品種詳細

あすみ

  • カンキツ品種「あすみ」は、2月上旬に成熟期を迎える中生品種で、糖度が概ね15%以上と極めて高く、芳香があり、食味がたいへん優れています。施設栽培することにより、かいよう病の発生が抑えられ、赤みの強い果皮色となり、商品性が高まります。
  • 少し種子ができますが、じょうのう膜がやや軟らかく、食べやすい品種です。浮皮の発生は見られません。機能性成分のβ-クリプトキサンチンはウンシュウミカンと同程度に多く含まれています。

主要特性

  • 樹勢は中程度、樹姿は直立性と開張性の中間です。現在のところ、枝梢のとげは発生が多く、長い特性があります(表1)。
  • 露地栽培も可能ですが、かいよう病には弱いため、施設栽培向きの品種です。そうか病に対しては抵抗性が強いです。隔年結果性は中程度で、「せとか」並です(表1)。
  • 果実は150g程度、果皮は橙色で、滑らかで薄く、剥皮のしやすさは中程度です(表2、写真1)。また、露地栽培では完全着色しにくく、緑斑が残ることがあります。
  • 成熟期は2月上旬で、果汁の糖度は15.7%と極めて高く、クエン酸含量は1.0%程度となり、オレンジ様の芳香があるため、食味がたいへん良好です。果肉は濃橙色で、肉質はやや硬く食感に特徴があります。じょうのう膜は軟らかく食べやすい品種です。種なし果の割合は高くありませんが、種子数は1.5個と少ない品種です(表2)。
  • 浮皮の発生は見られません(表2)が、果実肥大期に裂果が発生することがあります。
  • 機能性成分のβ-クリプトキサンチン含量は果肉100gあたり1.66mgと多く、ウンシュウミカンの「興津早生」と同程度含みます(表3)。
  • 施設栽培において、16%程度の高糖度果実の生産が可能です(表4)。かいよう病の発生はほとんど見られず(表4)、果皮色の赤みが増し(表5)、外観が良好で商品性の高い果実の生産が可能です。

表1「あすみ」の樹体の特性(農研機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点 2009~2010年露地栽培)

表2「あすみ」の果実特性(農研機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点 2009~2010年露地栽培)

表3「あすみ」の機能性成分含量(農研機構果樹研究所カンキツ研究口之津拠点露地栽培)

表4「あすみ」の施設栽培における果実特性(2008~2010年)

表5 施設および露地栽培における「あすみ」の果皮色

写真1 「あすみ」の果実

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
26542
(2011年12月 7日)
2012年3月16日 23723
(2014年9月30日)
30年
交配組み合わせ 旧系統名
カンキツ興津46号(スイートスプリング×トロビタオレンジ)×はるみ カンキツ興津58号

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:みかん農林20号

登録年月日:2013年3月

育成担当者

吉田俊雄、根角博久、吉岡照高、喜多正幸、國賀 武、中嶋直子、野々村睦子、太田 智、濱田宏子、瀧下文孝