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7月水曜会(第674回)

情報公開日:2012年7月13日 (金曜日)

日時

平成24年7月18日(水曜日)13時30分~

場所

(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 講堂
茨城県つくば市観音台3-1-5 (交通案内/会場案内(建物3))
Tel: 029-838-7707(企画管理部 業務推進室 交流チーム)
Fax: 029-838-7907

今回の水曜会は、一般演題と学位を取得された方による講演です。
参加希望者の事前登録は不要、当日参加も可能です。多数のご来聴をお待ちしております。

-水曜会幹事-

内容

座長:宮本 亨(動衛研)

抗ウシInterleukin-8モノクローナル抗体を用いたウシInterleukin-8検出系の開発(10分)

○広田次郎1、清水眞也1、渡部 淳1、鈴田史子2、矢島和枝3、木村久美子1、播谷 亮1、犬丸茂樹1、八木行雄1 (1: 動衛研、2: 長崎県中央家保、3: 兵庫県姫路家保)

好中球遊走因子として知られているInterleukin-8 (IL-8)は種々の細胞により産生されるケモカインの一種で、炎症および免疫系において重要な役割を担う。しかし、ウシIL-8 (bIL-8)の測定系は開発されていないため、抗bIL-8モノクロ-ナル抗体(mAb)を用いたbIL-8の検出系を開発した。常法に従い、組換えbIL-8をBALB/cマウスに免疫し、抗bIL-8mAb産生融合株、SH8-2A1、SH8-8D7およびSH8-12A5を得た。得られた株より精製した3抗体はウェスタンブロッティングおよび免疫沈降法にてrbIL-8への反応性が確認された。SH12A5の免疫沈降物のN末端アミノ酸配列はbIL-8と一致し、SH8-2A1はrbIL-8の中和能を有していた。SH8-2A1およびSH8-12A5を用いたサンドイッチEnzyme-Linled Immunosorbent Assayの感度は20pg/ml-1000pg/mlで、Lipopolysaccharide、Phytohemagglutinin又はConcanavalin Aにより刺激したウシ末梢血単球培養上清中のnative bIL-8が検出可能であった。また、SH8-2A1はホルマリン固定パラフィン包埋切片の免疫組織染色に用いることができた。これらの抗体を用いることにより、bIL-8の免疫反応における動態の解明が期待される。

座長:山川 睦(動衛研)

我が国における山羊関節炎・脳脊髄炎の診断と疫学に関する研究(30分)

○小西美佐子(動衛研)

山羊関節炎・脳脊髄炎(Caprine arthritis-encephalitis: CAE)ウイルス(CAEV)は、山羊に終生感染し、慢性消耗性疾病を引き起こすレトロウイルス科レンチウイルス属のウイルスである。わが国は長年CAE清浄国と考えられていたが、2002年に大規模農場においてCAEを疑う症状を呈する山羊が確認されたため、CAEV感染症の診断法開発および浸潤状況調査が必要となった。そこで本研究では、寒天ゲル内沈降試験(AGID)による抗体検査法およびPCRによるウイルス遺伝子検査法を確立し、国内のCAEV感染症の診断法を整備した。また、AGIDの確定診断として、組換え蛋白質を抗原としたウエスタンブロット法も開発した。続いて、確立した手法による抗体検査と聞き取り調査を合わせた疫学調査により、我が国におけるCAEVの浸潤状況と感染リスク要因を明らかにした。さらにCAEV高度汚染農場において、ウイルスの伝播阻止と定期検査による感染個体の摘発・淘汰を組み合わせた清浄化対策を実施し、同農場を清浄化に導いた。本研究で確立した抗体検査法、ウイルス遺伝子検査法および確定診断法はCAEV防疫対策に有用であり、これらの活用によりわが国のCAE清浄化が進むことが期待される。

座長:神尾次彦(動衛研)

ウエストナイルウイルスの日本国内侵入時に想定される感染伝播に関する研究(30分)

○白藤浩明(動衛研)

ウエストナイル熱・脳炎は、おもにヒト、ウマおよび鳥類の病気である。病原体はフラビウイルス科フラビウイルス属に分類されるウエストナイルウイルス(West Nile virus:WNV)であり、日本脳炎ウイルスと近縁なウイルスとして知られている。自然界においてWNVは蚊(媒介者)と野鳥(自然宿主)との間で感染環を形成しており、ヒトやウマは終末宿主といわれている。WNVは世界に広く分布しており、アフリカ、欧州、中東、南アジア、中央アジア、オーストラリアおよび北米での流行が確認されている。近年ではその分布域が拡大し、南米およびロシア極東地方での流行も報告されている。我が国では、これまでWNVは発見されていないが、このウイルスが侵入することによって我が国の公衆衛生および動物衛生の両方に対して重大な影響を及ぼすことが懸念されている。

演者らは、我が国におけるWNV対策の一環として、国内におけるWNVおよびWNV媒介可能な蚊の有無を明らかにするため、全国サーベイランスを実施した。また、WNV流行地に生息するカラスのさまざまな種がWNVに高い感受性を示すことを踏まえて、我が国に生息するカラスの代表種の一つであるハシブトガラスCorvus macrorhynchosについて、増幅動物となる可能性を検討するため、感染実験を実施した。さらに、日本脳炎不活化ワクチン接種馬におけるWNV感染に対する抗体応答を検討するため、ワクチン接種馬および非接種馬の感染実験を実施した。そして最後に、マガモAnas platyrhynchosとアヒルAnas platyrhynchos var. domesticusの交雑種であるアイガモに対してWNVが示す病原性ならびに感染アイガモがWNVの伝播に関与する可能性を検討するため、感染実験を実施した。本講演では、これらの研究結果を紹介し、WNVの日本国内侵入時に想定される感染伝播について概説する。

法人番号 7050005005207