェニールプロパノイドについても比較的高含有です(表4)。

かんきつ中間母本農6号の自然受粉及び人工授粉による無核果率

かんきつ中間母本農6号の後代における無核個体の分離

かんきつ中間母本農6号の果実

かんきつ中間母本農6号の果実特性

かんきつ中間母本農6号の機能性成分含有量

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
13842
(2001年9月11日)
2002年1月24日 12070
(2004年6月 4日)
25年
(満了日:2029年6月 4日)
交配組み合わせ 旧系統名
「キング」マンダリン×無核紀州

農林認定品種

    • 登録番号 :かんきつ中間母本農6号
      登録年月日:2001年10月

    • 育成担当者

      吉田俊雄、根角博久、吉岡照高、伊藤祐司、矢野昌充、野々村睦子、上野 勇、山田彬雄、小川一紀、村瀬昭治、瀧下文孝、日高哲志、(川井 悟)※()は生研機構